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進まぬ車と進まない話

 よく偉い人は「前を向いて生きろ」だとか「辛いときは上を見ろ」と言うが、上を見たって教室の中じゃあ真っ白な天井が汚れてるなぁとか早く授業終わらないかなぁとか思うだけだし、グラウンドに立って上を見上げたってだだっ広い青い空に過去の偉人が残した言葉が適当に浮かぶだけだ


だったら僕は下を見る

人の溢れるこの大通りには前を向いてスーツを着こなした大人の落としたお金がチラチラと落ちているのだから


バイト禁止の学校に通う僕にとって百円だってとても大きい

勿論、大きな数字の書かれた紙は交番に届けるさ

でも大抵の大人は取りに来ない


・・・・よって僕は悪人にならずして大金を手にすることができるのだ


と、まぁそれは僕の勝手な理屈の通らない意見だがそれはまぁ偉人だって同じだろう


そんなわけで僕はあの日もいつものようにコンクリートとにらめっこして通学圏内を歩いていたわけだ

いつものようにクリーム色の壁の服屋で右に曲がり、いつものようにガラスケースにキラキラしたものを見せびらかしている宝石屋の前を通り過ぎる


花屋、雑貨屋、イタリアンレストラン、靴屋・・・・・

そして、美味しそうな匂いのするケーキ屋の前の交差点を渡る


・・・・はずだった


渡っていいはずの音は確かに鳴っていた

周りの人は動かなかった

僕はコンクリートと見合いをしていた

だから気づかなかったんだ

トラックが突っ込んできていることに



「やっぱり、前を向いた方がいいのかもしれない・・・・」


「私もそう思うが、お前が気にすべき点は今そこではない事は確かだ」


ジンジャエールをストローで吸い上げて唸ってみる


つい先ほど、僕は彼女の手をとったわけだが・・・・

それはもう全てが訳わからなくなったからであり、特に何も考えていなかった

つまり、彼女の言葉を思い返してみて一番聞かねばならんことは一つである


「・・・・・あなた頭大丈夫ですか?」


「それはつまり私が存在しないヒーローに憧れる哀れな中2病だと言いたいのか?」


「・・・・先ほどまではそう思っておりましたが今は美しい美少女だなぁ、どうやって攻略しようかなぁと考えを巡らせております!!!」


つまりはお前が中2病かァァァァァァァ!!!! と回し蹴りを喰らったのはそれからわずか0.2秒のことでした



ヒリヒリと痛む頬に先ほどまで飲んでいたジンジャエールのプラコップをあてる

パンツは見えませんでした


分かったことは、彼女が自称神様であること、金髪の美少女であること、

回し蹴りが馬鹿みたいに上手い事


服装は、白の半袖のブラウスに黒のスカート、それに・・・・


「青い蝶の柄の着物の羽織・・・?」


「ん、これか? 綺麗だろう・・・・」


裾を持ち上げ、愛しそうに撫でると目を細めた

よほど思い入れのあるものなのだろう


「うん、いい色だと思うよ」


「本当か?!」


物凄い勢いで詰め寄ってくる少女に後ずさりながらなんとか肯定の言葉を返せば、そうだろう・・・と頬を赤らめた


これでは話が進まない


「で、あなたは何なんですか?」


急に話を戻した詩友をジトリと睨むと目の前のメロンソーダをすすった


「神様だ」



 さて、ここで僕が粘ったところでこの物語は進まない


「で、その神様が僕に何の用ですか」


「だから、さっき言っただろう?神様にならないかって。つまりは君をスカウトしに来たんだ。神様にならないか、とね」


「だから僕はその意味が理解しかねますって言ったんです」


「「・・・・・」」


二人は思った こいつめんどくさいなと


氷が溶けカロンと時間の経過を告げる

少女は長い髪を後ろに流すと溜息をつき話し始めた

詩友はといえば美少女の小さな動作にこっそりと見惚れていたのだった


「説明する前に一つ聞いておこう 君は神様をどう捉えている?」


改めてそう聞かれるとなかなか出てこないものだ

聖書や絵画などで描かれている様子を見ればイメージとして浮かぶのは人型である

RPGやライトノベルじゃあ魔法とかバンバン使えて言葉が古風な敬語といったかんじか

高校生にもなって神様の話などする機会もなければ、ましてや詩友に友人などいないためこれと言ってない


「何でもいいぞ?」


「・・・・偉そう」


「・・・・それだけか?」


ドキリとした 見透かすような青の瞳にたじろぐ

幼いころから恨んできたのだ 自分の救われない人生を作った神という存在を


ああ、そうだ 僕は神様が憎い







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