#24 心の少女(2)
宇宙空間。
ナンバー06はジュリアを叱責した。
「何をしている、ジュリア!戦艦を捕らえるのだ!」
ナンバー06は戦艦を捕らえる為の牽引光線を宇宙船から放つ。ジュリアはハッと我に返る。
「私は、私はデッド・オリオンだ!」
ジュリアはそう言って、アリーヤの船を光線で攻撃し始めた。
「母は物心ついた時から壊れていた……私は、デッド・オリオンに育てられたのだ!」
宇宙空間でアリーヤの船は機能停止し、その場でゆっくりと回転を始めた。ナンバー06率いるデッド・オリオンが、アリーヤの船に乗り込んできた。トムたち整備士は構えるが、兵に押さえつけられた。
ブリトニーとコアが、アリーヤがいる操縦室へ向かう。ブリトニーは笑っている。
「はっはっは!おもしろくなってきたじゃねえかよ!」
ブリトニーの笑い声に、コアは反発する。
「何を言っているんだ!お前の友達のガブリエラも、さっきつかまったんだぞ?」
「宇宙脱出ゲームってところか!とにかく、ダーリンの所へ向かうぞ!」
ブリトニーとコアがアリーヤの船の操縦室へ向かうと、そこには小さなマジロ星人とアリーヤがいた。
アリーヤは目をつむって座っている。小さなマジロ星人はブリトニーとコアに言う。
「話しかけてはなりません。アリーヤはジュリアと交渉中なのです」
宇宙船の廊下を走るジュリアと兵士たち。宇宙船を乗っ取るつもりだ。
「私の心に語りかけるな、アリーヤ!私はお前の敵なのだ!」
操縦室の入り口を見つけたナンバー06は、ジュリアに指示を出す。
「操縦室の地球人を捕まえろ」
ジュリアの心に、アリーヤが語りかける。
(止めて、ジュリア!あなたは地球人よ!)
オリオンの兵士がパワードアームで、操縦室のドアをこじ開ける。
「ここまでだな、地球人……」
ジュリアは目を見開いた。視線の先にはブリトニーがいる。ブリトニーはジュリアを見ると、笑顔を見せた。
「おぉ、あの時の姉ちゃん!この間はありがとな!」
ブリトニーの言葉に、一瞬その場の人間も、宇宙人も、敵の兵士も凍り付く。
「ジュリアってこの姉ちゃんかよ、早く言ってくれよ、アリーヤ」
「え、どど、どういうことですか?」
戸惑いを隠せないアリーヤに、ブリトニーは言う。
「ジュリアちゃんはオレらの逃走を手伝ってくれたの。そのえっと、デッドなんとかからな!」
ナンバー06はそれを聞いて、ジュリアの方へ向く。06の目はジュリアへの疑いと怒りで満ちている。
「裏切ったのか?ジュリア」
ジュリアは戸惑う。
「違います、違うんです、お父様!」
ジュリアは戸惑いながら弁明しようとするが、06に手の震えを見破られてしまった。
おもわずジュリアが光線銃を落とすと、ブリトニーは急いで車いすを走らせ、その光線銃を手に取って、ナンバー06のこめかみに銃を向けた。
「デッドなんとか!オレらを開放しないと、やばいよ?」
ブリトニーのその言葉と銃にたじろぐ兵士たち。
「こいつがたぶん司令官だろ。お前らの親玉を返してほしけりゃ、地球人も他の奴らも開放しろや!」
ブリトニーが叫んだ瞬間、宇宙船の上にもう一隻のデッド・オリオン船が現れた。2087である。
「ご苦労様でした、ナンバー06。その船は見たところ、そんなに性能が良くないようなので、あなたと一緒にあの世へ送ってあげますよ!」
「2087!?お前も裏切ったのか?」
「あなたをあの世へ送って、私が昇格するのです!」
2087の宇宙船から、高エネルギーの光の塊が確認された。
「オリオンが仲間ごと葬り去るつもりだ」
コアが言った。
「万事休すか……」
するとジュリアが操縦室から廊下へ走り出た。
「何だあいつ、一人だけ逃げる気か?」
「ちがうよ、ブリトニー。みんなを助けようとしているの」
アリーヤが答えた。ジュリアは腕に着けたワープ装置で2087の船との距離を測り、彼の宇宙船の操縦席ににワープした。2087は振り向く。
「何しに来た?地球人の娘」
ジュリアは大きな声で答える。
「デッド・オリオン2087、お前を倒しに来た!」
2087は剣をもってジュリアに飛び掛かる。が、ジュリアが避けた先には宇宙船の制御装置があった。
火花を散らす制御装置。ジュリアは2087に言う。
「このままビームを撃ったら、お前の船も木っ端みじんだ!我々と共にレジスタンスに投降しろ!」
2087は構わず剣を振り回す。ジュリアも剣を取り出し応戦する。
「こ、この船は、私の船です!誰にも渡さない!」
遠い宇宙の向こうから、クレッセントのエリック部隊とメイジェル部隊の船が20隻ほど現れる。
オリオンの船を囲んだクレッセントの船から、エリック艦長が投降を呼びかける。
2087は慌ててジュリアから離れ、操縦席の赤いボタンを押した。
「自爆スイッチか……」
ジュリアは操縦席から廊下へ走り出した。
「はっはっはー!みんな燃えてしまえぇー!」
次の瞬間、宇宙船は音も無く爆発し、宇宙のチリとなった。
つづく……




