1836.8.21.
再拝啓 謹呈
松平播磨守殿 御座前
前日八月十八日、私めが妖魔騒動の儀を上申いたしました折は、誠に恐懼の至りにございました。本日、改めて書状を捧げ、その後の次第を御報せ申し上げます。
先の書状を差し上げた後、私めは油断なく夜昼を問わず密使を山中に放ち、伏せ手を設けておりました。すると昨日八月二十日夕刻、果たして三人の者が山道からひそかに現れ、その様子いかにも怪しく、血に染まった衣や刀斧を携え、また背には奪った米穀や布帛を負っておりました。私めは直ちに手勢を率いて包囲し、捕縛に及びましたところ、三人はこれに抵抗いたしましたが、格闘の末にすべて捕らえ、うち一人は重傷を負い、すでにその罪に伏しました。取り調べたところ、この者どもは各地を渡り歩く盗賊の一味であり、先頃より夜陰に乗じて山中で妖怪の振りをし、獣の骨や燈火をもって村民を脅し、その隙に略奪を働き、前後の殺害二十余名はすべてこの一味の所業であり、妖怪などでは決してございませんでした。今、首魁は誅され、残党は獄につながれており、地方はすでに静謐を取り戻し、村民も次第に帰村し、人心は落ち着きを取り戻しております。
先の誤報により妖異の儀を申し上げ、大人に御心配をおかけいたしましたことは、私めの探索の至らざる所であり、その罪、万死に値するものでございます。幸い事は治まりましたゆえ、以前お願い申し上げました陰陽師の御派遣は、ひとまずお止めくださいますよう伏してお願い申し上げます。無駄なお足労をおかけすることもございますまい。私め、今後は目を配り、防備を固め、再びこのような手落ちが生じませぬよう、厳に努めてまいる所存にございます。重ねての御報告の儀、失礼の段、何卒御寛恕のほどお願い申し上げます。
慌ただしくも取り急ぎ御報せ申し上げ、言葉足らずながら、ご自愛くださいますようお祈り申し上げます。
恐惶謹言
天竜在住
佐々木平八郎
天保七年八月二十一日
松平播磨守殿
御侍中様方 転呈にてお届け願います




