表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編

ペット療法

作者: 譚月遊生季

 さぁ、至福の時間だ。


「もこもこー」


 玄関から声をかけると、待ちかねたように飛んでくる。

 もこもことした毛並み。実に触り心地がいい。さすがは俺の相棒だ。


「いい子にしてたか?」


 毛並みを堪能しながら撫でる。

 もこもこは嬉しそうに手に擦り寄る。

 うん、最高だ。ペット飼ってよかった。


「何でもこもこなの?」


 リビングの方から奴は怪訝そうに聞いてくる。センスのない奴め。


「もこもこしてるからに決まってんだろ!!」

「いや、安直すぎるから」


 家に持ち帰った仕事とにらめっこしながら、奴はチューハイの缶を傾ける。

 ……至福の時間は、まだこれからだ。


「……もう2~3体作ってもらっていい?埋もれたい」

「はぁ?あんたのために作ってんじゃないんだけど?」

「頼むって萌子ー」

「はいはい……。まあ、いいモニターだしねぇ……」


 仕事人間なのはいいが、いい加減に「もえこ」と「もこもこ」の繋がりには気づいてほしい。そろそろ寂しい。


「体温感知プログラムは万全でー声のセンサーの位置も良さげ?素材も申し分なくてー?製品名は「もこもこ」……」

「いや、製品名は別にしろよ」

「まあダサいし、どのみち企画段階で下ろされるけどね」


 そうじゃない。少しは仕事から離れてくれ。


「そんでさ、」

「ん?」

「「もこもこ」って、もしかして名前も由来?」


 よしきた!!気づいた!!


「あんたの名前、「まこと」だもんね……ひょっとしてナルシスト?」


 …………。ああ、その発想はなかったな。




 ***




「もこもこー」

「え、そんな名前で呼んでるの?」

「そそ、うちのでっかいペットがつけた」

「彼氏さん、ワンコ系だもんね~」

「……うん、いっつも癒されてる」


 とか言ったら鬱陶しいだろうけど。……さて、いつも尻尾振って帰ってくる相棒のために、次は色違いでも制作しときますか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=756162726&s
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ