苦い苦いコーヒー
朝、慣れたブラックコーヒーを胃に流し込んでから出勤する。
いつのまにか自分のものになっていたこのルーティーン。
そういえば、彼に影響されて始めたんだっけ。なんて思い出してみる。
高校2年生の夏、文化祭。
私は文化祭のいわばリーダーを務めていて、彼は副リーダーだった。彼は仕事もよくできたし、頭も回る。学内でもトップの成績を誇る。そんな彼が、自分の下で仕事をする。彼から、ちゃんと尊敬の意を感じていた。才能とかそんな言葉に囚われる気もないけれど、尊敬されることは純粋に嬉しかった。
そんな彼が、毎日のように飲んでいたコーヒー。側には甘いお菓子。彼は甘党だった。あれ、ブラックじゃなくて、カフェオレだったっけ。ブラックを飲んでいたのは、誰だっけ。
まぁ、いっかと思考を放棄して、今日も淡々とデスクに向かう。
君は今、どこでどんな仕事をしているんだろう。連絡を取り合うような仲でも、恋愛のしがらみがある訳でもないのに、お互いしっかり繋がれているような、そんな気がしてならない。私も、もう少し頑張ってみるね。そう呟いてみた。