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ピンク・スコーピオン!!  作者: 水柴ロク
6/22

#6 生きてほしい(2)

挿絵(By みてみん)

 朝食を終え、街を歩く2人。

「アリーヤ、キミはどこから来たんだ?」

「コロニーの外からだよ。ちゃんと2人とも、入国審査は済ませて入ったから気にしないで」

「2人?もう1人いるのか?」

「あぁ、その人は今、別居中」

「ケンカしたのか?」

「してないよ!それぞれの夢を、追いかけてるの!」

アリーヤとマイクは噴水の出る公園に着いた。

アリーヤは噴水を背景に、マイクを写真に撮った。


「記念にどうぞ」


カメラ下部から出てきたその写真を、マイクに手渡すアリーヤ。

「いらん」

そっけなく返事をするマイク。2人は、昨日の橋に通りかかった。

「アリーヤ、昨日ここで会った時から、気になっている事がある。キミはおれの名を知っていたな」

アリーヤは昨日、マイクを助けた時、彼の名前を呼んでいた。

「ある人が、エデン・コロニーには天下の剣豪が居て、その人を仲間にすれば良いって言ってたの。」

「それがおれか?」

アリーヤはうなずいた。

「剣豪だったのはおれの親だ。おれは剣豪じゃ無い。」

「そっか。ウワサはあてにならないね。」

「そのために、おれを助けたのか?」

「ちがうよ。」

「ちがう?」

「私はある組織から宇宙を救うために、旅をしているの。でも、マイクを助けた理由はそんなのじゃ無くて、生きて欲しいと思った。目の前で橋から降りようとしているマイクを見て、止めなきゃって思ったの。」

「生きて欲しい?会ったこともないおれにか?」

「ここは地球人にとって不利な場所。こんな所はもうサヨナラして、私と一緒に旅をしない?宇宙船をもってるの。」

「……」

マイクは、黙り込んだ。

「ごめん、こんなの勧誘みたいだよね。強制はしない。5日、猶予をあげるから、その間に決めといて。」

アリーヤは立ち去った。マイクは1人、考え込んだ。

「ミノリ、おれはどうすれば良い?」

そこへ、身の丈2メートルの巨大な宇宙人が現れる。

「見つけたぞ、マイク・リデル!お前を連れて行く!」

大きな宇宙人はマイクにつかみかかった。

つかみかかってきた腕をはらうマイク。が、大きな宇宙人はなお、追いかけてくる。


一方、別の場所にいるアリーヤは、考えていた。

「冷蔵庫にある野菜とか、勝手につかっちゃったけど、マイク怒ってないかな……」

マイクの身に起こっている事は知らないようだ。

アリーヤは商店街に入った。

地球産の野菜や果物は、ちらほら見られたが、肉類や穀物らしきものは無く、代わりに青い色をした宇宙生物の肉類が並んでいた。

「これが文化の違いか……」

アリーヤは驚きを隠せなかった。

「コアが居てくれたら、いろんな場所を説明してくれるんだろうけどなぁ」

その時、アリーヤが首に下げているカメラがピンク色に発光し、アリーヤが来た道を指し示した。


「これは、何!? まさか、マイクの身に何か起こったの!?」

アリーヤはその光の方角へ向かって走り出した。


イトウ・マイクは追い詰められていた。

大きな宇宙人は手に刀を握り、襲いかかってくる。マイクはそれを避けるので精一杯だった。


「イトウ・マイク・リデル!お前に残された選択肢は1つ!」

大きな宇宙人は声を荒げた。


マイクは答えた。

「分かってるよ。お前はキミタケの刺客だな?」


「そうだ!お前がキミタケ様の所に来ないのなら、ミノリと同じ運命を迎える事になるぞ!」

宇宙人の挑発に、マイクは乗ってしまった。

「なん、だと?おれを怒らせたな!」

突如、何もない空間に刀が転送され、マイクはその刀を手に持った。

マイクはその刀で、刺客の宇宙人に立ち向かう事にしたのだ。

刀と刀がぶつかり合う。

そこへ、アリーヤが駆けつける。


「刃傷沙汰は、やめろー!!」


精一杯、叫ぶアリーヤ。


「なっ、何だ!?」

大きな宇宙人が、アリーヤの方へ振り向いた。

「すきあり!!」

マイクは、相手の刀を、自身の刀で弾き飛ばした。

大きな宇宙人の刀は、遥か遠くの、空き地の地面に付き刺さった。

さらにアリーヤがカメラのフラッシュを浴びせると、刺客の宇宙人は逃げて行った。

「このままで済むと思うなよー!!」

宇宙人はそう叫び、あわてて走って行った。

「サンキュー、アリーヤ」

マイクはお礼を言ったが、アリーヤは心配そうな表情でマイクにたずねる。

「ケガは無い?」

「ああ、このとおり。先に言っておくが、おれはサムライでも忍者でもない。」

マイクは冗談を言ったが、アリーヤは笑わなかった。

「旅の件だが、……おれも同行しよう。宇宙は危険な場所だ。キミを守るよ。」

そう言われて、アリーヤは笑い出した。

「あはは、分かった!私を守ってくれるマイクを、私が守るよ!」

「なんだそれ!」

楽しく笑い合ってる二人を、遠くで見守っている人物がいた。 

リーフ・フライである。

「イトウ・マイクよ。少々たよりないが、アリーヤの護衛についてもらうぞ。いづれまた会おう、キャプテン・アリーヤ!」


マイクはその日、思い出の写真に向かってこう言った。

「ミノリ、……おれは旅にでるぜ」

アリーヤはマイクと共に、エデン・コロニーを出た。





一方、別のスペース・コロニー。

レジスタンスの作業員は、人工知能のコアから記録チップを取り出した。

「チップは無事だぞ」

「そのようね」

指令室。

チップの内容は、全て映像として写しだされた。

「コアは敵に正体を気付かれ、あわてて脱出ポッドから逃げたのか……なんてざまだ」

「そして、コアをかくまってくれた少女が、アリーヤってわけね。」

コアのマイクロチップの映像を見終わったジーン総帥は、宇宙空間へ生身で飛ばされたアリーヤの生存を、信じていなかった。

すっかり修理されたコアは、司令官に訴える。

「アリーヤは地球を、否、宇宙を救いました。クレッセントも、彼女の力が必要です……」


つづく……



©2023MizushibaRoku

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