第7話 前半
この作品は、実在の国家・民族・組織・民族・思想・人物とは何の関係もありません
両翼端に取り付けられた大型エンジンから空気を焼く甲高い音とプラズマジェットの炎を噴射し、そのVTOL攻撃機は三階建ての壁面ギリギリを飛行していた。
偏向ノズルが細かな微修正を絶えず繰り返すことで安定したホバリング状態を維持し、機首に取り付けられた多目的複合センサー/レーダー装置が建物の内部をくまなく捜査していく。
センサーが熱源および生体心拍音と微弱電流を検知。 すぐさま機体下部の機関砲塔を旋回させ、生体反応のあるフロアを壁ごとぶち抜いて掃射する。
35ミリ機関砲の対人・対軽装甲用榴弾は、機器の置かれたデスクの下やロッカーの陰に隠れていた哀れな人間たちを諸共に肉片へと変えた。
熱源反応、音響・振動検知、生体反応、その他、無し。 フロアの掃討を完了させ、VTOL攻撃機は偏向ノズルを傾けて滑らかな動作でその建物を離れた。
総計12機からなるガンシップ編隊は一糸乱れぬ統率された動きで、採掘施設敷地内の建物を制圧しているように見えた……が。
「やっぱこれ以上は兵隊を突入させんと完全掃討はあかんわ。 やってもええんけど、施設機能ごと破壊せなあかんようなってまう」
12機の「VAF-27 ハリケーンVTOL攻撃機」で構成されたガンシップ隊の操作を行っている頭の左右で髪を結んだ小柄な少女、アーンフラウの視界内投影型ディスプレイには、施設全体をスキャンした3次元透過見取り図と、生体反応を示す赤い光点が表示されている。
その全てが、建物や採掘設備の周りを移動する青い光点…VTOL攻撃機から逃れるように、隔壁などで区切られた奥の方の頑丈な区画に集まっていた。
既に生体反応を示さなくなったターゲットは灰色の点で示されている。
『もーなんか家具の隙間に入り込んでいった小さい虫をやっつけるようなもんやわ。 機銃よりBC兵器使った方がええよ』
彼女の喋る昔の日本の西側地域の訛りには、細かくて面倒な割りに大して楽しくも無いし爽快でもない徒労なだけの作業に倦んでいるといった感情がありありと込められている。
害虫退治とは言いえて妙である。 施設ごと吹き飛ばしていいのならば、翼下パイロンに満載されている対地ミサイルを景気よくぶっ放して建物ごと更地にして構わないのだが、彼女達の任務は施設の制圧と奪取であって破壊ではない。
ゴキブリやシロアリを退治するのに家を破壊する奴は居ないのだから、施設機能に極力支障をきたさない形で、内部に篭って占拠している敵勢力構成員を排除しなければならないのだから面倒な仕事だ。
つまり、これ以上はガンシップや機動兵器の出番では無い。
それを受け、アーンフラウより長い黒髪を一本の三つ編みに結んだ少女、エレオノーラは小さく鼻息を漏らして仕方なし、という風に頷いてから回答した。
「了解。 セントリードローンを投入し施設を制圧するよ。 ガンシップ隊は上空待機、ご苦労様」
『ガンシップ了解や。 ほな、何かあったらまた呼んでや~』
モニターの向こうのアーンフラウがひらひらと手を振ると、VTOL攻撃機は全機が同期した動きで上昇を開始し、上空へと退避していく。
アーンフラウはその中のどれにも乗っていない。 キャノピーを覗いてもコクピットには誰も座っていないのだ。
遠隔操縦である。 アーンフラウ本人は母艦……「ラインの黄金」号に居ながらガンシップ隊の12機のVTOL攻撃機を同時操作している。
機体ひとつひとつを個別に同時操作というのはプレイヤー用サポートAIであるNPCゆえの並列思考処理能力のなせる業であるが、ドローンに対して部隊単位での指示を行い複数の目標に攻撃を行う程度ならばプレイヤーにも普通にできるシステムにはなっている。
部隊指揮官を担当するプレイヤーの中には人間業とは思えない速度で幾つものドローン部隊を同時操作する達人も居るほどだ。
対し、施設の大まかな掃討作業をアーンフラウに任せ、自機のシートに背中を預け、腕組みをしていたエレオノーラはおもむろにコクピット正面のコントロールパネルに手を伸ばすと、施設から2km離れた場所に着陸待機している降下船に指示を出す。
降下船のコンテナが解放され、輸送されてきた荷物が順繰りに吐き出されるのが表示された。
「……まあ、そうそう簡単に施設内部の掃討と制圧が可能だったら、ボクらも統制官も苦労はしないんだろうけどね」
その独り言のようにポツリと呟くエレオノーラの言葉を拾い、僚機に乗る金髪碧眼の少女アンネリースがまくしたてた。
『てゆーかなんで自動化されてない製造設備・施設って文明遅れてる雰囲気の場所を制圧しろなんて、あたしたちに回ってくる流れなの?
いつもだったら施設のメインシステムを乗っ取ったら後はこっちで操作するだけの雰囲気なのに。
そもそも何で人間が直接動かして管理してる感じなのよこの施設? せめてドローン使えばいいじゃない』
モニター表示の向こうで愚痴や不平を並べ立てるアンネリースは、遊び足りなくて駄々をこねる子供のような顔をしている。
彼女達二人の容姿は髪の色以外が似通っており、同じフェイスタイプのアバターボディをベースにした「姉妹」ではあるが、<YUKARI>が設定したその性格……台詞テキストのキャラ付けは対照的だ。
エレオノーラは大人しめで冷静な僕っ娘で、アンネリースは活発だが言い回しの表現に独特の癖がある。
「しょうがないさ。 それに、自動工場じゃなく都市や基地拠点なんかは結局歩兵の投入が必要だ。
今まではそういう仕事が少なかったって言うだけで、全く皆無ってわけでもないんだよ。 今回みたいな事もある。
それよりも、問題はボクたち<ローレライ>同盟には歩兵戦力が極端に少ないって事かな……これからもこういう任務があるなら、対策すべき課題だよ」
『ふぅーん……確かに降車戦闘とかできそうなのってうちには保安班の子たち2人しかいない感じはしてたけどぉ。
でも今更陸戦隊員を雇用するのって面倒くさい雰囲気しなーい? 居住区の部屋数だって拡張しなきゃ多分足りないっぽいし』
「まあ……そこはドローン歩兵ユニットを生産するのかもしれないし、決定するのは統制官だろうけどね。
でもその場合、ボクたちはやっぱり本来の仕事に加えてドローン部隊の指揮をする仕事も増えてくるかもしれないって事さ」
二人が言葉を交わす間に降下船から降ろされた輸送用大型トレーラーが次々と到着し、整列していく。
その数、20両。 全ての車両がコンテナを牽引し、コンテナの上部には四角いハッチが40個は取り付けられている。 まるで艦艇の垂直発射装置だ。
全ての車両が揃うのを確認し、エレオノーラがコントロールパネルを操作すると、そのコンテナのハッチが次々と開き、そしてポンポンというリズムのいい音とともに円筒形の物体が射出された。
コンテナに格納されて輸送されてきたセントリードローンを遠隔機動させたのだ。
一旦射出された長さ約1.5mの円筒形の物体は放物線を描いて地上に突き刺さると、その全てが寸分たがわず同じ動作で一斉に円筒の下半分を三本の「足」に変形させ、直立する。
そして上半分の筒の真ん中には、「目」を想起させるような大きいレンズ状のパーツが付いていた。
セントリードローンは通常はランドウォリアーの肩部マルチランチャーに格納されている、支援用の移動砲台であり、遠隔操縦あるいは自動で設定された目標への攻撃や、敵の誘導兵器の迎撃を行う装備である。
しかし、今回はこれを施設制圧のための歩兵の代用として投入する。
「目標を対人に設定。 非殺傷設定オフ。 武器所持認識および差別の設定オフ。 生体反応のあるものを優先して攻撃、オン。 施設の設備に対する保護機能、ランクD以下のオブジェクトを除いてオン。
グループを8個中隊に分け、A~D中隊をボクが、E~H中隊をアンネリースが担当する」
『了~解~。 じゃあ面倒くさいお掃除っぽい雰囲気だけど、ちゃっちゃと片付けたほうがいい空気ってことね。 早く終わらせれば統制官も褒めてくれるかもな流れだろうし』
エレオノーラとアンネリースの視界内投影型ディスプレイが起動し、施設の3次元透過見取り図が表示される。
その施設に、800個もの大量の青い光点が群がっていった。
「……行ったか?」
アサルトライフルを抱えた警備兵の一人が、強固な隔壁に守られた緊急用シェルタールームの扉の隙間から外部の様子を窺う。
それに対し、もう一人の兵士が同じように隙間からまるで荒らしが過ぎ去った後のような様子のオフィス内を慎重に観察しつつ、答えた。
「まだ油断はするな。 戻ってくるとも限らない」
そう言って、彼は部屋の中にいる同僚達や、非武装の施設職員の何人かに目配せした。
無言で、彼らも頷く。
先程まで彼らが篭る建物の周囲を飛び交っていた航空機のエンジン音は遠ざかり、機関砲の掃射音も途絶えている。
突如として謎の勢力によって採掘施設が襲撃され、見たことも無い所属不明のVTOL攻撃機からの掃射が始まったとき、彼らは取るものもとりあえずこのシェルタールームへと退避した。
襲撃やテロ、事故や災害に備えた避難施設であるこの部屋は壁も扉も対戦車ミサイル・ロケット類の直撃にも耐えるほどに安全が確保されており、内側から扉を閉めてさえしまえば外から侵入するのは難しい。
内部には数日分の水や食料が備蓄されているし、施設内の各所とも内線が繋がっている。
とはいえ、完全に守られているが故に窓も何もない部屋の中で扉を閉めてしまえば、外の様子がどうなっているのかわからなくなる。
それは少なくない心理的な負担であり、扉をしめて完全に外界と隔離してしまうことを躊躇させた。
加えて、襲撃を受けたのはこの建物だけではなく施設全体のようだから、内線も中央管理室などのいくつか部署や警備兵の詰め所を除いて応答が無い。
その場所に居た警備兵や職員は既に殺されたか、あるいはどこかに息を潜めているのだろう。
「いったいどこの軍隊だ? ECOか? あれが噂のUNCの新型攻撃機か? まさかAGOってことはあるまい」
「その前に、どうやって国境を越えてここまで侵入してきたんだ。 ステルスって奴か? 俺達への攻撃が目的なら、爆撃でこの採掘施設ごと吹っ飛ばされるかもしれない。
そうなったらいくらこのシェルタールームだってひとたまりも無いぞ」
現在の数少ない生存者である彼らは小声で不安げに囁きあった。
その時、オフィスの向こう側の入り口のさらに先、通路の方で何か物音がした。 複数の足音のようにも聞えるガチャガチャという音だ。
警備兵たちのうち二人が無言で目配せし、アサルトライフルを構えて慎重に扉を開けて廊下の方へと静かに歩く。
建物内にいた他の生存者かもしれないし、ヘリボーンで降下してきた敵かもしれない。
まだ判断できないので、警戒しつつ接近するのだ。 さらに一人警備兵が後に続き、前の二人から数m距離を取って待機する。
彼は援護だ。 何かあれば前の二人がハンドサインで合図する。
二人はオフィスの入り口ドアまで辿り付き、片方がそっと廊下の様子を窺った。
廊下の先には、さらに扉がある。 その扉はシェルタールームほどではないが防災用のもので、施錠されている。
足音らしきものはその扉の所で止まっていた。
扉を開けようとする様子は無い。 しばらく気配を探っていると、不意に扉のすぐ横の壁面に赤い火花が散った。
ものの焦げる音と煙を出しながら、壁を何かが焼ききって火花が上に真っ直ぐ走り、扉の上で横に、そしてまた扉の横を下に走っていく。
明らかに、溶断用ガストーチか何かで壁抜きを行っている。
彼は一旦頭を引っ込めて、仲間にそれを伝えた。 伝えられた仲間も困惑の表情を浮かべる。
何故、壁を抜いて扉を強引に開ける必要があるのか。
職員や警備兵ならば、扉を叩いて向こう側にいるかもしれない生存者に呼びかけるか、あるいは扉の暗証鍵を持っていればキーロックを解除するだろう。
となると、「敵」である可能性がある。 この採掘施設を襲撃してきたVTOL攻撃機を保有する所属不明の敵。
彼らはアサルトライフルの安全装置を解除し、後ろの一人に合図を送ると迎撃の配置についた。
……火花は床まで到達し、向こう側から壁がドアごと強くドンと押されてこちら側に倒れる。
襲撃者はついにその姿を現した。
「あ? なん……だ、ありゃ? おい?」
警備兵の片方は思わず素っ頓狂な声をあげて呟いた。 壁に大きくあいた長方形の穴から姿を現したのは、すこし滑稽かつ愛嬌のあるように見える物体だったからだ。
円筒形の体に、三本の細い足が付いている。 そして、円筒に丸いガラスの小さな「目」が一つ。
SFを題材にしたドラマ映画やアニメーションにでも出てきそうなデザインの、明らかに機械と思われるものがガチャガチャという足音を立てながら三本の足を器用に動かしてこちらに向かってくる。
そのSFロボットが、体ごと向きを変えて警備兵達のほうに目を向け、立ち止まった。
あっけに取られ、アサルトライフルを構えたまま警備兵たちはロボット……セントリードローンと対面した。
「……いったいこいつは、何なんだ?」
二人のうち片方があっけに取られて少し気の抜けた口調で何気なくもう一人の方に顔を向けて尋ねた時、空気が焼かれて生じた猛烈なイオン臭とともに廊下の空気が数℃上昇した。
俺がわかるわけないだろ、そう返事をしようとした同僚の胸に、こぶし大の黒い点が生じ、同時に服が焼け焦げている。
彼は自分が言いかけた言葉を発しようとした半開きの口と表情のまま、真後ろに倒れた。
「……っ! マサッド…!?」
警備兵は目の前で倒れた仲間の名を呼ぶと同時に、セントリードローンが再びガチャガチャと足音を立てて自分の方に「目」を向けるのを視界の隅で捕らえていた。
そしてほぼ反射的にアサルトライフルを構え、引き金を引くと同時に室内に居る仲間に向けて叫ぶ。
「アーリ! 下がれ! レーザーだ!!」
その短い一瞬、彼の脳裏には、若いころに読んだSF小説での描写が思い起こされていた。
対人用以上を目的とした殺傷レベルのレーザー兵器は、映画などの映像作品と違って不可視である。
レーザーを照射された対象の肉は一瞬にして焼けて炭化し、血等は一切出ない。 しかし、時間をかけて炭化した部分の周りの組織からじわじわと血が滲んでくる事はあるし、炭化した部分の肉体は銃で撃たれたのと同じで破壊されている。
腕や足なんかを撃たれたのならともかく、胸や胴体など重要な臓器をレーザーに貫かれればまず助からない……。
その彼の思考はレーザーが彼の頭部を貫いた事で途絶え、そしてマサッドと同様に倒れてゆく様と彼が持っていたアサルトライフルが天井を撃ちぬくのをアーリと呼ばれた警備兵は悲痛な表情で見ていた。
「どうした! 敵か!?」
シェルタールームの内部から勇敢な職員の一人が拳銃を手に半分身を乗り出して大声で尋ねてくる。
それを、アーリはその辺に転がっていた机の影に飛び込みつつ、牽制で何発かアサルトライフルを廊下に向けて撃ちながら叫んで答えた。
「来るんじゃない! 殺されるぞ!」
人間と違って銃弾に対して恐怖心を抱かない、それ以前に対人用のアサルトライフル用5.45ミリ弾では傷も付かないセントリードローンはアーリの射撃に対して特に意に介さずガシャガシャと三本の足を鳴らして部屋の中に入ってくる。
アーリはこの機械の殺戮者に対して絶望的な気持ちになりながら、シェルタールームの扉に向かって叫んだ。
「いいから早く扉を閉めろ! ロックすればこいつは入って来れない!」
「お前も早く来い!」
職員は自分も拳銃をセントリードローンに向けて何発か撃ちながら答える。
アーリは一瞬迷ったが、意を決して最後にマガジンの残りを全てセントリードローンに撃ちきってから、シェルタールームへの扉へと駆け込もうとした。
その時、空気を焼く匂いがして室内の気温が急上昇した。
アーリの目の前で、職員の拳銃を持つ右腕がレーザーに焼ききられると同時に右胸に黒い点が発生した。
そして続いて、扉の隙間を縫うように次々とレーザーが照射されたのか、シェルタールームの内部から叫び声があがる。
最後までアーリが扉まで来るのを援護しようとしていた職員が膝から崩れ落ちると同時に、またイオン臭がして扉の向こうの叫び声が完全に止まった。
アーリは自分も床にへたり込み、マガジンの空になったアサルトライフルを握る手から自然に力が抜けた。
そして、自分の隣に三本足の殺人機械がガチャガチャと歩いてきて止まった。
彼は死を覚悟した。 彼自身は信仰に対して元々特に厚いという事も薄いということもなく、標準程度にアーカダイアの神々を信仰していた。
ここ何年かの祖国とそして民族の宗教的熱狂に対しても、特に反対する理由は無かったが、熱狂に身を投じるほどの拘りも無かった。
アーリにとっては自分の家族や、職場の仲間達が平穏でそれなりに暮らして行ければ、任務をこなして給料が振り込まれれば、あとはたまの休日に親しいものたちと町にでも遊びに出かけて、そして夜眠る前に聖ヒメリアに祈りを捧げる、そんな慎ましやかな毎日を送れてさえ居れば充分だった。
だが、この時は自分が聖ヒメリアに招かれて永遠の理想郷に行くときが来たのだと実感した。
アーリの脳裏には自宅に居るだろう家族と、そして先に死んで行った仲間達の顔が浮かんだ。
しかし、予想に反してセントリードローンはその場でガチャガチャと足を踏み鳴らして数度からだの向きを変えて室内を見回すと、アーリには目もくれずそのまま廊下へと出て行った。
まるで、アーリの存在には気が付いていないか、彼が突如として透明人間になったかの如く。
呆然とするアーリには知るよしもなかったが、この時セントリードローンのセンサー類は自分の照射したレーザーの熱の影響により性能が低下していたため、アーリを完全に見落としていた、「見えなくなって」いたのだ。
「は……はは……はははははは……何なんだいったい。 何だったんだあれは?」
図らずも生き残った。 命拾いをした。
創作物の中の存在が唐突に出現したかのような滑稽な姿のロボットと、それに短時間で一方的に殺されていった仲間達。
一人残された彼は訳のわからない笑いが自分の中から込み上げてくるのを止める事ができなかった。
そのとき、廊下の方からまたガチャガチャという足音がして、入り口にセントリードローンが現れた。
それはさっき出て行ったのとは別のセントリードローンで、レーザーの排熱によるセンサーの低下は起こしていない。
引きつった顔のアーリの視線と感情の存在しない殺戮ロボットの目が交錯し、そして空気を焼くイオン臭がした。