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異世界の恋愛メソッドで君もモッテモテ  作者: 620(むに丸)
序章:
2/45

領主閣下の自慢の馬車#2

 其の馬車倉に有る意思は4つ、

ストール辺境伯、其の息子テリオス。

 其の赤子を嘗め回したくてなおこらえている馬と、




 そして馬車。




 馬車の御者台に腰掛けたムルジムはご機嫌であった。

 長く家を空けていた彼が、ようやく抱くことのできた彼の子供。


 十月十日の大部分を、従者と共に旅団を編成し、

新たにできる<冒険者の町>の査察であったとムルジムはいう。



「噂の大洞窟を中心に、ものすごい勢いで町が作られてゆくんだ。

其の地に住まおうとする人も多く集まっている。

 <法国>の王室巫女達が揃って夢に見たお告げどおりに、

聖櫃アークが見つかってね。


 一つ目を運び出されているときに、第四層の中心付近で二つ目が発見された。

 そうしたら、各国の調査団もいきり立ってそれがどのようなものか、

群がって調べ始めるんだ。

 堅物そうな学者肌たちが、ものすごい活気だった。 


 本当なら、君たちと共に行きたかったのだが

どうしても足並みが揃わなくなりそうだからね」



 右手を馬車に沿え、愛馬を眺めながら見てきた町を語るムルジム。

 ここには、彼の宝物しかない。



 三国の未開拓地から押し寄せた魔物討伐の折、

かの<武国>の戦士団に負けず劣らずの武勲を挙げた際に、

国から下賎された馬。

 天にも響くと評判だった屈強な馬は、

乗り手をムルジムと定め、以来いくつもの戦場の渦中を共にかけた。

 もとより神をあがめる事を定められた<教国>にして、

辺境を治めるムルジムの魔物に対する威力は誉れ高い。

 そんな彼の愛馬、響天ぎょうてん号は騎士を目指す若者にとっては、

国を問わずちょっとした伝説になっている。


 そんな馬と共に国から送られたのが、かの馬車である。

 戦馬に物を引かせるのか、と諸君は首をかしげるかもしれないが、

アレナロウズの地に住まう馬はとても賢い。

 主にとって必要なものであるという認識ならば、

どんなことでもする忠義者なのである。


 だが、その戦馬のなかでも規格外とされる

響天ぎょうてん号に引かせる馬車である。

 国の職人がこぞって名乗りを上げ、作られた特製の馬車。

 荷の積載量も乗り心地も別格で、

足回りは何よりどんな悪路にも負けぬ頑強さ。


 だが、ムルジムの自慢はもちろんそれだけではない。

 三国を震撼させた<光の舞い降りた日>に、

彼の馬車にも天から、細く小さな光が舞い降りた。




 すると、おおなんということか!

 輝くような白に色形を変えると、その馬車が意思を持ち、

人の言を話し始めたのである!



 これはまだ馬車本人(本車?)にも伝えていないことであるが、

かの冒険者の地で見た聖櫃と同じ気配をかすかに感じている。

 だが、重要なのはそんなことではない。

 礼儀節度を持ち、深い知識と教養を持つこの馬車の人格(車格)を

ひとかどの物と知り。

 三度言葉を交わすころには彼らはすっかり友となっていたのである。




「なあ君、この子がもう少し大きくなったら、首都に行こう。

 <武国>の首都で流行の、騎士人形があると聞いて、

我が国でも商いをはじめるそうだ。

 三国の男子なら誰もがほしがるほどに緻密で精細な出来、

そして其の人形たちは崇高な物語を持っていて、

街角で詩人が語る時は子供に限らず男たちは皆聞き入るそうだよ?」

『ムルジムよ

……メディアミックスの波はこんなところにも届いていたのか……』

「めでぃあ……なんだい?」


 馬車は博識であるが、時折よくわからない事を言う。

 まるで天か……超文明世界から訪れたかのような振る舞いである。




 明り取りから漏れる光は、すっかり薄紅色だ。

 きっともう、月も中天に近いころあいなのだろう。



「ああ、もうこんな時間か。

君たちと過ごすときは、本当に短くて困る。

わが子を夜風にさらすわけにもいかないし、執務もある」

 ムルジムは後ろ髪を引かれる思いで、御者台から降りると出口に足を向けた。

「また近いうちに顔を出すよ、この子と一緒にね」




『…………ムルジム卿』



 出てゆく寸前、硬い声音で馬車が彼を呼び止めた。

『私はお目にかかったことがないが、そこのテリオスの母親は

―――――君の御夫人には、変わったことはないか?』


 息を呑んだ。


 何か知っているならば問いただしたいという欲望が鎌首をもたげた。

 しかし硬い呼吸を飲み下し、ムルジムはゆるゆると首を振り、

自慢の馬車に笑いかけるのだ。


「いやはや、相変わらずご機嫌斜めさ。

この子が生まれる前に長く家を空けたのが良くなかったんだろうね。

 ただ癇癪も当然、仕事の入った僕の不手際なんだから、甘んじて受けるよ」

『そうではない、文字通り人が変わっていなかったか?

 一年近く家を空けたら、別人のように冷たく、

恐ろしい性格になったりはしていなかったか?』

「確かに、ちょっといま、家には居づらいかもしれないね」




『きっと、君の嫁はその子を守った』




 わが子を抱く手に力が入る、いつの間にか目を覚ましていたテリオスが、不思議そうな目で馬車を眺めていた。


『嫁への愛を忘れるなムルジム卿、彼女はきっと命を賭して、

其の子を産んだのだ。

君の子供だからだ。

 たとえ世界中が君の細君をとがめようとも、

彼女は君を思い、戦って、勝ったのだ。

 君が嫁への愛を忘れる事なければ、

後はきっと巨神がうまく事を運んでくれる』

「馬車よ、君は……」


『すまなかった、ムルジム卿。

私は、君の子供になれなかった。

 巨悪を倒す力もなかった、

今君を襲う苦しみを分かち合う資格もないのだ。

 なんといっても、手も足も出ない馬車の身だ

 ――――本来は口を出すのもおこがましいものだ』


 うそだ。

 ムルジムは馬車の声色から、優しさを感じている。

 転がり落ちるように悪くなってゆく、

彼の身辺に打ち込まれた歯止め。

 それを感じえぬほど、愚鈍ではない。


『だがあえて言おう、ムルジム。

 私がモテることはもうないが、

君の息子は幸福になる未来を“持て”る、

私がしかと見届けた』







 そしてさらにいくつかの月を跨ぎ、

どこからともなく響天ぎょうてん号が持ってくる報紙は。




 辛気臭いを超え、切迫した状況を伝えるばかりだ。




 地方領における不作から来る税収の低下、それに伴う領主の横暴。

 相次ぐ領民の餓死、変死。

 

 すでに報紙はマスメディアの客観性を放棄し、

内乱への正当性を声高に訴えるだけの役目しか果たさなくなっている。

 そして何よりも、其の紙が幾度も伝える諸悪の根源。




 横暴を重ねる地方領主達をまとめる、

辺境伯ムルジム・ストール領の名前である。




 響天ぎょうてん号はぐしゃりと報紙を丸め、

飼葉の上に放り出すとその場に胡坐をかいた。

 瞳を閉じ、どこかひりひりする空気を其の肌で感じ取っている。

 彼はけして、この馬車倉付近で感じることはないだろう、

そう思っていた雰囲気であった。


『輩よ…………今夜あたりか?』

 転生者の言葉にうなづく響天ぎょうてん号。

 馬車は覚悟を決めた、もうすぐこの屋敷に向けて内乱がやってくる。

 国軍かも知れぬ、あるいは領内の<魔物討伐軍>かもしれぬ。


 あるいは、怒りに身を任せた領民か――――――。


 転生者は領の運営などわからない。

ただ、獅子身中の虫を飼ったままうまく事を運べるはずもない事はわかる。

 ゆえに、ムルジムが自身と話す間もないほどに領の仕事に取り組もうとも。

 焼け石に水であったということなのだろう。


 明り取りから漏れる月光はまるで、血のように赤く、

いやおうなく不吉を感じさせる。

 やがて近づいてくる喧騒に険しい顔をした響天ぎょうてん号は、

馬具を背負い、壁にかけていた中折れ帽を目深にかぶった。

 おお、戦争が近いのだ。



 



 この一年、館から漏れ聞こえてくる声を転生者は受けてとめていた。

 家人が話す断片的な情報だけでも、

感じ取ることができる転生前に出会った脅威。

 悪神シャルガス、

あの悪意の塊のような存在を一身に受けた、

ムルジム・ストールの妻が見せる一貫性のない奇行だ。


 曰く、領の金を流して地方貴族の次男、三男を呼びつけ。

 女だてらに軍の扱い方を指南していた。

 曰く、首都から徳の高い宗教者を呼んでは、話も聞かずに追い返す。


 妙に鏡を避けるようになった、

 水がめに暴言交じりの独り言を叫んでいた






 自分の子供を抱いたことがない。




 はじめはそんな事であった。

 そして今ではそんな話すら彼の耳には入ってこない。




 一人、また一人と館を離れる家人。

 転生者は最後に一度馬車倉に赴き、

 国から施された馬車を苦しそうに眺め一礼した家老の表情を覚えている。


 


  

 そんな中、諦めだけの一年以上をかの転生者は費やしていた。

 所詮は馬がいなければ前に進むこともできない馬車の境遇である。


 どうやらこの辺境伯の館を取り囲んでいるのは、領民の集団であるらしい。

 たいまつのはぜる音、地を踏みしめる薄い靴の音、悲痛な男女の訴え。

 屋敷の裏手にあるこの馬車小屋にまで響いてくるということは、

ムルジムは門を開け放っていた、ということであろう。

 怒り狂う領民たちの手に掛かり、罪を償おうということなのだろう。


 歯車がかけたかのように、日々狂って行く領内の不等を肌で感じていた。

 かたくなに弱音を吐くことを拒み、

まるで我々だけが心許せる友のように笑顔を見せる、

ムルジム卿の苦悩を感じていた。


「なして食う麦穂もないほどに俺らから税をむしりとるだ!」

「もう村の周りには剥ぎ取って食うほどの木の皮もねえ!」

「今日私の子が飢えて死んだわ!

この子の顔を見てあんたはなんとも思わないの!?」


 糾弾が空っぽの荷台まで響く、もしやムルジム卿は、友は。

 暴徒と化した領民の前に出て、其の怨嗟に身をさらしているというのか?


 そして、ついに停滞の破滅を告げる其の声が、転生者の幌を震わせた。





「私の首を取れ」

 じゃり、と輩の蹄が地面を擦る。





「戦でもない、国からの要請でもない。

 此度の搾取はいたずらにわが身の放蕩から起こした処遇である。


 ゆえに我が首を取れ。

 

 ここに国王陛下への嘆願書をしたためて置いた。

諸君の決起が反乱ではなく、

其の正義を私自身が認めたものであると記したものだ。

 我が首とこの書を持て、国に保護を求めるといい。

これまでの我が剣働きにその程度の価値があることを、

必ず王は認めてくれるだろう」


 ちがう、と転生者は叫びだしたい衝動にとらわれた。

 もし報紙が語るように、領民諸君が嘆くように、

領地の運営が悪化したのであれば、それは悪神の仕業だ。


 そしてその悪神の思うがままに振舞うことを許した自身の敗北が招いた惨事、自分がかの黒い光の飛まつに弾き飛ばされていなければ!




「ちがう…………俺の聞きたいことばはそんなことじゃない」

しかそ其の時まだ青年の、

もしかしたら転生者自身とそう変わらない年頃の領民が否を告げた。


「こんな紙切れに書かれた許しを、俺たちはほしいわけじゃない。

どうしてこんなことになったのか、真実をあんたの口から聞きたいんだ、

ムルジム卿。

魔物どもとの戦の前、領地を査察に来たあんたと分けた、

芋鍋の味を俺は覚えている。

必ず勝つとあんたは言った、

そして一緒に領地の未来を語り合ったじゃないか」


「んだ、今日みたいに優しい赤い月夜だった

…………あんたのつらぁ、あん時からまったくかわってねえ」

「どうしても、悪辣な仕業を考えるような顔に見えねえ」

「ほんとのことをいってけろ、納得するし、

今度は気の根っこ掘り出してかじっても麦さおさめるから、

絶対に収めるから…………」


 愛の言葉だった、瀬戸際でこぼれ出た領民たちのむき出しの本心。

 怒りの淵がほんの少しだけ引いた底にあったのは、

これまで愛された領主へ向けられる悲嘆であった。



 しかしムルジムの口から真実が語られることはない。

 謎の心変わりの果てに、

傾国に至るまでの悪事を繰り返した妻の事を最後まで隠し立てしたままで。

 ほかの放蕩貴族たちと館を出て言った妻の目もなく、

領主に最後まで尽くすと残った家人たちも放逐して。

 たった一人、誰からも愛された領主は愛するために、

愛した者たちに討たれんとするのだろう。




 そして、ほの赤い夜の空気を切り裂くように、

赤子の鳴き声が全員の耳朶を打つ。

 其の声はなぜか、転生者を呼んでいるような気がした。




 膠着した時を崩すのは、飢えで子を亡くした母の叫びであった。

 鋼を鞘走らせる音、地獄の底から響かせるような金切り声。

「ああ、あんたが死にたいってのは良くわかったよ

、一思いにこの包丁をふりおろしてやるさ!!

…………でもね、せめてあんたの子供はあたしがもらってゆくよ!

子供に罪はないんだ、あたしが単なる村の子供として、

しっかり育ててやるよ!!」

「んだ、みんなで育てる!!」

「自慢の馬車もうっぱらっちまうべ、ちちしめだいにあてるべ!」



 


――――――神よ、転生者は問うた。

――――――私は、ただあきらめるためにこの地に転生してきたのですか?







 転生者はほんのわずかの間、

言葉を交わしただけのムルジムをどう思っているか自問した。

 ただ物言うだけの無機物と化した自身に、なお友情を感じてくれた男。

 わが子をめぐり合わせ、未来を語ったその友の瞳には一点の曇りもなかった。


 果たして、この地に正しく人の子として、彼の子として転生できたとしても。

 今の自分の体たらくをして、はたして胸を張れる自分であっただろうか。

 

 否、何をどう取り繕うとも、

 こんな燻っているだけの自分が女にもてようはずがない。

 自身の望みと友の未来をつなぐ為、転生者は一考を案じた。


 だから事を成すそのために!

 




 響天ぎょうてん号は答えを出した、其のたくましい後ろ足で地を駆け、

領民の前に座り込む主を掻っ攫う所存である。

 だが、一歩を踏み出そうとした其のとき

――――――背後で誰かがうなるのだ。

 いつも気の抜けたような気配で、彼と屋根を共にしていた“だれか”


 主が愛した誰か、主の子の顔をみて子を愛そうとした“誰か”

――――――神の気配をわずかに宿した“何者か”。



『ぉお…………おおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!






ウゥォォォォォォォォォォォッッッッッ!!』







 賢馬活目、しかと正座。

 今まさに、奇跡が産声(ROCK)あげる間際、

夜風よまさか風向きが変わるのか!?それは追い風か!!


 声高になく赤子、力の限りうめく赤子、

生まれるはずであった一つの命、

たとえ分かたれようともそれは月夜に共鳴している。


『神よ、たとえ自分自身が望まなかった転生だとしても、

けしてモテない新たな命だとしても。

硬く目を閉ざしていても愛してくれたものが確かにいたのだ、

今もなお自身に愛する心があるのだ。

奇跡を見せてくれ!否、起こしてやる!!

この手も足も出ない状況下、私の救いの手を待つ半身がいるのだ、

手をこまねいている場合ではない。

否、手を引かれずとも二本の足で……』




 友たる領主にいい格好を見せよう、

 さあ――――Wake up(おきろ、じぶん) 

  




           腕 が 突 き 出 し た。




 馬車の車体が派手な火花を散らせ、

車輪が金属音をかき鳴らすと地を叩き割るように膝をつき。


 幌を腰元でまわすとそれは外套のように広がった。


 目が開く、首を上げ、目が光り、口が産声(ROCK)あげ、

 その目が、前を向く。


 ゆっくりと上体を起き上がらせる頃には、傍らで草をすりつぶすための頑丈な歯をむき出して笑う輩が見えた。



 望んだ四肢に望んだ力。

神よ感謝する、望み変えようともチートは正しく受け取った。




 さあ、冒険の始まりだ。








 かすかに地を揺らす振動、そしてゆっくりと近づいてくる謎の音。

 ムルジムと領民は動きを止め、辺りを見回した。


 《アレナロゥズ》の地に暮らすものにはわかるまい、

そのガションガションという金属音は

大地を踏みしめるショック・アブ・ゾバーの音である。

「あれは…………私の…………馬車、なのか?」

 月明かりを背に、館の影から其の身をあらわす巨人

 親愛なる読者諸君の基準に当てはめれば身長7メートルにもなろうか。

 嗚呼諸君、屋根から首が飛び出て見えるほどに、その転生者は背が高かった。


「馬車…………?」

「領主閣下の…………自慢の馬車?」

「馬が………傍らの馬が…………大きいのにあんなに小さい…………」


 徐々に怪音を高鳴らせ、近づいてくるその巨体に、

領民たちはそろって腰を抜かした。




『ムルジム卿……………』

 膝を突いて互いの顔が見えるほどになっても、

ムルジムが見上げなければならないほどに其の顔は高い位置にあった。

『まずは領民たちの、目の前の愛に答えてくれ、。

 そして苦しくとも、親身に接してくれる人と共に今は身を潜め、

再起を待て―――――追い風を待つ、恋心のようにな』




 詩篇ポエム!?

 驚きを隠せない者たち。 




『いずれ家族がそろうときが来る、きっと笑えるときが来る

…………だからそれまでは…………この子供は私が育てる!』


 おお、ドヤ顔で親指を自身の胸に指し示し、

其の反対側になる巨人の手のひらでは、 転生者と祖を別った、

赤子のテリオスがキャッキャッと笑顔を見せていた。

 読者諸君、それはもうえらい喜びようだ、

まるで欠けていたものを取り戻したかのような様だ。

 ムルジムもつられて笑顔を見せざるを得ない!

ちょっと引きつっているけれども!!


 やがて中折れ帽のへりを蹄でしゅっと擦る響天ぎょうてん号とともに、

門をくぐる自慢の馬車を、そこにいるものたちはただ見守っていた。



 馬と赤子と、よくわからない何者か。

 彼らの、冒険の第一歩を。






 今はまだ、転生者の望みは赤い月しか知る術があるまい。

 だがしかし、近く諸君の前に、転生者の望みが形になって現れることだろう。


『テリオス、君の父が望んでいた、騎士人形に私はなろう。

 君が望むままに知識を与えよう、外敵を討つ剣になろう。



 そして喜べ、必ずや。

 ――――君を“モテモテ”に育て上げてやるぞ!!』




 舞台はこの夜から14年後。

 三国の中心位置、冒険者の町から始まる。


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