語られる真実・・・。(中編)
実は、以前に書いたこのエピソードがバグで消えてしまったので、
今度は短めにカットしてお届けしています・・・。
再度執筆致しました・・・。どうぞ・・・。
キリは・・・重い口を開こうとしている・・・。
それは、彼女が「許されたい」と願いながらも
「許されることではない」とまた、葛藤しているから・・・。
そんな彼女の姿をずっと・・・。アキトは・・・。
ただ黙って・・・傍観している・・・。
「やっと真実を話す気になったのか・・・。」と
アキトは複雑な思いで待っていたのだ・・・。この時を。
「私の国では・・・古くからのしきたりがあった・・・。
一族代々に伝わる・・・厳しい戒律の様なしきたりが・・・。
今考えてみれば、馬鹿馬鹿しいと笑われてしまいそうな程の・・・。
本当に・・・馬鹿げた戒めの様なしきたりだ・・・。」
「ほう?それはどんなものなのかな・・・?」
興味深げに・・・静かに話を聞くアキト・・・。
「我が一族には・・・男女の関係が・・・
物凄く厳しいものだったのだ・・・。それはもう・・・。
「専属の占い師」に「縁を結んで貰った仲」の男女にしか・・・
絶対に「子供」を宿すことなどあってはならないというもの。
故に、禁忌を破った男女は・・・「断罪」されるんだ・・・。
とても重罪だと判断された場合、牢屋に投獄されたのちに、
酷い場合には・・・「死刑」にされてしまう・・・。」
「それはまた、恐ろしいしきたりだな・・・。
そんな事ぐらいでいちいち死刑になどされていたら、
男としては堪ったもんじゃないぞ・・・。
まあ・・・我ら一族も・・・君らの国を何度も
侵略した立場上、偉そうな事など・・・言えやしないが・・・。」
アキトは複雑そうに本音を口にした。
キリの過去の映像が見える・・・。回想しているのだ。
「キリ!!!」
風が吹く草原に佇み座っていたキリは長い髪をかきあげる様に
手で押さえながら、ゆっくりと走ってくるかつての恋人・・・
「セツナ」の姿を見て深く微笑む・・・。
それは、普段の彼女からは想像もつかないほどまでに、
穏やかで、幸せに満ち足りた様な・・・女性らしい笑顔・・・。
「セツナ・・・。」
その美しい笑顔を見て、恋人であるセツナはつられる様に
また・・・穏やかに・・・幸せそうに微笑み返す・・・。
2人は・・・「その時」はまだ幸せそうだった・・・。
だが・・・何時しか・・・逢瀬を重ねていくうちに・・・。
悲劇の始まりの・・・引き金を引いてしまう・・・。
ある晩に、キリは違和感を感じて、吐き気を催す・・・。
なんとなく嫌な予感がしていた・・・。
そう・・・いつの間にか・・・彼との間に子供を身籠っていたのだ。
「セツナ・・・どうしたらいい・・・?実は・・・。
お前との・・・間に・・・子供が・・・・・・。」
焦っていたキリは・・・それでも、彼を信じていて
事実を・・・彼に相談する様に打ち明けた・・・。
セツナは・・・。
全身の力が抜けて、顔中から冷や汗が流れ、震えが止まらないでいる。
(嘘だろ・・・?!じゃあ・・・俺は・・・裁判にかけられてしまう。
じゃあ・・・俺は・・・「殺されるのか」・・・?!!
怖い!!嫌だ!!死にたくない・・・!!!何故、一度の過ちで・・・
これぐらいの事で・・・「殺されなきゃならないんだ・・・」。)
セツナは驚くことに・・・彼女の事を心配するよりも・・・。
自己保身の事ばかりに気を取られていた・・・。
そして、優しく宥める様に・・・彼女にこう促した・・・。
「ダメだ!!わかるよな?!そんな事はこの国では許されない罰だ!!
俺が君を・・・傷つけたせいで・・・君まで・・・この上罰など
受ける必要がないだろう?!俺の言う事がわかるよな?!!な?!」
つまり・・・彼は、彼女に・・・子供を「堕胎」させる様に促したのだ・・・。
そうすれば自分は助かる・・・。そんなどす黒い、身勝手な自己保身の
為に・・・彼は優しかったが・・・。彼女に対して非情な態度で迫る。
そして・・・彼女は・・・隠れて・・・子供を産んでしまった・・・。
堕胎させると・・・「嘘をついて」・・・。
「私は・・・愚かだった・・・。でも、そんな男でも・・・。
愛した男には違いなかったから・・・自分との間に出来た彼の
子供を殺すだなんて・・・「出来る筈もなかったんだ」・・・。
・・・これだけでも十分愚かだった・・・。だが・・・。
悪夢は・・・これだけでは終わってはくれなかったんだ・・・。」
下を向いたまま両の手をギュっと握りしめながら・・・
口を堅く結んだ様に・・・自らの罪について・・・
更に語りだした・・・。
アキトは尚も動揺する様子も見せずにただ淡々と、冷静に
彼女の話に耳を傾けている・・・。
「セツナには・・・。私が子供を産んだ後にも・・・
女が沢山居た・・・。その時まで知らなかった・・・。
自分が愛していた男が・・・愛してくれるのは「自分だけだと」
信じて疑うこともなかったからだ・・・。私は・・・。
それでも・・・彼を愛していた・・・。妹との縁談が決まった時も、
妹にも何も・・・知らせずにただ黙って見ていたんだ・・・。
酷い・・・姉だと思う・・・。お母様も・・・黙ってくれていた・・・。
私と・・・リクの為を思って・・・。」
だが、そんなキリの想いもよそに・・・。
残酷なまでに・・・「終わり」に繋がる結末は大層酷いものであった。
セツナには・・・恋人が沢山居た・・・。
それもその筈だ・・・。彼は、類まれなる美貌の様な・・・。
美しい貴公子の様な顔立ちで・・・魅力に溢れていた・・・。
彼の周りには常に「女」が絶えなかったのである・・・。
リクもそのことを・・・薄々感づいていた・・・。
結婚などしても・・・大丈夫なのかと・・・。
彼の事を妹のリクもまた・・・本当は心から愛していたのだ・・・。
だから、他に女性がいても責めることなく・・・。
耐えようと・・・決意していた・・・。
しかし・・・そんな姉妹2人の「彼に対する愛」を・・・。
無残にも裏切り続けていた・・・セツナは・・・。
最悪なことに・・・。
既に何人かの女性との間にも子供が出来ていた・・・。
が、それも全て・・・彼の何時もの常套句で・・・。
堕胎させる様に優しく宥める様に促していた。いつも・・・。
「君の為なんだよ・・・?わかるよね・・・?」がお決まりの
常套句だったのだ・・・・・・・・。
このエピソードは重要なキーワードとなるので、
とても頑張って丁寧に書いています・・・。
ただ、残念ながら、4000文字を超えてしまうとデータが消えてしまうので
小分けにして書きなおしております・・・。
(ここは愚痴になってしまい、すみません・・・)
ただ、内容に関しては、先に書いたものの方がニュアンスが
もっと鋭敏なまでの鋭さがあったのに改めて書くと、
描写が中途半端になってしまい、そこが心残りなのですが
そうも言ってられないので「こういう形」として
書きなおしています・・・。
ぬるい描写になり、申し訳ありません・・・。
次回以降にもまだ続きます・・・。
一度に書ければよかったのですがまたデータが消えては
無意味なので分けて書いております・・・。




