#18 西へ
オウル・コロニーの街の中。西の方角へと走っていくアリーヤ。
アリーヤのカメラは、相変わらず光を放ち、西の方角を指し示している。アリーヤの後を追う、コア。
「その光は何なんだ?」
「誰かが助けを呼んでる……きっとそうに違いない!」
アリーヤは、裏路地にたどり着いた。そこには、マイクがいた。
「マイク、どうしたの!?」
「たいした事はねえよ、ちょっとケガしただけだ」
マイクは、足に包帯を巻いていた。
そこへ、濡れぞうきんを手にしたフロルがやって来た。
「お仲間ですか。」
「あなたは?」
するとコアが、フロルの顔を分析し、こう言った。
「きみはフロル・ベレゾフスキー。デッド・オリオンにさらわれたうちの一人だね?」
「ああ、あのUFOね。あいつらはいったい、何なんだ?」
そこへマイクが口をはさむ。
「おい、そんな事より、ここから逃げろ!」
マイクは、アリーヤに自分から離れるように言った。
「どうして?何かにおそわれたの?」
「アリーヤ、きみにはきみの、するべきことがある。おれに構うな」
「優しいねぇ、イトウ・マイク」
路地裏の屋上に、フウマと数人の部下が立っている。
「でも、キミタケ様からは逃れられないよ。そこにいる全員ね」
フウマは右手で指をさしながら言った。
「まて、こいつらは関係ないだろ!」
「関係あるよ。イトウ・マイクと関わった時点でね。」
「あなたはマイクの何なの?どういう関係?」
アリーヤの問に、フウマはニヤリとした。
「知る必要は無いよ!」
フウマはアリーヤやマイク達に向けて、手裏剣を投げた。するとアリーヤのカメラがまた、ピンク色に発光し、フウマが投げた手裏剣は空中静止した。
「何ッ!?」
アリーヤがマイクに右手をかざすと、マイクもピンク色の光に包まれ、宙に浮いた。これにはマイクもビックリだ。
「逃げるよ、フロル!コア!」
フロル、コア、そして宙に浮いたマイクを連れたアリーヤは、そのままクレッセント基地の方角へと走って行った。基地へ戻ったアリーヤ、コア、マイク、そしてフロル。ケガをしたマイクは、病室へ寝かされた。
「あの怪しいヤツラの事は、クレッセントの警察部隊に、密かに通報済だ。」
「これでひとまず安心だね!」
「ヤツラを甘く見るな」
マイクが言う。
「どうして?」
「フウマはこの間のエデン・コロニーに来た刺客よりもはるかに強い……レジスタンスの警察じゃ、歯が立たない。」
「じゃあ、どうすればいいの?」
アリーヤが問う。
「アリーヤ、おれを置いて逃げるんだ」
「そんな事はできないよ、マイクは私の仲間だもん!」
するとそこへ、看護士が部屋へ入ってくる。
「ケガを観ますので、皆さん外へ出て下さーい」
アリーヤたちは、看護士の言う通りに部屋を出た。
「優しい仲間だねぇ、アリーヤは……」
「フウマか」
看護士の正体はフウマだった。フウマは棒手裏剣を取り出し、マイクに迫る。
「それじゃ、このコロニーごと、きみを頂いちゃうよ」
「そこまでよ、フウマ!」
フウマの肩に手を置くアリーヤ。
「おい、止めろ、アリーヤ!」
ゆっくりと、アリーヤの方へ振り向くフウマ。
「お嬢さん、誰を相手にしてるか、わかってるの?」
「手裏剣を、床に置いて」
アリーヤはカメラを手に持った。
「さっきのトリックか。あんなものはもう効かないよ。今に、トリックのネタを明かし……」
そう言った瞬間、アリーヤは両手を上にあげた。
「あれ、降参?」
フウマがそう言った瞬間、彼の体は勢い良く跳ね上がり、天井の壁に打ち付けられた。
「なっ、何だ?」
マイクには何が起こっているのかわからない。アリーヤは怒りの表情で、今度は手を下に下げた。フウマの体は地面に叩きつけられた。
「まさか、念力を身に着けたのか?アリーヤ!」
フウマの部下たちも、クレッセント基地の廊下に寝そべっていた。
「こいつらは、何かに押さえつけられてるのか?」
「分からない」
フロルの問いに、謎の人物・バズーカが答えた。
フウマたちの武器は、クレッセント警察部隊によって直ちに押収され、フウマたち自身も、逮捕された。
アリーヤはカメラの治癒能力をマイクに使おうとしたが、カメラはピンク色には光らなかった。
「一旦、休憩が必要かな」
コアが来る。
「イトウ・マイク・リデルに関しては、クレッセントの病院がしばらく入院させるとの事です。」
「どのくらいで治りそう?」
「割と深い傷を負っていますので、しばらく旅をするのはムリでしょう」
「そっかぁ、仕方がないよね。マイクが元気でいてくれれば、それでいいよ……スコーピオン号にも、お医者さんが居ればいいのに……」
アリーヤとコアは、クレッセント基地の食堂で話をしていた。そこへ、フロルがやって来た。
「やあ、アリーヤ!今度、ウチに紅茶を飲みに来ないか?」
「ええっと、フロルだっけ?遠慮するよ」
フロルは残念そうな表情をすると、アリーヤの向いの席に座り、自身の紅茶に大量のスティックシュガーと練乳を入れ、混ぜ始めた。
「所できみ、バズーカってヤツ知ってる?」
「それ、人の名前?」
「ああ。知ってる?」
「知らないかな……名前はコアから聞いたよ?」
すると、また緊急のブザーが鳴り始める。
(緊急事態!緊急事態!ザ・バズーカと名乗る地球人と、もう1名が脱出ポッドを奪い、惑星バミリオンへ向かった模様!)
アリーヤとコアはそれを聞き、フロルの顔を見た。
つづく
©2023MizushibaRoku
この小説は、2022年1月に、ブログに載せていたものです。キャラクターの名前、内容はそのままです。




