#25 子どもたちの居場所(1)
「アリーヤ」
雲一つない青空。砂漠に寝そべるアリーヤ。
「お前の夢は叶わない。不可能なんだよ」
紺色服の男が言うが、アリーヤはムッとしただけだった。
「平和は争いへの準備期間だ。人類の歴史がその繰り返しである事くらいは知っているよな?」
「知らないよ」
「命には寿命も来るんだ。みんなが仲良くなる事はない。同じ時代を生きない生命だっている。」
「うるさい」
「現実を見るんだ、アリーヤ」
「うるさいっ!」
アリーヤは叫ぶとハッと目を覚ました。
「ここは、どこ?」
「オウル・コロニーの近くだ、アリーヤ」
アリーヤの問いに、コアが答える。
「あれから2週間が経った。イトウ・マイクのケガも癒えている。会っていくか?」
「うん」
アリーヤはジュリアの事が気になった。
「ねぇ、ジュリアは?」
「ジーン総帥の所にいる」
「なんで?」
「話があるそうだ」
オウル・コロニーのビルで、ジュリアとジーンは話をしていた。
「私を含むデッド・オリオンは、地球の子どもを200人近くさらい、宇宙船に収容した。」
「命令したのは誰ですか?」
「オリオンのボスだ」
「オリオン王の事ですか?」
「違う。オリオンのボスは一人じゃない。指示を出したのはもう一人のボスだ。目的は分からない。が、子どもたちの居場所を、私も知っている」
「罠ではないと断言できますか?」
「マジロ星人に訊け。やつらは心を読める。ジーン・ナイト、私もお前に訊きたい事がある。」
「何でしょう?」
「アリーヤをどうするつもりだ?」
「?」
「とぼけても無駄だぞ。お前はマジロ星人などから心を読まれぬよう、バリアーズ・シールを脳に着けている。機密を守るにしても厳重すぎないか?」
「総帥の秘密は狙われやすいのですよ。話を戻しますが、あなたは既にオリオンを裏切りました。地球の子ども達が、移動させられる事はありませんか?」
「それは無い。オリオンの主人にとって、地球人は貴重な動力源だ。それに、一部の兵士が離反した所で、何の問題もない。少ない戦力でオリオンを滅ぼす気か?」
「まずはあなたと捕虜の知っている事を全て答えてもらいます。アリーヤの仲間のサッカロ星人とマジロ星人も使いましょう」
その頃、アリーヤは仲間になったマジロ星人の名前も考えていた。回復したマイクが来る。
「レジスタンスに参加するのか?」
マイクの問いに、アリーヤは答える。
「参加はしないけど、ちょっぴり手伝うよ!」
「何を手伝うんだ?」
「コアから聞いたんだけど、オリオンは地球人をたくさんさらって悪いことをしてるみたいなの。だから、そのさらわれた地球の子を全員助けるの!」
「そうか、おれも回復したから、戦闘時はまかせとけ」
そこへ車椅子の車輪音が聞こえてくる。ブリトニーだ。
「おう、何だおめーは!おれのダーリンに何してくれてんだ?あ?」
ブリトニーはアリーヤと話しているマイクに絡み始めた。
「お前がアリーヤにずっと付きまとっているのは知っている!さっきケレヴィちゃんから聞いたからな!」
「誰だお前は?」
マイクが返事をした。ブリトニーもすかさず返す。
「おれはアリーヤの幼馴染兼許嫁のブリトニー・スミス様だ!覚えておけ!」
「幼馴染ってところはホントだよ」
アリーヤが付け加えた。マイクは用が済んだと言って自分の部屋に帰って行ったが、ブリトニーもマイクに文句を言いながら、彼を追いかけて行った。
「二人とも、仲良くなればいいな」
アリーヤはそう言って廊下を歩いて行った。コアもそれに付いて行く。すると、声をかけられた。
「あら、"アリーナ”じゃない?こんなところで何してるのよ?」
声の主は知った顔だった。いつも不機嫌そうな表情で立っているお医者さん。それはセリアだった。
「アリーヤだよ。久しぶり、セリア」
「惑星ブルーム以来ね」
「リリイとエドナもいるの?」
「当り前よ。このコロニーはあたしたちの地元よ」
コアがを分析して言う。
「セリア・アルジェント、17歳、医学研修生。アリーヤと知り合いなのだな?」
「誰よ、あんた」
「僕はコア。クレッセント所属の案内係だ。アリーヤを客人として案内している」
「そう。じゃ、あたし次の研修があるから」
セリアはそっけない態度で歩き去ってしまった。
アリーヤは宇宙船へ行った。メンテナンス中だ。ウペンド・モヨとトムがいる。
「すっかりお目覚めかい?」
「うん」
「ジーンからの直接の指令だ」
「なに?」
「レジスタンスは戦いに集中したいらしい。それで、お前にさっそく救助の依頼がきたよ」
「おだやかじゃ無い理由……それで、人員は?」
「過去にクレッセントが捕まえた元宇宙海賊や無法者に教育を受けさせ、訓練したそうだ」
「大丈夫なの?それ」
アリーヤの心に心配がよぎるが、モヨは大丈夫だと言った。
「ねぇ、モヨ」
「なんだい?」
「私の船の名前、スコーピオン号にしようと思うんだ」
「オリオンに対するサソリかい?良いじゃないか」
「モヨも仲間に入ってくれる?」
「いいとも。何かチーム名はないのかい?」
「船の中にはピンクの花が咲いているの。だから、チーム名もピンク・スコーピオンだよ!みんなの笑顔を守るチームにするんだ」
こうして、ジュリアの情報を元にアリーヤ達は宇宙船スコーピオン号をタトル銀河へ向けて発進させた。
アリーヤと船員44人の長旅が始まった。
つづく……




