エピソードⅣ 修行と任務と力の片鱗
前回に引き続きありがとうございます
よし内容が気に入って頂けたらいいね、コメントよろしくお願いします
ピピピ...とうるさいくらいの目覚ましの音で目が覚める
私は目を覚ましつつ今までのことを振り返っていた。
少し前のことになるだろう、私は友達の凛と夏休みに一緒に補習を終えた帰りだった、私は能力者に襲われたのだ そこでは今までに感じたことない恐怖があったその後私は"能力事件対策組織"の幹部である
天宮菜月さんに助けられた その後私は倒れたのだが菜月さんが言うには私は魔力暴走を起こした所を菜月さんにより気絶させられ助けられた。
私が目が覚めた時 私は知らぬビルに連れていかれていた、そこで私は珍しい能力者であり魔力の制御が必要なこともあり私は組織の研修生として活動しないかとスカウトされた。
不安もあったが決める前に連れて行ってもらった仕事で私は能力者の奥深さや未知の部分に惹かれたのもあって能力者の道に進むことになった、能力者の道に入ってから慌ただしく修行の日々や組織の幹部の人達...菜月さんの同期の方々である 藤崎翔真や志波泰我さんに久磨巧の面々と仲良くしていっていた
ちなみに巧と翔真の2人を呼び捨てにしているのは巧にはそう読んでくれと頼まれたからで、翔真は初対面の時に胸を揉まれるというセクハラをされたのでもはや尊敬の念など無いので思いっきりタメ口で最低限の敬語で接しているという訳だ。
そんなこんなでもう集合時間が迫って来ていたので急いで家を出る、本社に着いた時巧と菜月さんの2人が入り口で談笑していた、急ぎつつ
「遅れました〜」
と私が声をかけると
「まだ集合時間前だから安心していいよ〜」
と私をフォローしてくれた。
準備をしつつ巧と話していると
「じゃあ〜そろそろ行きますかぁ」
と菜月さんが背を伸ばしながら荷物をまとめている
「あっ..そうそう今回は空を飛んでいくから」
と言った
私は魔力操作がまだまだなので空を1人では飛べないので他の人に掴まったりしていくのと空を飛ぶ経験がほとんどないのと安定しない状態は高い所が平気な私でも怖いものは怖いのだ
私が顔を青くしていると
「大丈夫大丈夫 今回は巧の背中におぶって貰うといい、と...言うかそのために連れてきた」
そう言って菜月さんはストレッチをしている
私は巧の背におぶられると 次の瞬間...体がフワッと浮く感覚と共に空を飛んでいた
目まぐるしく景色が変わる中私はこのままでいいのだろうか…と考えていた魔力操作の修行は順調に進んでいるらしいのだがやれることと言えば魔力を外に出して操作することができること程度だ、そもそも能力者と言っても私は自分の能力の事を全く知らないのだ
魔力操作の修行をする前に少し気になったので菜月さんに聞いてみたのだが
「能力については魔力操作の基礎修行が終わったあとでだ、能力を半端に覚えると危険なのと九音の能力なら私よりもうってつけの教官がいるからね」
と言われたのでお預けされている
本当にこのままで組織の荷物になってたりしてるんじゃないか...とそんなことを考えていると
気がついたら任務場所に着いていたようだ
ゆっくりと巧の背から降りると私は普段では絶対に見ない物が目に飛び込んできた。
空間に亀裂が入っていた、確かこれは前に説明された "綻び"だったよな...と考えていると
「今回の任務の説明をしていく」
と菜月さんの声が聞こえたので説明を聞く
「今回はこの綻びを解決する、部下の説明では今回の綻びはそんなに広くないとの事だから、私は単独で被害者の救出をする 巧と九音はモンスターを倒しながら魔力操作の応用技術"巡"の習得をしてもらう。 巡って言うのは九音が今習得した受と操の2つを使って体内で魔力を巡らせて肉体を活性化させ強化する技だよ。」
と教えてくれたが巧の方を見てみると少々不安そうな顔をしていた
「菜月、今回の綻びは俺が実力を出すまでも無いって考えていいんだよな? 今の所見られてるモンスターの種類は?」
「恐らく大丈夫だろ、被害者の位置まで判明しているけど被害者付近にモンスターが通常よりも多いから私達に出番が回ってきたって訳だし、出現するモンスターは動物型と異形型のみって言っても人型が今まで綻びで見られたことは無いんだけどね、」
と私にもわかるように説明をしてくれている 説明は続き
「モンスターの種類だけど現実にいる動物に近い見た目や特徴を持ったモンスターが動物型、人と同程度の知能を持っていて二足歩行のモンスターが人型、そしてそれ以外の異形型、異形型は色々な種類がいるけど出るとしても弱めの植物を模した植物型だろう
だけれども概念型を発見した際には戦わずに逃げろ
概念型っていうのはまぁ見た目で言うのは難しいが発見されているものには全て共通点があって"黒い灰"のような魔力を纏っている個体のことで なんで見つけたら逃げろって言うと基本的に強く私たちでも手こずる個体も稀だけどいる。そしてもうひとつ巧は誰かとコンビを組むのが得意じゃないんだ、魔力操作が苦手って理由でな、加減してる時はいいんだけど本気だと九音も巻き込む危険性があるってことで以上」
そう切り上げ準備していく
巧が、不安そうにしていた理由にも納得していると
「今回はゆっくり弱めのモンスターを倒す程度で巡の習得に専念しよう」と巧は言う
それを了承して私達は綻びへと向かう
綻びへ手を伸ばすとそこは自然豊かな樹木生い茂る樹海だった 菜月さんは速攻で被害者の元へ向かう
巧は私に
「じゃあ特訓をしていこうか..と言っても受と操をたったの2日で出来た九音ちゃんなら大丈夫だろうけどね
まず魔力を受で知覚するそっから操を使って体内に送り出す大体の場合心臓から送り出すとやりやすいよ」
と教えてくれた
試しにやってみると知覚した魔力を操作しようとすると何故だか体外に魔力が出そうになってしまう
何度か試行錯誤していると魔力を血管内に流すイメージでやると不安定だったのが段々と安定していく
そこから30分ほどやってみると多少動いても魔力が乱れずに体内で巡らせれるようになった。
それを見ていた巧は驚きながら
「いやぁ本当に筋がいいんだねぇ ちょっと嫉妬しちゃうかも」
と私をほめてくれた
「そのまま巡らせたままジャンプしてご覧」
と言われたのでやってみると普段より圧倒的に高く樹木の葉に頭がつきそうになるほどにジャンプ力が上がっていた。
「いいねぇ本当に凄いよ じゃあこのまま近くのモンスターの所まで行ってみようか」
といい森の奥へと進んで行ったので魔力操作をイメージしながら着いていくと
狼のような見た目のモンスターがいた
「動物型だね なら九音ちゃんそのまま巡らせたまま近ずいてぶん殴ってみようか」
と少々物騒なことを言われたがここで躊躇っていたら能力者になんてなれやしないのでまず樹木に飛び乗ったあと狼の後ろに飛び降りて飛び蹴りを繰り出した
そうすると狼モンスターは信じられない程に吹っ飛び樹木に激突した後動かなくなった
「はぁはぁ..やったぁ!!」
と多少興奮しながら達成感でテンションが上がりはしゃいでいると
「いやぁ..すっごいね 魔力操作の飲み込みもそうだけど初めてでここまで動けて躊躇いなく殺れるのは間違いなく能力者の才能があるよ」
と驚いき感心したように私を褒めてくれた
その後
「じゃあゆっくりと巡を解いてみようか」
と言われ個人的にはここまで操作に慣れてきたのだから多少気にしないでもいいでしょと思い多少セーブして解除しようとすると体内の魔力が発動した時よりも圧倒的に魔力が乱れる
あっ..といいながらも巧は私を抱き寄せ魔力を操作して整えていく 多少楽になり起き上がると
「やっぱり普通の人とは違って魔力操作に癖があるっぽいね 菜月から聞いたとおりに魔力の発動は得意だけど解除や調整が厳しいっぽいね」
と私に言いながら うーんと頭を捻っている、何かを思いついたように
「うーんと俺も魔力操作が得意な訳じゃないからなんとも言えないけど能力者の中でも偶に能力に依存した魔力だったり能力の特性が操作性に反映されることもある 九音ちゃんの場合三重能力者って菜月が言ってたから普通の場合よりも圧倒的に難しいんだと思う」
そう言いながらも話を進めていく
「それで俺が昔やってた方法があって解除や調整に苦戦する場合頭の中のイメージを一つ一つ工程を細分化して最初はゆっくりやっていくそれから体が慣れだしたら段々と工程を早めていくって方法があってね
本来はあんまり勧められる方法じゃないけど多分九音ちゃんは普通のやり方だと魔力に自分が殺されることになりそうだからね」
そういって試すのを進める
私はさっきよりもゆっくりとイメージを細かくしていきイメージがある程度できたら今度はその中で分けてそうなイメージを分けていく、巧がこれを勧めないやり方だって言うのも頷けるこの方法はあまりにも非効率で地味なやり方なのだ、このやり方を1時間ほど繰り返していくと解除に段々と慣れてきたそしてこのやり方を縮めてやっていく、そうすると最初よりも負担が無く早く解除出来るようになった。
「やっぱり筋がいいね まさか数時間で解除をできるとはね でも普通の人よりもまだまだ遅いのはもう宿題として毎日やっていくしかないね」
そう言うと巧は無線で
「こちら巧 訓練があらかた終わったので救出を開始していいよ〜」
と連絡してから数秒後
この世界が揺れている、大きな魔力が破裂するようなオーラが世界を満たしていくそれと同時に大きな獣の咆哮のような音が響く
「これは警戒音これが鳴ったらだいたい救出メンバー以外は撤退の合図、今回は九音ちゃんもいるし菜月なら単独で救出できるし今回は撤退だね」
そう言って巧についていって撤退していく
空間の歪みが見えそうな瞬間、綻びの前に何かドロドロとした物体が集まっていく それが人のように二足歩行で歩き出す、それを見た巧が私に
「九音、最悪のケースだ概念型のモンスターだ
今から俺からできるだけ離れて、それと巡を展開して樹木の上とかに隠れてて」
そう言って巧は魔力を解放していく周りの空間がどんどん歪んでいく、私は樹木に飛び乗り大体5分ほど離れたところだろうか...次の瞬間、私から10mほど先にある樹木が消え去っていく。
モンスターの見た目がはっきりと見える
太陽と月のが回転しているようなよく分からない形のモンスター、地面を見てみると1部焼き焦げているような部分やおかしな形にひしゃげている
恐らくあのモンスターは太陽と月...つまり熱や重力の様な力を操るモンスターだったようだ
巧に向かって火球や歪んだような玉が撃ち込まれていく、巧はそれに向かって腕を振り下ろすと、火球や歪んだ玉がひしゃげ地面へと向かっていく、じっくりと戦いを見ていると後ろから
「よっ」
と声がして危うく叫び声をあげるところだったが後ろを見ると若い男を背負った菜月さんが樹木に座っていた
「ここには簡易の結界を張ったから座って見てて大丈夫、それよりも巧頑張ってるじゃん」
そう言って観戦気分の菜月さんに
「援護に行かなくていいんですか?」
と聞くと菜月さんはニヤニヤと笑ったような顔で
「大丈夫ってかあいつの場合下手に近づかない方が実力を発揮できるし周りを巻き込まなくていい
あいつの能力は"重密"範囲内の重力や物体の密度を上げるって能力なんだよ、でも欠点として魔力操作がとんでもなくしにくいって特性がある
普通の人なら能力を持ってるのに能力者として活動出来ない程なのにあいつは努力の末に今の力を勝ち取ったってわけ 卑下してるけど普通の魔力だったなら魔力操作は異常な程高性能だったろうね」
そう言っているうちに2人の方から大きな炸裂音が響いた、私がギョッとしながら見るとなんと両者共に相手もぶん殴っているのだ 確かにあれならば魔力を腕に操作するだけとお手軽ながらも他の守りが薄くなるというデメリットがあるだろう実際2人から発生した重力により身体には既に多くの傷がある 何とか助けようと思った瞬間、私の手には拳銃が握られていた 菜月さんは目を見開いて驚きつつも
「それをあいつに撃ち込め!」
と言われるがままに狙いを定めて撃ち込む、巧がそれに反応し重力操作によってスピードをあげていく弾がモンスターに命中した、そのおかげだろうか段々とモンスターの動きが遅くなっていきどんどん拳を打ち込まれる、そんな格闘が数分続きモンスターは重力に飲まれ跡形もなく消えた。
周囲の重力が消えたなか私は菜月さんと共に巧の元へ行くと巧は辛そうだが命には別状は無さそうだ
そう思っていると菜月さんは巧を気絶させる、何事かとぎょっとしていくと
「ついでに纏の訓練もやっちゃおう、大丈夫先に巡を覚えたならあとは簡単 巡をしつつ魔力を外側の皮膚に惑わせるように操作するだけ」
そう言われたのでやってみると今まで放出しないように気をつけてた巡から外に魔力を纏うように巡を出すと体が軽くなったかのような感覚があり菜月さんはそのまま巧を背負うように促すそうして試しに背負ってみると普段の学校にいく登校用の鞄より軽いくらいで思わず変化に驚く、菜月さんはそんな私を見ながら
「お疲れ様、今日のあれは大金星だった、明日からも修行だけど朝から昼までは巧に教えて貰った方法を訓練しな」
それを了承して私達は綻びを後にするのだった
綻びから出ると同時に空間にあった亀裂が跡形もなく消え去った、それを確認した後巧を待機してたギルドの人に渡す、そうして私は家に帰るのだった。