第6話「夜勤明けの敗北」
その日は夜勤明けだった。
夕方に帰宅してシャワーを浴びたあと、なんとなく机に向かう。今日は頑張ろう、そう思って開いた問題集だったのに——
気がつけば、机に突っ伏して眠っていた。
「……また、寝てた」
時計を見ると、30分以上も経っていた。開きっぱなしの問題集、握ったままのペン。
悔しいような、情けないような。夜勤明けに無理しても、集中できないことはわかっていたのに。
ふと、岡田さんの言葉を思い出した。
『夜勤明けは捨てる時間って割り切った方がいいわよ。無理に詰め込むと逆効果』
私は諦めて布団に入り、目を閉じた。
明日の朝こそは、ちゃんとやろう。
そう心に決めて、眠りについた。
翌朝、私は気分を切り替えて、1問だけでも確実に取り組もうと決めた。
開いたのは、この問題だった。
【令和5年度 介護支援分野・問題8】
地域包括支援センターの業務に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。1つ選べ。
1.地域包括支援センターは、保健所が設置主体となっている。
2.主任介護支援専門員は、地域包括支援センターに配置される。
3.地域包括支援センターは、訪問介護を実施する事業所である。
4.地域包括支援センターは、要介護認定業務を行う機関である。
昨日の失敗があった分、今朝は集中して選択肢を見比べる。
【解説】
1.誤り
→ 地域包括支援センターの設置主体は市町村。保健所ではない。
2.正解!
→ 地域包括支援センターには、主任介護支援専門員が配置される。他に社会福祉士・保健師なども。
3.誤り
→ 訪問介護を実施するのは訪問介護事業所。包括支援センターでは実施しない。
4.誤り
→ 要介護認定の事務は市町村の介護保険担当課が行う。包括支援センターは支援業務が中心。
「主任ケアマネが包括にいる……これは覚えたぞ」
勉強は、やる気よりもタイミングと集中力。
それを教えてくれたのは、夜勤明けの眠気と、自分の悔しさだった。
【今回の学びポイント】
地域包括支援センターは市町村が設置する
配置されるのは主任介護支援専門員、社会福祉士、保健師
包括支援センターは訪問介護や認定業務は行わない
夜勤明けは無理に勉強しない=戦略的休息日も大切!