金の車と汚れた車
見透かすような美しい蒼の瞳に、時が止まったかと思った
それでも瞳に映る自分に現実へと引き戻された
「・・・・それだけか?」
神様をどう思っているかだって? そんなの決まってる
「憎いと思ってますよ。俺の人生めちゃくちゃだ。隣の芝は青いって?青いどころか花まで咲いてやがるってんだよ!母さん死んで、親父はある意味あの時死んだんだよ。この顔のせいで学校のやつにはゴミのように扱われて、大人には腫れもの扱いだ!帰ったってまた殴られて!それでも・・・・いつかは報われるんだって信じてやってきたのに今度は交通事故だよ。俺が何をしたんだよ?なぁ・・・・」
終いには少女の胸ぐらまで引っつかんで叫んでいた
しかし少女はあくまで表情一つ変えず、蔑むように詩友を見つめる
もう限界だった 今まで切り離されてきた感情が詩友を支配したように思うようにコントロールできない
溢れ出した涙はもう詩友には止められなかった
「・・・・戯言はそれで終わりか。」
「―っ?!」
突き放すように言い放つと少女は詩友の手を叩き落とした
詩友自信何が起きたか理解できず困惑した顔で少女を見つめる
「っと、まあここで私が単語を並べたところで、特に何の意味もなさないだろうからな。しかし今の言葉には流石の私もイラっときたからな、言わせてもらうが金のかけられた立派な建物に居座って捧げられる酒や食物を毎日毎日食ってたらな、どうやって願い事が叶えられる?どうやって人が救える?のんびり寛ぎながら救えるような力があったらな・・・」
一つ呼吸を起き、鋭い目つきで詩友を見据えた
「世の中にこんなにも苦しんでる人々は溢れかえっていないんだ!」
「―っ」
「人間が描いた都合のいい神様なんかどこにも存在しないんだ。お前が望めば、幻想と現実の違いに苦しむやつの世界ってのも見れるぞ。・・・さぁ、どうする?お前が望めばその世界を見ることができるんだ。」
差し出された白い手を見て、乾いた涙でパリパリの頬はうまく動いてくれずただボケっと見つめることしかできなかった ただ、どんな大人の同情よりも偉人の言葉よりも詩友を暖かくしたのだ
「・・・ふつつかものですが。」
「・・・うむ。よろしくしてやる。」
ただ、女の子に情けないところを見られたのは悔しかったからにっこり笑って今度こそしっかり そのてを握った