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仮面writerカートゥーン  作者: 極楽司狂
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第0冊 盲目の英雄譚

物語が始まる少し前。

まだ、ページは創られていない。

黒いペンキで塗り潰した様な常闇が、途方も無く何処までも広がる世界。

まるで星の無い宇宙のようなその空虚な世界に、突如として禍々しい紫の光が散った。

それらは空間を腐食する様にジリジリと広がっていき、無限の闇に4つの風穴を開ける。


その中から現れたのは、身体のそこかしこに不気味で厳めしい怪物の証を宿した、4人の人物だった。


ひとりは、整えられた漆黒のスーツを身に纏い、紫の宝玉が妖しく煌めく杖を所持し、視る者を魅力し吸い寄せる様な橙の瞳を宿した紳士。

その胴体はまるでポールの様に細長く、彼の被るシルクハットには牙や角があちこちに生えている。


ひとりは、足まで届きそうな程長い紫の髪を持ち、漆黒のコートに身を包んだ背の高い女性。

その黄色い左眼は死人の様に生気が宿っておらず、顔の右半分は前髪に隠れて見えない。

左腕には紫の冷たい装甲の様なものを纏っており、その先の手にはまるで死神の鎌の様な長く鋭い爪が備わっている。

背中からは燃え盛る紫炎の翼が生えており、まるでこの世の全てを呪わんとする怨霊のように揺らめく。


ひとりは、漆黒のワンピースを着込み、漆黒の帽子を被った幼い少女。

ふわりとした紫の髪を持ち、瞳は紅く、背中には鋼の様に重く硬い甲羅をリュックの様にして背負っている。


ひとりは、陰に身を隠す漆黒のマントを羽織り、ところどころ破れた衣服を着込んだ、放浪者の様な中性的な女性。

頭に欠けた猫耳を生やしており、右腕には鉤爪を装着し、槍の様な尻尾を持っている。


紳士の男が、鋭利な牙を光らせ高らかに笑った。

「フハハハハハ!喩え封印されようと、俺は何度でも君臨する!やはり俺!!TUEEEEEEEEEEEEEEE!!!!」

【四大神獣】〝オレガ系〟担当、オレリュウ。

彼は杖を手の中で華麗に回すと、闇以外に何も無い空中にふてぶてしく腰かけた。


続けて、髪の長い女が、右手で顔面を引っ掻き、絶叫した様に嗤った。

「ア"ーーーッハハハハハハハハァ!!蘇ったァ!!私等の事封印しやがった胸糞悪いカス共、ざまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!あんな奴ら、大ッ嫌いだ!!!」

【四大神獣】〝ザマァ系〟担当、オウホウ。

彼女は瞳孔を大きく開き、釘を打ちつける様に闇の中でひとしきり何かを嘲笑すると、背中の紫炎をより燃え上がらせた。


甲羅を背負った少女は、困惑した様に辺りを見回すと、怯えた口調で言った。

「ひ、ひぇ……?気がついたら皆がおはようしてるの、なぁぜなぁぜ…?私、また何かやっちゃいましたか……??」

【四大神獣】〝ムジカク系〟担当、ムジカメ。

彼女は胸の前でぎゅっと手を握ると、わざとらしく紅い瞳を潤ませた。


欠けた猫耳を持つ女は、見せびらかす様な大きな溜息を吐くと、首を振り、気怠げな口調で言った。

「ヤレヤレ……そんな事も分からないのか?〝その刻〟が来たんだよ、〝その刻〟が。ようやくね」

【四大神獣】〝ヤレヤレ系〟担当、シラネゴ。

彼女は闇に寄りかかって欠伸すると、逢えてぼかす様な言葉を強調し、薄ら笑いを浮かべた。


「……ッたく相変わらず五月蝿いわね、まさか貴方も一緒だなんて。お茶にミミズを混ぜて出された気分だわ、胸糞悪い」

オウホウはシラネゴの姿を見ると急に不機嫌になり、顔を右手で引っ掻き続けながらその黄色い左眼で彼女を強く睨みつけた。

「……ヤレヤレ、また面倒な奴と付き合わなきゃならない事を思い出したよ。貴方も一緒だって?当たり前じゃないか。君が仲良くボクと一緒に封印される結末に辿り着いたんだからねぇ」

シラネゴはそう言って肩をすくめると、口元を手で隠し意地悪く笑った。

「け、喧嘩しないで……私、また何かやっちゃいましたか……??い、一旦落ち——」

尚も瞳を潤ませたムジカメが、オロオロしながら一触即発な2人を宥めようとしたが、それはすぐに如何なる空気をも吹き飛ばす大声によって掻き消された。

「フハハハハハハハハハハハ!!貴様らの醜い小競り合いなど俺は少しも興味が無い!何故なら!!間もなく再び〝あの世界〟は我等の……いや、『俺』のモノとなる!!!俺だけが!!!〝あの世界〟を最も相応しい形にデザインする事が出来る崇高な存在なのだァァァァァァ!!!!」

オレリュウは、細い身体を広げ、白目を剥いて絶叫した。

シラネゴは呆れた様に半笑いで言った。

「ヤレヤレ……『ポイント』のひとつも無い内に何言ってんのさ。紳士の癖に品の無い奴だね」

「オマエには品どころか何一つ無いわ」

オウホウがすかさず口を挟んだ。

オレリュウは不敵な態度をとったまま、続けた。

「フン、みっとも無いぞ我が愛すべき脇役共。たかが『ポイント』如き、直ぐに集まる。

……(コピペ)ろうじゃないか、新たなる世界を」

オレリュウは、杖を妖しく輝く紫の彗星の様にヒュルヒュルと回転させると、口元を三日月の様に歪め、闇すら霞む邪悪な笑みを浮かべた。


「狭き幻想の創造主に…………成ろう」







皆はどの神獣が一番気に入らないかな?

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