チート増えました
10階層のボスはメデューサである。ニメートルくらいの長身の女性で肌は青白く、髪は蛇だ。
そして、こいつは最悪の能力を持っている。石化の魔眼だ。レベルが20以下のやつは問答無用で石化される。目が輝いたら魔眼の発動合図。完全に石化するまでに30秒かかるのでそれまでに石化の状態異常を解かなければ死ぬ。完全に石化すると死亡扱いになり、元に戻ることはできない。
まぁ、俺は20以上あるから意味は無いんだが。他の生徒達は違う。リーファ・ブレイズのレベルは分からないがそれ以外で一番高いレベルが12なのだ。今は5階層、このペースで行くと20以上にはならない。どこかで躓いて、そこでひたすらレベル上げに集中していれば別だが。
「<ドライ>、<パワー>、<ディフェンス>、<スピード>、<スピリッツ>、<ライトセット>!」
俺は魔法を唱え、メデューサに向かった。メデューサは何事か呟くと周りに火の玉を出現させ、俺に撃ってくる。それを避けながらメデューサに近づき、腹に蹴りをいれた。
「アアア!?」
少しよろけると、メデューサは自分の髪の蛇で俺を攻撃してくる。
メデューサの厄介なところは蛇に毒があることだ。何回か食らえば確実に毒に犯される。それに火の魔法を使う。先程のファイヤーボールだけでなく、違う火の魔法を。
俺は後ろに下がり、メデューサが魔法を使う機会を待った。魔法を使う時、三秒ほど蛇を使った攻撃をしないのだ。理由は分からん。
メデューサが手を前に出すと、そこから灼熱光線が出た。その攻撃を避けられず左肩に直撃。
「っっっ!!」
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い、
でも、我慢できないほどじゃねぇ!
俺はメデューサにもう一度、近づき顔面を殴った。そして、離れる。毒を食らいたくないしな。それに灼熱光線は一度手を向けてこないと撃てないと思う。なにかしら動作があるのがボスだし。
メデューサが今度は火の玉を出現させながらこちらに手を向けて来る。
「ヤバイな!」
全力でその場を離れる。そこにビームが飛んできてこちらに向かってきた。ついでに火の玉も!
それを避け続ける。魔法が止まった瞬間、俺はメデューサに近づき、背負い投げをする。
ダンッ
「アアッッ!!」
短い悲鳴を上げたが構わず、全力で顔面を殴る。蛇が動きそうな気配がしたのでまた離れる。こうしてヒット&アウェイを繰り返していけば勝てるだろう。
そうして一時間近く、繰り返していたがいっこうに殺せない。ダメージを受けていない訳じゃない。寧ろ、メデューサの顔はボコボコで体にもアザのようなものもあり、緑色の血も流れている。満身創痍っぽい格好だ。何で倒れないのか不思議でしょうがない。女性なのに何やってんだ!とか言わないでくれ。こっちは命懸けなんだ。
対して俺は髪が少し焦げ、ビームや蛇の攻撃は避けてきたもののファイヤーボールは何回か食らった。ビームほどではないが痛い。
「アアアアアアアアアアアアッ!!」
「なっ!?」
嘘だろ!今までは5個くらいのファイヤーボールが20近く出してきた。ちぃぃぃ!ビームを避けられると思って数で勝負にきたか!ファイヤーボール避けられないな。いっそのこと突貫するか?あれを何度もやられたらこっちがじり貧になるし。
「って!考えてる暇ないな!」
俺は直撃覚悟でメデューサに向かっていく。何度も何度もファイヤーボールが当たるが構わず、向かう。そしてついにメデューサの目の前に来て顔面を殴った。いや、全力で放った拳が首に直撃した。
ボギッッ!
「アアアアアアァァァァァァ…ァァ………ア…………ア…………………………………」
顔面に目掛けて放った拳が偶然首に当たり、メデューサは絶叫を上げていたが徐々に小さくなり最後には聞こえなくなった。そしてダンジョンのモンスターが消えるときと同じように消えていった。
「……勝ったか」
そう呟いて、意識が無くなった。
目覚めるとそこはダンジョンのボス部屋だった。ボス部屋には誰もいない。階層ごとのボスは二時間ごとに復活するから気絶してから、そう時間は経っていないだろう。俺はレベルがどれくらい上がったのか見てみる。音は聞こえなかったがあれほど強いのだ。さすがにレベルは上がるだろう。
ステータス
名前:如月 祐司 15歳
種族:人間 LV:30
職業:付与術士 LV:39
体力値 52/340
魔力値 15/320
スキル:<異世界言語・文字理解><経験値十倍>
魔法:<清潔><ホット><ドライ><パワー><ディフェンス><スピード><マジック><スピリッツ><フレイムセット><アイスセット><ライトセット><ダークセット>
おいおい。もう2次職なれるじゃん。あとは職業レベルを50まで上げるだけだ。
「そういえば、メデューサのアイテムは………………………」
握り拳くらいの大きさの玉があった。メデューサの目はこんなに大きくないし、何だこれ?薄い水色の綺麗な玉だな。まるで…………………ま、………るで……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
「は?ハァァァァーーーーーーーーーーー―ーーーーーーーーーーッッッ!!?」
ほほほほほ、宝玉!?何で!?宝くじで一等を取ることより低い確率だぞ!!しかも、メデューサの宝玉!!スゲー!!こんなことってマジであるんだ!!
ふぅ、少し落ち着いた。俺、宝くじで一等をとった人の気持ちが理解できたよ。嬉しさと驚きで頭がいっぱいになった。
「メデューサの宝玉は…………使うか!」
売れば、間違いなく一千万Gを越える。俺の目標が達成されるが、さすがにボスの宝玉を売る気はない。つーか、売るやつはお金に執着するやつだけだ!
俺はメデューサの宝玉を手に取ると宝玉を砕く。その瞬間、宝玉は青色の光の粒子になり、光の粒子は俺の中に入ってきた。すると、
―<石化の魔眼>を習得しました。
石化の魔眼って、嘘だろ…………。魔眼なんてゲーム時代じゃ都市伝説扱いされてたシロモノだぞ。実在したのか………。
俺はステータスを開き、<石化の魔眼>の効果を見ると、
<石化の魔眼>:発動後、目に見える自分のレベル以下の生物を石化させる。魔力値100消費
なんと言うかもう一種のチートだな。俺はレベルがどんどん上がるからこいつはかなり使える。でも、これはボスにも効くのか?ボスは魔法による状態異常は無効化する。だが、スキルによる状態異常は分からない。誰もやったことないしな。
まぁ、効かなくても使い道はいくらでもあるか。
俺は11階層に行き、水晶玉でダンジョンの入り口に戻っていった。