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最初の車の壊れた音

享年16歳 藍波 詩友 (あいは しゆう)

死因はトラックに跳ねられ即死


び、びっくりした 気づいたら頭を熟れたトマトのように赤く染めブランドの並ぶ大通りのコンクリートに張り付いていたのだ


「…俺、死んだのか?」


足元に転がる醜い死体の顔には浅黒い大きな火傷の傷が張り付いていた


やっぱり、俺死んだのか………

どうしよう、成仏とかしないといけないよな

あー、でもこんな醜いやつ、天国に置いときたくないよな


「死んだら逃げれると思ってたけど、割と居場所ないのな」


ガラスのショウウィンドウを見つめる死んだ自分は映らない


ふと、自分の生前を振りかえる

学校に行けば父親につけられたこの傷のせいで虐められ、家に帰れば日課のように父親に殴られた



明日も明後日も昨日も一昨日も

時間をどんなに操っても同じような日々の繰り返しだ


小さい頃は漢字練習ノートいっぱいに神様へ憎しみの言葉を並べた

死の象徴である赤鉛筆で 、手に握りしめた跡が残る位に


小さなちゃぶ台と転がる空き瓶

破れたカーテンと染み付いた煙草の匂い


壊れた写真たての中で笑う幼い俺と微笑む両親


その部屋にまるで絵に描かれた背景の様に存在した俺


惨めな人生だった 楽しい記憶などない 未練などない


ただ、やっぱり神様は助けてはくれやしないんだという信じるものを失った空虚さに渇いた笑いが漏れる


ああ、憎い 何で空はあんなに高い これでは神様は僕らをアリンコのようにしか見ないではないか


憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い



それでも僕は神様が在ると信じたいんだな………


なぁ、頼むよ 一度だけでいいから


「助けて……助けてくれよ!!!!」


一人の少年の小さな叫びは 生き絶えた少年の身体を運ぶ救急車の音にかき消されていったのだ………

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