やっすい映画
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
恋愛、いいえ、交友に置いても。
人の話はちゃんと聞くものですよ。
私に言われたくはないでしょうが。
恋人と二人で映画を見ていた。やっすい恋愛映画。互いが互いに好きあっていたのに、些細な事、互いが互いに大切な所を聞いてなくて、すれ違いに発展していく話。
――私が一番、貴方の事が好きなのに……。どうして何時も此方を見てくれないの?
――お前の事しか考えてないよ!! お前は何を見てんだよ!!
本当にやっすい話だった。恋は盲目と言われているが、大切な相手の愛まで見えなくさせるものなのか。
映画のエンドロールが流れ始めた時、突然胸ぐらを掴まれて唇を奪われた。呆気に取られる間もなく首に腕が回り、後頭部に手が乗る。そうして相手の唇に押し付けにかかる。
「突然どうした?」
「何でもないよ。ただしたくなった」
口では何でもない顔でそう言っているが、本当はそうでは無い。目を見ればよく分かる。僅かに不安に揺れて、其れを掻き消す為にキスをしたのだ。
俺の恋人の愛は愛と定義して良いのか分からない物だ。今のように、余りにも一方的に思いをぶつけてくる。
欲しがって、欲しがって、奪って奪って、押し付けて、押し付けて、其れでもまだ足りないと叫び続ける。まるで一夏に灯った篝火の様に燃え上がる。
其れは愛と言うより、恋と定義した方が相応しいぐらいだった。
……やっすい映画だと思っていたのだ。けれども他でもない俺の恋人がその体現ではないか。一方的に全てを欲しがって、俺から向ける矢印に気付かず、勝手に狂っていく。
其れでも其れが、やっすい映画のような関係が、愛おしくて仕方がない。
「置いてかないでね」
「何時置いてったよ。お前を」
お前が全てを、一方的に押し付けて来るんだろうが。捨てようとしても、全て拾い上げて、戻すんだろうが。だから『置いていく』という事自体、有り得ない。させてくれない。
其れでも何が不安なのか、恋人は必死に俺にしがみついて来る。
「これから先の話をしているんだよ……。私が全て知ってると思ってる。だから逃げ道は全て塞いでる。でも……これらもそうだとは誰も言えない」
だから黙って背中に手を回した。回す必要が無い手を。
そう、少女漫画。少女漫画なんです。
もう頗る読みたくて。奇声上げながら。
ヒーローが“訳あって”元カノだったり、当て馬に優しくして、ヒロインが不安になる。喧嘩になる。
少女漫画あるあるなんですよ。
読みたい。久方振りに吠えたい。
『何してんの!? 其れやっちゃイカンやっちゃ』
って言いたい。
感情ぐちゃぐちゃにして、オイオイ泣きたい。
※元ネタ分かるかな。
作者は彼氏さんのお友達が好きです。
お友達は、ヒロインの事は彼の事を幸せにしてくれるから気に入ってる。
だから別にヒロインの事はぶっちゃけどうでも良い。
何かあったら、彼氏さんに全力で味方する。
大事なんだろな……。とじんとしました。
そういうの弱いんで。
まぁ、そんな感想は置いといて。
もしも、そんな少女漫画しかり恋愛映画見ていたら、世の中の彼女さん、不安になるんじゃないかと。
彼氏さんツンデレだろうなぁ。
『相手が捨てさせてくれない』って言っても、こういうタイプはガチめに面倒臭くなったら、問答無用で捨て去るよ。
鏡花が瑠衣たんにガチ恋した時に書いた話でいて欲しいな。