月光日和
かつて一度も戦禍の降りかかったことのない平穏な世界。その中にある一つの村に、アルメリアという少女がいた。花屋を営む家庭に生まれた彼女は、幼い時から花に囲まれ、花をこよなく愛する心優しい少女だった。
彼女には夢がある。一つは世界に存在するあらゆる花の中から、自分が最も美しいと思う花を見つけること。もう一つは、まだ見ぬ外の世界、海の向こうへ渡り、そこに存在するであろう未知の自然と存分に触れ合うこと。
十七歳の誕生日を間近に控えた今、その夢の一つを叶えるための一歩を踏み出す時が近づいている。数年前より、十七歳となった暁には、一人旅に出て各地の自然を見て回るという約束を取り付けていたのだ。両親は娘の一人旅に初めは難色を示していたが、数年前に森で拾って以来すっかりなついてしまった狼、リリスを連れて行くということで渋々許しをだしたのである。
まだ見ぬ景色に思いを馳せながら、月の光を思わせる白銀色の瞳の狼と共に、アルメリアはついに村を発つのだった。
彼女には夢がある。一つは世界に存在するあらゆる花の中から、自分が最も美しいと思う花を見つけること。もう一つは、まだ見ぬ外の世界、海の向こうへ渡り、そこに存在するであろう未知の自然と存分に触れ合うこと。
十七歳の誕生日を間近に控えた今、その夢の一つを叶えるための一歩を踏み出す時が近づいている。数年前より、十七歳となった暁には、一人旅に出て各地の自然を見て回るという約束を取り付けていたのだ。両親は娘の一人旅に初めは難色を示していたが、数年前に森で拾って以来すっかりなついてしまった狼、リリスを連れて行くということで渋々許しをだしたのである。
まだ見ぬ景色に思いを馳せながら、月の光を思わせる白銀色の瞳の狼と共に、アルメリアはついに村を発つのだった。