#23 心の少女(1)
「あらゆる生命と仲良くしたい?そんなことは不可能だ」
「命は滅ぼしあうもの。共存はその上で成り立っているのだ。地球人よ、お前の人生には同情するが、このマジロ星には、地球へ帰る手段はない。」
「我々マジロ星人は、お前の戦いに干渉しない。直ちに立ち去るのだ」
宇宙アルマジロのマジロ星人たちはそう言って、アリーヤを睨みつけた。
アリーヤは返事をした。
「私の心を見たんだね。いいよ、あなた達を巻き込むことはしない。オリオンは怖いから、気をつけて」
アリーヤが船に戻ろうとすると、別の声が響いた。
(待って……)
声の方へ振り向くと、大勢のマジロ星人たちの中に一人、小さな子どものマジロ星人が話しかけてきた事が分かった。アリーヤがそのマジロ星人に近づくと、他のマジロ星人たちはどよめいた。
「まだ何か用?」
(ぼくを連れてって……)
アリーヤは少しびっくりしたが、聞き返す。
「本気?」
身長145センチのアリーヤより半分小さなマジロ星人は、返事をした。
「うん……」
アリーヤが周りを見回すと、他のマジロ星人たちは球体に戻っていた。
「好きにしろ、そいつは変わり者。いつも宇宙を夢見ておった」
「夢など混沌の前触れだ。二度とマジロ星に近づくな」
「キレイゴトで平和は得られない。地球人もお前も、宇宙に消えるが良い」
アリーヤは周りの大きな球体に向かってため息をつくと、小さなマジロ星人に言った。
「それじゃ、行こっか!」
その頃、アリーヤ達を見逃した2087は、援軍を呼び出した。
「これはお久しぶりです、デッド・オリオンのナンバー06!地球でヘマをしたんですってねぇ!」
デッド・オリオン2087は、援軍として迎え入れたナンバー06に悪態をついた。と、同時に、ナンバー06の隣にいるジュリアを見て笑った。
「おや、ナンバー06と地球人の娘ですか。あの地球人とナンバー06に似て、これまた結構美しいんじゃありませんか?え?」
ジュリアは2087を睨みつけるが、2087は気にせず話を続ける。
「ある宇宙船を捕獲してほしいのです。宇宙船には地球人が乗っておりますので、あなた方は宇宙船を捕らえてボスに献上してください。我々は乗組員を頂きます。」
「なぜ地球人の船と分かるのだ?」
「宇宙船はレジスタンスの船を収容しました。さ、時間がないですよ」
2087は06とジュリアの身支度を急がせた。
マジロ星から宇宙へ飛び立ったアリーヤの宇宙船は、別の惑星に隠れる事にした。心配そうなトム。
「食料が足りないってのに、よく宇宙アルマジロなんて仲間にする気になったわね」
アリーヤは答える。
「私の夢に共感してくれたからね!仲間にするしかないでしょ」
「夢って?」
「今いるあらゆる生命と仲良くするっていう、私の夢!」
「ムリでしょ」
「ほんとに出来ないかどうかは、自分で確かめる」
宇宙船は飛んでいく。その様子を、デッド・オリオン・ナンバー06と、娘のジュリアが眺めている。
「準備はいいか?ジュリア」
「はい、ナンバー06」
2人の宇宙船は、アリーヤの宇宙船の方へと発射した。
コアのレーダーと、アリーヤの宇宙船のレーダーに反応が来る。
「オリオンめ、また来たか」
宇宙船は逃げるも、敵の速度は速い。今にも追いつかれそうだ。
「どうしよう、このままじゃ追いつかれる!」
アリーヤがそう叫んだ瞬間、小さなマジロ星人はこう言った。
「心配しないで、アリーヤ。片方は味方です。」
「……え?」
「デッド・オリオンの地球人、ジュリアは地球人側のようです彼女の心につなぎましょうか?」
アリーヤは驚いたが、小さなマジロ星人に訊いた。
「つなぐって、何を?」
「あなたとジュリアの心です」
マジロ星人の能力で、宇宙船のパイロットとも話ができるらしい。
「よく分かんないけど分かった!さっそくつないでみて!」
ナンバー06の光線銃が、アリーヤの宇宙船に当たる。船は大きく揺れる。
アリーヤは小さなマジロ星人と手をつなぎ、ジュリアとの接触を試みた。すると、アリーヤの脳内は光に包まれ、小さなマジロ星人と共に、精神世界へと入って行った。
アリーヤの目の前に誰かがいる。長い黒髪に褐色肌、茶色の右目とオレンジ色の左目をしている女性だ。
背丈はアリーヤより高く、マイクと同じくらいだ。
その女性は、アリーヤを見ると不審そうに身構える。
「誰だ、お前は」
「Hi,私はアリーヤ!あなたと同じ地球人だよ!頼み事があって、今、心と心をつないでるんだ!」
「頼み事……?」
「私は、あなたが追っている船の船長です。デッド・オリオンからの攻撃を止めてほしいです」
「地球人、残念ながら私は敵だ。お前たちを捕らえる任務に就いているのだ」
「ウソですね」
「ウソ?」
アリーヤは言う。
「私の仲間のおかげで分かったのですが、あなたは孤独なんです。オリオンと地球人の間に生まれ、板挟みの中で生きてきた。それがあなた。」
「お前の目的は何だ?」
「宇宙を平和にすること」
「だが、それは皆の為ではないだろう」
「命は星空だから」
アリーヤはジュリアに言った。
「星空はキレイだよ。ジュリアも知ってるでしょ?あらゆる生命と仲良くしたいのは、私がみんなのキラキラを、命という輝きをずっと見ていたいから!星には寿命がある。命だってそう。」
「お前は人間を星の一部と思っているのか?」
「みんな宇宙の一部だよ!みんなのキラキラを守る為に、私は全宇宙を平和にする!ジュリアも協力して!」
つづく……




