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当たる

何度も


何度も


何度も名前を呼び続けた。そしてまた繰り返す「ごめん」の言葉。いつまでたっても終わらないから飽きてきたくらいだ。いつになったら気づくのだろう。ここまできたからには後に引けない。



1800万1回目



「今日は転校生が来てます」


私は小説を読んでいたが、転校生など全く気にならなかった。なぜなら転校生が来ること自体もう珍しくもなんともないし、今読んでる小説の方がよっぽど面白いからだ。


ガラガラと乾いた悲鳴をあげて扉が開く。教室の賑やかな名脇役はどっと盛り上がった。その声につられて思わず顔を見てしまった。整った顔立ちだな、そんな感じかな第一印象は。


「はじめまして、金城レンです。」


テンプレートな自己紹介も終わり、私の後ろの席に座った。その瞬間後ろからチョンチョンと突っつかれた。仕方なく振り返ると私の頬にレンの明るい指がささった。



「放課後、いつもの場所に来て」



はて、いつもの場所とはどこだろう。なんてとぼけながら放課後、思い当たる節を何個か周ったのだが、レンはいなかった。


疲れてしまったので街を一望できる公園で自販機で買ってきたココア片手に一休みする事にした。ベンチにどっこいしょと座り込む。


にしてもどこなんだろうな、いつものばしょって。


「あ、いたいたー」


レンは後ろからチョンチョンと私を突っついた。仕方なく振り向くと私の頬に指がささった。なんか落ち着くな。


「でさ、大事な話があるんだけど」


レンはわざわざベンチの前にきてわたしのまえに立ちはだかった。



あれ、なんか違う。


なんで?


なんで?なんで?


なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?





匂いが違う。


え、待って待って、ずっと一緒だったじゃん。なんで変わってんの?え?意味わかんないんだけど?


「ごめんね、もう全部気づいたんだ。ほんとばかだよね、自分。もう終わらせよう、こんなの。間違ってるよ、バイバイ」


レンは最大級の作り笑いを作った。それでも涙目は隠せていない。





そしてそのまま柵から乗り出して飛び降りた。

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