不器用なボクの愛を君はヤンデレと言った。
ある時ボクは恋をした。
ボクを助けたやさしいあの子。
好きだなんて言えないから、ただひたすらに見つめてる。
幸せになんてできないし、ボクは意気地無しだから、
君の笑顔を見られたら、それでいいやと思ったんだ。
君の想いは届きやしない。諦めればいいのにと彼女は言った。
ある時あの子は恋をした。
あの子は夢見る少女の様に、男の名前を呟いた。
やさしいあの子が好きになった、アイツはなんて幸運なやつだと、ボクは思ってあの子を見つめる。
あの子は幸せそうだから、それならいいやとボクは言う。
彼女は呆れた顔をして、幸せそうねと呟いた。
あの子の恋が実を結び、あの子はいつも楽しそう。
あの子が恋した男とは、どんな奴かと気になって、そいつを探しに行ったんだ。
あの子が恋した奴だから、さぞ素晴らしい奴だろう。
ボクじゃあ敵わない様な、立派ですごい奴だろう。
彼が羨ましいのかと、彼女がボクに問いかける。
どうやらきっと、そうだねと、彼女を見ずにボクは答えた。
アイツをやっと見つけたよ。
あの子が恋した幸運なアイツ。
あの子に愛されているなら、素晴らしい奴だと思ったのに、
ボクが見つけたアイツときたら、酷く馬鹿げた奴だった。
彼女に愛されるに値しない、ダメで馬鹿なやつだった。
彼が憎いの、と彼女は聞く。そうかもしれない、とボクは呟く。
やさしいあの子が好きだから、幸せになってほしいと思ったよ。
ボクじゃ幸せにできないから、あの子が好きになった奴が、あの子を幸せにしてくれればいいのに。
あの子を幸せにするやつを、あの子が好きになればいいのに。
他力本願はかっこ悪い、と軽蔑した目で彼女は言った。
願うだけじゃダメだね、とボクは小さく頷いた。
アイツと会えなくなったのと、あの子は携帯を見つめてる。
メールの返事もくれないし、電話に出てもくれないと、可愛く頬をふくらます。
あの子の頭はアイツでいっぱい。
始終画面を見つめては、来ない返事を待っている。
でもね、返事は来ないよ、とボクは小さく呟いた。
アイツじゃ幸せにできないから、あの子の舞台からは退場をしてもらったんだ。
あの子の笑顔が見れなくて、周りの人も心配してる。
ボクもとっても心配で、元気を出してほしくって、
だけどボクは臆病で、何にも出来やしないから、何も言わずに見てるんだ。
その内忘れてしまうわ、と彼女は言って付け足した。
女の子ってそういうものよ、と。
あの子が再び恋をして、可愛い笑顔がまた見れた。
あの子は笑顔が似合うから、ずっと笑ってくれてたら、
幸せに笑ってくれてたら、言う事ないのにと思ったよ。
今度の相手は前よりも、素敵なやつだといいね、って彼女はボクに言ったから、
本当にそうだ、とボクは返した。
あの子はボクを見ないし、ボクはあの子を見てるだけ。
繋がりなんて一度だけ、あの子が助けてくれた事。
それでもボクは好きだから、やさしいあの子が好きだから、
あの子の笑顔が見られる様に、あの子の幸せを願うんだ。
君自身はそれで幸せ、と彼女がボクに問いかける。
あの子の笑顔が見られるなら、幸せだよ、とボクは返す。
あなたがそれで幸せなら、それもひとつの幸せかもね、と呆れた顔で彼女は言った。
歌の歌詞くらいのイメージで書いたので、語呂重視です。
細かい設定も一応あったりするけど、その辺は想像で補ってくれるといいな、なんて。