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ピンク・スコーピオン!!  作者: 水柴ロク
8/22

#8 突然の出来事(2)

挿絵(By みてみん)

 12歳の頃を、よく覚えてる。悪い事が起きると前向きになれない自分がいた。みんなそうかもしれないけど、自分一人が不幸で、希望が無いと、そう思い込んでいた。



 惑星ロッソ。砂漠と岩山が目立つ星。デッド・オリオン司令官・ナンバー1999は、アリーヤ・カルティエを自身の城の個室に招いた。

「座りたまえ」

アリーヤは席についた。

「私はナンバー1999。惑星ロッソの最高責任者だ。デッド・オリオンの所有する惑星に、きみたちは無断で入った」

「入っていません。惑星の近くまで来たら、撃ち落とされたんです」

アリーヤはすかさず反論をした。1999は話題を変えた。

「きみの持っている光を出す箱には、治癒能力があるそうだね。きみの仲間の傷が治っている事を、私の部下が確認した。」

「そんな能力があるなんて、私は知りませんでした。マイクはどこにいるんですか?」

アリーヤの質問に、1999はムッとした。

「質問をするのは私だ」

部屋に彼の部下が入ってくる。

「労働階級の一部が反乱を起こしました!」

「すぐ対処しろ」

そう言われ、部下は退出した。

「秩序を乱されては困るんだよ。きみの宇宙船のせいだ。クラリクス星人が暴れている」

「クラリクス星人?ここはロッソ星じゃないの?」

アリーヤは聞き返す。

「知らずに来たのか?ここはロッソ星。我らがデッド・オリオンの植民惑星だ。」

アリーヤは驚いた。

「別の星から連れてきてるの?」

「そうとも言えるな。普段は従順に働いてくれるんだよ。逃げ出せると思い込まない限りはね」

ロッソ星はデッド・オリオンに制圧され、住民は重労働を強いられた。やがて、ロッソ星人が数を減らすと、一番近い惑星クラリクスから、クラリクス星人を新たな労働力として連れて来たのだと言う。

「非人道的な行為は今すぐやめてください!」

「地球人ごときが何を言う?」

1999は、部下に命じてアリーヤを牢屋に入れろという。部下二人がアリーヤを連れ去ろうという時、一人がカメラを取り上げた。すると、カメラがピンク色に発光し、1999の部下は思わず、カメラとアリーヤの腕を手放した。カメラを手でキャッチし、部屋から逃げるアリーヤ。長い廊下を走っていく。

「追え!あいつを追うんだ!」

アリーヤはカメラの光の指し示す方角を走る。行く手を阻む兵士たち。カメラを持ったアリーヤは、敵の光線銃のビームをすべて避け、その場で高くジャンプした。


ピンク色の光のバリアに包まれたアリーヤは、頑丈な城の天井を突き破り、そのまま外の空へ飛び上がり、惑星ロッソの成層圏にまで達した。


カメラの光が消えると、アリーヤはハッと我に返る。


「ちょっと、ここどこ?いっ、息が……!!」


アリーヤはそのまま急降下し、岩山のふもとにゆっくりと着地した。地面にしゃがみ込むアリーヤ。


「くるしい……」


アリーヤは息を吸い込んだ。


「マイクを助けなきゃ」


すると、アリーヤをそっと木陰で見ている宇宙人が目に入った。宇宙人はひどくおどろいているように見えた。アリーヤは息をととのえた。


「Hi,私はアリーヤ。ここはどこ?」


アリーヤは声をかけた。相手は小さな子どもくらいの大きさで、毛のない水色の頭部に黒い目をしている。

「ロッソ……」

「あなたの名前は?」

「リゾル……」

「リゾルね。よろしく」

リゾルは空を見上げ、そしてアリーヤの顔を見た。

アリーヤのカメラがピンクに光り、光はリゾルの方角を指し示す。アリーヤはハッとする。

「もしかして、救難信号を出してくれたのはリゾルなの?」

リゾルはそれを聞いて、首をかしげるようなそぶりを見せて、岩山の方角へ走っていく。

「まって!」

アリーヤは駆け足で追いかけた。

リゾルは岩山の影に潜んでいる仲間に声をかけた。アリーヤを見たリゾルの仲間の宇宙人は、リゾルに対してある機械を手渡した。


丸いカプセル型のヘンテコな機械。リゾルがしゃべるとその機械から、言葉が聞こえてきた。

「私はリゾル。クラリクス星人リゾル。我々はデッド・オリオンに対抗する。クラリクスとロッソは団結する」

アリーヤは驚いたが、手にカメラを握り、返答した。


「デッド・オリオンの非人道的な行いは、必ず止めさせましょう。私は地球人の、アリーヤ・カルティエです!」


12歳の頃、自分一人が不幸のどん底にいると、アリーヤは思い込んでいた。アリーヤはその頃を思い返すと、リゾルたちを救おうと、心に決めたのだった。今のアリーヤは、12歳のその頃に比べると、少しだけ、前向きになれたのかもしれない。


アリーヤはリゾルたちに、自分の宇宙船の事を言った。

「あの宇宙船を取り戻せれば、デッド・オリオンたちをこらしめて、クラリクス星もロッソ星も取り戻せる気がするの。」

アリーヤのカメラの光は、地球でいう東の方角を指し示した。リゾルたちはアリーヤの意見に賛成した。


一方その頃、惑星ロッソのデッド・オリオン基地。司令官である1999は部下に対して激怒した。

「地球人ごときも捕まえられんとは!デッド・オリオンの恥さらしめ!」

1999は一通り怒ると、こういった。

「まあいい……地球人はまだ、赤い鉱石の事を知らん。知らないうちに捕らえるのだ!」


つづく……


©2023MizushibaRoku

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