2026.7.19.
“よっ、来たね。”
“うん、チケットもう買った?”
“いや、現地で買おうと思ってて……ていうかお前午前中何してたんだよ!俺のメッセージ、12時に返ってきてさ、今からだと3時の回しか見れないじゃん!”
“ごめんごめん~でもさ、その劇場版、前に俺もう観たって言わなかったっけ?なんでまた……”
“再上映だよ再上映!あの時観たのはBlu-rayだって!映画館で観るって経験は絶対に逃せないだろ!”
“はいはい、それもそうだね。”
“そういえばさ……午前中、超宇宙刑事ギャバン インフィニティとカポン・アンリミテッドに夢中になってて、スマホ全然見てなかったりしない?”
“いやいや、あの2つはもう2週間前に切ったわ。”
“え?まさか切ったの?前にめっちゃ面白いって自慢してたじゃん!”
“カポンは最初から評価あんま良くなかったしな……ギャバンは最近の展開が微妙すぎて、今までの雰囲気とかなり乖離してる感じがして……ありきたりな和解展開とか、一番ベタなやつでさ……高橋さん一体何してんだよ……。”
“じゃあ家で何してたの?12時まで寝てた?”
“そんなとこ……でもそれだけじゃない。昨日の夜にスレを一つ見かけちゃって、怖くてしばらく眠れなかったら、起きたらもう昼だった。”
“どんなスレそんなに怖いの?お前、普段結構度胸あるじゃん、ホラー映画だって深夜に一人で見るくせに。”
“ホラー映画はまた別だよ。あれは作り物だからさ。今回のは……なんていうか、あまりにもリアルすぎて……ちょっと気持ち悪い感じがした。”
“で、何が書いてあったんだよ。”
“天沪市の方で女の子が列車に轢かれたんだって。”
“何かニュースで見た気がするけど、そういうニュースって毎日あるだろ。何が特別なの?”
“問題は、現場の動画を見ちゃったってこと。”
“動画?まさかその場で撮ったやつ?誰が公開したんだよ。”
“匿名掲示板で……撮影者は現場にいたもう一人の女の子で、亡くなった子が線路の上でポーズ決めて、それを撮影者が撮ってたんだって……”
“わあ、自殺行為じゃん。”
“かもしれない。最初はすごく普通だったんだ。ポーズしてる子もすごく楽しそうに笑ってて、スマホのカメラはその子に向いてて、後ろには線路と山があるだけで、何にもなかった。で、突然……”
“突然何?”
“動画の映像が一面緑色に覆われたんだ。”
“緑色?電波が悪い時みたいな?”
“そんな感じ。緑のコードで、だいたい3秒くらい続いたかな。”
“編集ソフトのエラーかもしれないし、わざと加工したんじゃない?”
“スレのコメントでもそう言ってる人いたよ。でもその緑のコードが消えた後……”
“そのあとどうなった?”
“突然、半分くらい通過した列車が映ってて……ポーズしてた子はもう倒れてたんだ、線路の枕木の上で。頭の横が血だらけで、体がピクピクしてた。”
“………”
“本当に、意思のない痙攣みたいな感じで、一回一回、だいたい3、4秒ぐらい痙攣した後、動かなくなった。”
“列車はいつ来たんだよ?”
“それが問題でさ、スレで幽霊列車だって言う人もいれば、普通の列車だって言う人もいて……”
“信じるの?そういう都市伝説とか。”
“わかんないよ。でも動画は本当にリアルだったんだ。スマホで適当に撮った感じの揺れとか、光加減、木の葉の影……後で作ったようには見えなかった。それに天沪市在住のネットユーザーが、事故の時友達が現場にいたって言ってたし……あっ!ヤニねこだ!”
“本当だ!ヤニねこ!でもバスにこういうの印刷して大丈夫なの?”
“見てよ、下に『禁煙』って書いてあるじゃん!そういえば、あれ観た?”
“俺に聞くの?中間テストの時にもうアニメ化前に何回も漫画勧めたじゃん!?!?”
“ああ、忘れてたかも……はは。”
“俺の話、いつも聞き流してるだろこのクソ野郎!”
“ははは、ごめんごめん。でも本当にさ、あのスレを全部読んだ後で、一番気持ち悪かったのは緑のコードじゃなかったんだ。”
“お?じゃあ何?”
“下の方のたくさんのコメント。”
“どれ?”
“‘ざまあ’みたいなやつ。”
“確かにちょっと自業自得なところはあるかもな……”
“……それに『恥ずかしながら勃起した』って書いてるやつもいた。”
“うわ……それは確かにやりすぎだな。”
“だろ?いくらなんでも、あれは一つの命だよ。十七歳の女の子が、放課後、ただ友達と楽しく写真を撮ろうとしただけで、次の瞬間にはもういなくなったんだ。もし安全意識が足りないとか、線路の近くに立つべきじゃなかったって思うなら、『安全意識が足りないね、みんな気をつけよう』でいいじゃん?なんでわざわざ他人事みたいに喜ぶような言い方するの?冗談なのか本気なのかもわかんなかった。”
“それ、ちょっと大げさに言いすぎじゃない?”
“そうかな?”
“そうだよ。ネットって元々適当なもんだし、大抵の人は口が軽いだけで、書き込んだらすぐ忘れるんだよ。別に人が死んだのを本当に面白いと思ってるわけじゃない。ただの空気の問題で、みんながそうやって書くから、それに乗っただけ。”
“……じゃあ、それって空気がおかしいってことにならない?”
“また始まったよ。何でもでっかく考えすぎ。ただの掲示板のスレだよ、何万人もの言動をいちいち気にしてられるか。”
“俺って敏感すぎる?”
“自分でもわかってんの?”
“それと……あのスレの中に、ずっと引っかかってる細かいところがあるんだ。”
“どんなところ?”
“多くの人が、線路はずっと何もなかったって言ってたんだ……でも俺だけは最後に出てきた列車が見えた気がして……”
“?”
“つまり……緑のコードが消えた後、列車は半分くらい通過してたんだけど、下のコメントで列車のこと言ってる人がほとんどいなかったんだよ……代わりに見えない何かって話ばっかりで……”
“つまり、最後の列車が見えたのはお前だけだったってこと?”
“そう。”
“本当に見えたの?”
“うん。”
“お、それってお前、霊感あるんじゃね?”
“……ふざけんなよ。”
“ふざけてないよ。もしかしたら明日からお前、某青少年アニメの主人公になるかもな、『霊異少年ミフネくん』とかどう?”
“ちょっと真面目に話してくれよ……あ、映画館涼しい!”
“でもすごい空いてるね、夏休みなのに?”
“ファミリー向けの映画がそんなにないからじゃない?ポップコーン食べる?”
“いらない、コーラでいい。”
“はいはい、じゃあコーラ一つとオレンジジュース一つ、そして『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [後編] 永遠の物語』を2枚。”




