#21 追跡
ウペンド・モヨはジーンと会っていた。ジーンは、過去に起きた宇宙紛争の映像を観ていた。
「物騒な宇宙になったねぇ。温厚な宇宙アルマジロもご立腹さ」
「そちらの宇宙スクワールは、元気ですか?」
「元気だよ。アリーヤのおかげでね」
アリーヤから通信が入った。
「こちらアリーヤ。デッド・オリオンと接触しました!どうすればいいですか?」
「クレッセントの1小隊を向かわせます。待機していてください」
アリーヤは、ジーンに言われたとおりに待機するつもりだった。が、新たな通信が入った。
デッド・オリオンからの通信だった。
「私はデッド・オリオンのナンバー2087。この宙域でレジスタンスの船の目撃情報が相次いだ。こちらの要求は1つ。そちらにいる地球人を全員差し出せ」
アリーヤ側の小型宇宙船は、クレッセントの物だったので、オリオン側に目撃されたのだ。
「応答するな、アリーヤ」
コアが言った。アリーヤはコアに訊く。
「デッド・オリオンは、地球人や他の種族を労働力にしているんだよね?」
「そうだ」
「地球人全員ってことは、私自身をも差し出せと……冗談じゃない」
アリーヤのカメラがほのかに光った。
「こちらアリーヤ。オリオン側の要求には答えません!」
アリーヤは怒りまかせに、オリオンに応答した。
「地球人は誰一人として、そちらの労働力ではありません!」
ナンバー2087はそれを聞いて、部下に攻撃命令を下した。敵のレーザー光線が、小型宇宙船の外壁をかすめる。
「応答するなと言っただろ?」
「だまるわけにはいかないよ!」
アリーヤはコアに言った。小型宇宙船はオリオンの攻撃を次々と避けるが、宇宙の彼方から、デッド・オリオンの宇宙船が5隻やってきて、一斉に攻撃を始めた。光線は次々と小型船に当たり、やがて船は動かなくなってしまった。ブリトニーが操縦室に来る。
「どうしたんだ?ダーリン」
「みんな、環境適応スーツを着て!」
アリーヤはブリトニー、ガブリエラに指示を出す。バミリオン星の腕輪のスイッチを押す。3人の体は光に包まれ、環境適応スーツに一瞬で着替える。
「どうするつもりだ?」
コアは訊く。
「ここから脱出します!」
アリーヤはブリトニー、ガブリエラと手をつないだ。
アリーヤのカメラはピンク色に発光した。
オウル・コロニーにある、アリーヤの宇宙船が、突如、コロニーの空へ舞い上がった。
コロニーの外へ出た宇宙船は、猛スピードでアリーヤ達のいる宇宙空間へと、たどり着いた。
宇宙船は、オリオン側の攻撃にびくともせず、アリーヤ達4人を小型宇宙船ごと、収容した。
アリーヤとコアが宇宙船の操縦室へたどり着くと、猛スピードでオリオン達のいる場所から脱出した。
「追え!」
2087は叫んだ。
3隻の敵宇宙船から、小型の宇宙戦闘機が出動し、アリーヤの宇宙船を追う。
「このままコロニーに戻るのはまずいよね」
「クレッセントの基地が攻められる恐れがある。」
「他の逃げ場は無い?」
「この近くの宙域に、惑星マジロがある。しばらくそこへ隠れるんだ」
小型戦闘機の部隊は、アリーヤの船をしつこく追ってくる。敵はしばらく攻撃を続けていたが、先頭の一機がペイント弾らしきものを、アリーヤの宇宙船に放ち、付着させると、戦闘機部隊は引き返して行った。アリーヤ側はペイント弾の存在に気付かず、惑星マジロに到着した。酸化鉄を含む赤い地表に、アリーヤの船は着陸した。
デッド・オリオンの2087は、部下に報告をさせる。
「発信機入りのペイント弾によりますと、連中は惑星マジロへと向かった模様です!」
部下の報告に、2087は疑問に思う。
「マジロ星にレジスタンスは居ないはずだ。地球人め、隠れたつもりでいるのだな」
マジロに到着したアリーヤ達に、コアが言う。
「しばらくの間、クレッセントとの通信はできない。うかつに行動しないようにしてくれ」
ガブリエラは不服そうだったが、アリーヤとブリトニーはコアの言う事を聞いた。
「ちょっと、いいかしら?」
聞きなれない声がする。操縦室の入り口に、3人の地球人が立っていた。
「宇宙船の調査と整備をしていたのだけど、オウル・コロニーへは帰れないわけ?」
「あなたは、オウル・コロニーの人?」
アリーヤが訊くと、整備士の一人はトムと名乗った。彼らはオウル・コロニーの宇宙船を整備しているらしい。
「急に宇宙船が発進するからビックリしたわよ。怪我人はいないから安心して」
アリーヤはトム達にあやまると、コアが状況を説明した。
「タイミングを見て、オウルコロニーへ戻るつもりだ」
「それは良かった」
トム達整備士と調査員は、アリーヤが持ってきていたゼリー状の食品を受け取った。
3人の整備士とアリーヤ、ブリトニー、ガブリエラ、そしてコア。
7人はオウル・コロニーへの戻り方を考えることにした。
つづく……




