とりあえず・・・・・・・・・。
前回の続きです。余分なことは何も言いません。
気になる方だけお進みください。
光り輝く神々しいオーラを放つ美少女・・・。
「ここに爆誕」という雰囲気を醸し出している。
髪はピンクでも水色でもない白い髪。
オーロラの様に美しく七色の光が眩い。
すうっと瞳を開けるユイト。
「根性根性ド根性!我こそは天上の使い!
正義の味方系ヒロイン「アンジェリック・ユイト」様だ!」
折角のご登場なのに口を開けば残念な事この上ない・・・。
「・・・嫁・・・。今時「正義の味方」なんてフレーズは
流行らないと思うんだが・・・。」
恐る恐る「登場の台詞」にツッコミを入れたクロ様。
カッと目を見開き「すうう~・・・。」と息を吸い込み、
「ド阿呆が!!こんな時代だからこそ言うんだろ!
「愛と正義」を時代の波がもみ消していつからか
誰もが「言わなく」なったから世の中おかしくなるんだよ!
だから俺が時代を変える、いや変えてやるんだ!!」
そう高らかにほんの少しの微笑みを含みながら
「真の姿に覚醒したユイト」はその場をすり抜け、
深いトンネルの様な暗く永い暗闇のてっぺんまで突き抜けて
ふわりと宙に浮かぶ・・・。
「天誅!!俺の愛と正義の鉄拳を受けてみろ!!」
眩く輝くその姿から繰り出される「怒りの鉄拳」の様な
衝撃波による攻撃技に全ての禍々しい怪物どもが
溶けて消えてなくなっていく・・・!!
無音で消えてゆく化け物と共に時空の歪みすら
霞んで消えていった・・・。
・・・だが、そんなユイトの輝かしい活躍をよそに
猫宮すずは必死でドロドロに溶けかけた化け物と
格闘していた・・・!!
「っ!もうっ!!こんな時に変身できないなんて!
これじゃあ・・・本郷結兎のこと、馬鹿にできないじゃないっ!
足手まといは私の方だったのか・・・。悔しいなぁもうっ!」
涙を浮かべてジタバタと暴れる彼女・・・。
そんな彼女の方に近づく怪しい影・・・。
驚く猫宮すずは一瞬安堵した・・・。
「なんだ・・・。びっくりさせないでよ・・・。貴方だったの?」
そこに姿を現したのは「さっきまで倒れていた筈のユイトの親友」の
「英太」だった・・・。
「なんでもいいから。ボーっとしてないで早く助けてよ・・・。」
「・・・ふふふふふふ・・・・・・。」
英太は今までに誰にも見せたことのない様な邪悪な顔つきになり、
「残念だなぁ・・・?猫宮さん・・・。」と嘲笑う様に言い放つ。
「?!!あ・・・貴方・・・一体・・・?!!」
「気づくのが遅すぎだね・・・?君にはこの星はおろか、
この国1つですら救えやしないんだよ・・・!!」
英太の姿をしているが何かがおかしい・・・。
「まさか・・・!!」
「そう。そのまさか。元々「俺」すなわち「英太」なんていう
地球人は存在してなかったんだよ?今更気づいた?」
パチンッ!と指を鳴らすと倒れているエリナちゃんの姿が・・・。
「この娘の命が惜しければ我が軍に「降伏」したまえ・・・。」
「くっ!!!」
悔しさでやりきれない表情の猫宮すず。
「降伏すればその子は助かる訳・・・?」
情けなくもその表情は涙を浮かべて薄笑いをしてしまっていた。
「ふふ。」
一瞬笑った顔をして次の瞬間に悪魔の様に残酷な顔をする「英太」。
「助かるかなぁ?どうしようか?俺の立場的に考えてみて
君は本来の俺ならばどんな判断や処理をすると思うか考えてみなよ?」
「・・・その様子じゃあ・・・私もその子も「死ぬ」わけね?」
「ふふふ。正しくは「喰らう」だね?」
「どう喰らうわけよ?言いなさいよ・・・?!」
「魂だけ吸い出して喰らったのちに君らの亡骸を灰にして
燃やしてしまう・・・かな・・・?
もっと残酷にしてほしいなら何なりと申されよ・・・?
お望みどおりにしてあげるから。あっははははは。」
「・・・ほんと。どうしようもないくらいゲスね・・・。」
一瞬ピタッと止まり薄気味悪い笑みが消えて冷酷非道な顔つきになる。
「ゲス・・・?君の脳内記憶では俺は元々ゲスの部類だったろう?」
「違うわよ・・・。」
悔しそうに反論しようとする猫宮さん・・・。
「もっと可愛げのあるゲスの部類よ・・・。今のあんたなんか
本物の姿じゃないっ!!!」
そう叫ぶと猫宮さんの体が光り出した・・・。
いつもの変身とは違っている。
こちらもまたユイト同様「真の姿」ともいえる美しい姫君の
様な姿に変わっていた・・・。
「・・・ふうん?俺そういうの「嫌い」じゃないよ?」
冷たい顔をしながらも嬉しそうに微笑む「英太だったもの」。
「元の姿に変わりなさいっ!!こおーのアホンダラッ!!」
あちらのユイトが「鉄拳」ならこちらは「往復ビンタ」だった。
バチバチバチッ!と高速でビンタをくらわす。
「ちょっ!これはこれでいいかもっ!猫宮さんっ!!」
いきなり府抜けた声と顔になる「英太」・・・。
「・・・んあ?!!」
思わず手が止まる。
「気が変わった・・・。俺この仕事やめるわ・・・。」
「???????」
2人の間に謎の空気感が生じた瞬間である。
「え・・・?何それ・・・。元の姿に戻ったとか???」
非常に驚く猫宮さんの姿に「英太」はうっすらと柔らかく
微笑みながら「それは違うよ。ざーんねん。元々俺・・・。
「英太」なんていう地球人は存在してない。ただ・・・。
気が変わったんだよ・・・。今ね。」
「・・・は?!」
素っ頓狂な声が出る。
「君は俺の事が好きだったろう?」
邪悪な笑みは若干消えてクールで冷淡な声色で問いかける。
時が止まるかのようにしんと静まり返る2人・・・。
「う・・・・・・・・そ・・・そんなことは・・・。」
言葉に詰まる猫宮さんはやや赤面している。
「嘘だね。俺は見てない様でいつも見てたからはっきりと
分かる。断言しよう。君は俺に対して「結兎」とはまた違う感情。
ぶっちゃけ俺に対して「恋慕の情」があった。」
「まあ。あれだけ俺の事を見てくる女子なんて君くらいのもんだよ。
君の様な高潔な女子は多少「馬鹿っぽい男子」の方が惹かれるものが
ある・・・。結構これ当てはまる子は多いはずだ。」
真実を言い当てられた気持ちになる・・・。
だってその通りだったからだ・・・。
「・・・そうよ。私はカモミールの魔法で変身する様になってから
ずっと貴方たち2人のことを監視・・・ていうか・・・。
見てたわよずっと・・・。馬鹿っぽくて馬鹿っぽくて内心小ばかに
して上から目線で見てた・・・。だから・・・。
貴方だけは・・・敵だったなんて・・・信じたくない・・・!」
いつもの猫宮さんじゃなかった。
普通のどこにでもいる「女の子」だ。
その反応を見てニヤニヤと笑う英太。
「一度でいいから君の事を逆に冷たくからかいたくなった。」
「・・・降伏します・・・。」
シュンとする彼女はいつもの自信はどこへやらである。
「じゃあ。君に免じて一旦この時空の歪みを解除してあげる。」
まさかの展開・・・。
時空の歪みから解放される東京の空。
禍々しいものは消え去り浄化されるかの様だった。
実際に浄化の半分は「覚醒したユイトの力によるもの」と、
もう半分は「邪悪さを消して普段の顔つきになった英太によるもの」
「あれっ?!」
驚きを隠せないでいるユイトの目の前に英太が歩み寄る。
「お疲れ様。ユイト、てかその姿は一段と綺麗だな。」
「え・・・英太・・・?どういう・・・ことだよこれ・・・。」
気が抜けてしまったユイトは元の「少年」の姿に戻ってしまう。
「感謝するなら「猫宮さん」にしろよ?ただし、彼女に
気のある素振りをしたら・・・ぶっ殺すから(笑)。」
後ろをとぼとぼと歩いてついてきた様子の猫宮さんは
いつになく大人しく荒々しさはどこにもなかった。
「え?!なにこれ?何があった?!!」
驚く俺に対して近づこうとする英太の頭をぶん殴るクロ様。
「嫁に近づくな。この不届き者の悪質宇宙海賊の総統が!」
「・・・え?!なにそれ・・・どういうこと???」
状況が読めない俺は間抜けな顔がますます崩れてしまう・・・。
「要するに「お前らの勝ち」だ。良かったな。魔法少女たち。」
英太はクロ様に殴られた頭頂部を撫でながらいつも通りに・・・
いや、いつもよりも穏やかに微笑んだのでますます混乱してしまう。
「猫宮さん!!コレは一体?!」
「茶番に付き合わされた気分でムカついてる・・・。」
恨めし気に呟くからなんかコワイ・・・。
「エリナちゃんは?!」
「あ。忘れてた・・・。」
気絶したままのエリナちゃんは何も知らないで眠っている。
「てか!ウサギは?!それに君のお供の黒猫は?!」
そういえば2匹ともこの場に居ない・・・。
「ああ。彼女らは一応先に「捕獲」しておいたよ?
君らがどう切り抜けるか俺も見たかったしね。」
そう言うと、英太は手のひらにコンパクトサイズの
容器を取り出したのでよく見ると・・・。
ミニマムサイズにされて身動きが取れないウサギとカモミールが!!
「簡単に捕獲されてんじゃねえええええっ!!」
ぶわっと涙目になって怒りの矛先をウサギにぶつける。
「じゃあ何?私たちはもう「要らない存在」になったの?」
段々元の勝ち気で生意気な猫宮さんの口調に戻っていた。
「いや?たまたま俺らが「気が向いた」からこの星を手放しただけで
侵略者なんかもっと色々いる筈だよ?ざーんねん(笑)。」
ということで。
一時的に平和を取り戻したかの様に見える俺らの星、地球。
ここで終幕・・・。
なんてことはなくまだ性懲りもなく続くのである。
続。
なんとか一時的に平和におさめましたが、
多分また次回から新たな敵との戦いが静かに始まったりするかもしれません・・・。




