第4話「仲間の存在、岡田さんとの出会い」
休憩室でおにぎりを食べていたとき、ふと耳に入った会話に手が止まった。
「また落ちちゃったわ、ケアマネ。今年で3回目よ……」
そう話していたのは、パートの岡田さん。50代のベテラン介護福祉士。いつもは明るくて頼れる存在だったのに、その声には少し疲れがにじんでいた。
私は思わず声をかけていた。
「岡田さん、ケアマネ試験……受けてるんですか?」
「うん、何度もね。でも、なかなか難しいのよ、あれ」
その後、岡田さんはコーヒーを淹れながら語ってくれた。
家事と仕事に追われて勉強時間が取れず、夜はウトウトしながら過去問を開き、頭に入らずそのまま眠ってしまう日々。
でも、「後輩にケアプランを語れるようになりたい」という思いが原動力だった。
「あなたも受けるんでしょ? 一緒にがんばろうよ。情報交換しよ」
思いがけないその言葉に、私は胸がじんわりと温かくなった。
一人じゃないんだ。
その日、岡田さんが貸してくれたのは、自分でまとめたノート。
そこには、こんな問題が書かれていた。
【令和4年度 介護支援分野・問題11】
居宅介護支援に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。1つ選べ。
1.居宅介護支援は、都道府県の許可を受けた事業者が行う。
2.居宅介護支援事業所は、居宅サービス計画を作成する。
3.居宅サービス計画の作成にあたっては、原則として本人の署名は不要である。
4.居宅介護支援は、要支援者に対して提供される。
岡田さんのノートには、各選択肢のポイントが手書きで書き込まれていた。
【解説】
1.誤り
→ 居宅介護支援事業所は「都道府県の指定」で運営される。許可ではない。
2.正解!
→ そのとおり。居宅サービス計画(=ケアプラン)は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーが作成する。
3.誤り
→ 原則として「利用者の署名(または押印)」が必要。意思確認が重要。
4.誤り
→ 居宅介護支援は「要介護者」が対象。要支援者は地域包括支援センターが対応。
ノートの隅に、岡田さんのメモがあった。
「計画書=誰が作る?誰が対象?どこに提出?」この視点でいつも考える。
勉強って、こうやって視点を育てることなのかもしれない。
【今回の学びポイント】
居宅介護支援は「都道府県の指定」で運営される
居宅介護支援事業所は、要介護者を対象にケアプラン(第1表〜第7表)を作成
作成には原則として利用者の署名または押印が必要
要支援者は地域包括支援センターが対応