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ピンク・スコーピオン!!  作者: 水柴ロク
15/25

#15 制限時間

挿絵(By みてみん)

「よく聞け、アリーヤ。人は生まれながらに、戦う生き物だ」

 雲一つ無い青空に、オレンジ色の砂漠。アリーヤは望遠鏡で空を眺めている。

「ねえパパ、冥王星から何か来るよ?」

「とうとう来たか……冥王星からの侵略者め!」

「冥王星からの侵略者……怖いよう……」

「起きろ、アリーヤ」

「え?」


「起きろ、アリーヤ!」


アリーヤは目を覚ました。そこはアリーヤの部屋だった。

「あれ……夢か」

アリーヤはベッドから起き上がる。

部屋の外から通信で話しかけるマイク。

「朝食の時間だぞ」

宇宙を航行する宇宙船。ピンク色の光をらんらんと輝かせ、惑星ブルームへと向かう途中だ。

宇宙船内のリビングに向かうと、テーブルに朝食のパンが置かれていた。

「こわい夢でもみたか?アリーヤ」

「あはは、最近は見るかも。何の夢だっけ……」

食事を済ませると、アリーヤは首にカメラをさげた。

アリーヤが通路を歩いていると、先日捕まえた宇宙海賊への朝食を、ケレヴィが届けようとしていた。

「まって、ケレヴィ。私が届けるよ」

アリーヤはケレヴィからパンの入ったカゴを受け取ると、宇宙海賊たちの部屋の方角へ歩いていく。

「物騒な宇宙だなぁ……」

アリーヤがそう言うと、背後に大きな影が横切る。

「誰?」

振り向くアリーヤ。誰もいない。

アリーヤが正面に向き直すと、そこに紺色のヘルメットを着けた何者かがいた。身長はマイクやアリーヤより高い。その人物の顔は、横長の黒いゴーグルの付いたヘルメットのせいで、一切わからない。アリーヤは後ずさりをした。

「油断は大敵だぞ」

その人物は言う。アリーヤがカメラを構えると、カメラのレンズはピンク色に光る。

「侵入者ね。どこから入ったの?」

アリーヤの問いを無視して、その人物は言う。

「デッド・オリオンに関わるな」

「あなたは誰?」

「誰でもない。ネイビー・ピューマだ」

ネイビー・ピューマと名乗る人物は、アリーヤと一定の距離を保ちながら、小型の光線銃を構えた。

「カメラを捨てろ」

「何ですって?」

アリーヤの声と共に、アリーヤの体はカメラによってピンク色の炎のような、オーラのような光に包まれた。僅かに怒りの表情を浮かべるアリーヤ。

「忠告します。私の船から出ていきなさい!」

ピューマはアリーヤの忠告に意にも介さない様子で、カメラに向かって光線を発射した。アリーヤは瞬時にそれをよける。光線はアリーヤが運んでいたパンに命中し、パンはその場から消滅してしまった。

すると目にも止まらぬ速さで、アリーヤはピューマのみぞおちに飛び蹴りをくらわせた。ピューマは吹き飛ばされ、後ろの壁に激突した。壁に大きなヒビが入る。

「それがお前の戦闘形態か」

「過剰な防衛ですよ。帰ってください」

アリーヤの炎のような、オーラのような光は、その勢いを強くする。

「カメラの発する力だな……」

ピューマは起き上がると、また光線銃を構える。

「カメラを捨てろ」

「狙いはカメラですか?」

「忠告だ。カメラを捨てなければ、お前は後戻りできない」

「どういう意味です?」

ふと、アリーヤはピューマのヘルメットについている、小さな装飾のような印が気になった。ゴーグルの下に、小さな涙のような印がついていた。

「……カメラを捨てろ」

アリーヤは高速でピューマの目の前に行き、怒り任せに自らの手刀でピューマの光線銃をたたき割った。バラバラになった光線銃の部品が、床に散らばった。互いににらみ合う両者。


 突如、爆発音が鳴り響く。アリーヤのいる場所に、通信が入る。マイクからだ。

「宇宙海賊の乗っていた宇宙船が、オーバーヒートを起こした。こっちには影響ない。」

マイクの通信に、アリーヤは返信する。

「こちらアリーヤ。侵入者が一人いる。応援はいらない」

アリーヤが通信を切ると、目の前にいるはずのピューマが消えていた。あたりを見回すアリーヤ。マイクが駆け付ける。

「どうしたんだ、アリーヤ」

「確かにここに……侵入者が……」

首にさげたカメラの光が消える。すると、アリーヤは力が抜けたように倒れこんでしまった。

「しっかりしろ、アリーヤ!おい!」

マイクの呼び声が、次第に遠ざかっていく。


「2分30秒だ」

雲一つ無い青空に、オレンジ色の砂漠。仰向けに倒れていたアリーヤに、その人物は言う。

「お前の戦える時間はそれだけだ。カメラの力は万能じゃない。今すぐ捨てろ」

「この力は何なの……?」

アリーヤはカメラを持った手をかざして、その人物に訊ねる。


「お前を破滅に導く力だ」


そう言って、その人物は立ち去った。

「おい、アリーヤ!」

気が付くと、アリーヤは操縦室のイスに座っていた。マイクが必死に呼びかけていた。

「どうしたの?マイク」

「気が付いたか。きみは廊下で倒れてたんだぞ」

ふと、右腕を逆の手で押さえるアリーヤ。

「どうしたんだ?」

マイクのその問いに、アリーヤは数秒経ってから返事をした。


「腕が痛いの……」


宇宙空間。宇宙船の外から、アリーヤの船を見つめるネイビー・ピューマがいる。そのゴーグルが、ほのかに赤く光った。

つづく

©2023MizushibaRoku

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