世界滅亡
―――何処なんだ、ここ?
死んだらここにいた……………………………………ってことでもなく、散歩をしていたら空間が裂けたような裂け目を見つけた。
その空間が裂けた中を覗いてみると、真っ白で何があるか分からない。ついつい好奇心に負けて手だけ中に入れたら空間の裂け目がどんどん小さくなっていく。ヤバイ、と思って手を引っ込めようとしたが抜けない。だから、空間の裂け目に全身入った。
そして、冒頭の言葉に戻る訳だ。マジで何処だよ。入ってきた裂け目ももう無いし、見える景色は全て真っ白。正直、やることがない。なんか、重力もないっぽい。
「ごめんなさい!!」
「ん!?誰だ!」
いきなり幼女が現れたと思ったら、いきなり謝られた。結構、可愛い。
「ごめんなさい!!」
「あー、謝られる理由が分からんのだが………」
テンプレみたいに間違って殺してしまいました、じゃあるまいし。つーか、むしろ自分から来たようなもんだぞ。ここが何処だか分からんが。
「うぅ。実はここは次元と次元の狭間なんです!」
「まぁ、なんとなく分かってたよ。空間の裂け目なんてものがあったしな。………空間の裂け目であってるよね?」
これで間違えていたら恥ずかしいぞ。
「はい。あってます」
「でも、それの何があんたの謝罪に繋がるんだ?」
ちょっと嫌な予感。戻れないとかか?
「その、元の世界に戻れるのですが、えっと、その…………遥か未来に戻ってしまうんです!!」
「戻れないじゃなくて、時間の問題か。でも、それでも戻りたい場合は?」
たとえ、千年後の未来だったとしても帰って親や友人がどうなったのかを知りたい。何もない可能性は高いけど。
「その、あなたの世界は核があちこちで爆発して放射能で溢れているんです。人間は絶滅しました」
「………マジで?」
「ご、ごめんなさい!!」
全滅か……………実感湧かねぇー。だって、人類全滅だぞ。信じられない。いや、想像ができない。まだ、俺が死にました、と言われた方が納得できる。
「………仮にお前の言うことが本当だったとして、俺はどうなるんだ?」
そこが気になった。まだ、こいつの言っていることは信じられないが、とりあえず話を進めないと分からん。
「違う世界に行ってもらいます。どんな世界でもいいですよ!生き残るための力もあげますから!」
チートか…………嬉しいし、魅力的でもあるんだが。
「なぁ、ホントに俺の世界は滅んだのか?」
「………はい」
「本当に?」
「………はい」
「本当の本当の本当に?」
「………はい」
……………………やっぱ、実感湧かないな。どうするかな。ここで拒否してもこいつは俺の記憶を消して新しい人生を歩ませようとするだろう。まだ会ってそんなに時間も経っていないがこいつは甘い。
「なら、ゲームに似た世界とかあるか?」
訳の分からない異世界より少しでも自分の知るような世界なら生きていくことだって出来そうな気がする。チートなしでな。
「はい!ありますよ!《バビロフィス》と言うゲームです!他にもありますが、一番あなたの知っているゲームはこれですね!」
………《バビロフィス》か。確かに面白くてプレイしまくっていた。このゲームはファンタジー世界で、主人公は魔法学園でダンジョンを攻略しながら数々の困難に立ち向かっていく物語だ。
こんな世界があるのか。
「じゃあ、それで。ああ、主人公にはしないでください。自分から困難に立ち向かっていくほどマゾじゃないんで」
「分かりました!では、何か欲しいものはありますか?」
ふむ。どうしたもんか。
「そうだな…………2週目で出てくるスキル、<経験値十倍>が欲しいな。その世界には2週目は無いんだろ?」
「はい。ありませんよ!ゲームに似てはいますがあくまで現実なんで2週目はありません」
良かった、良かった。これがあるか無いかで随分違う。その名の通り経験値十倍だしな。
「あの、もっと良いやつとかありますよ?本当にそれだけで良いんですか?」
充分良いだろ。それに異常な強さを最初から持ってると他の奴等に目を付けられたりするかもしれない。
「これで良い。それより、俺がその世界に行って言葉は通じるのか?それと俺はどういう状態でその世界にいるんだ?俺は19だぞ」
「言葉は通じます!ラバル魔法学園の寮で、入学式に行くところです!魔法学園は15歳からなので若返らせます!」
なるほどな。若返らせるとか、ぶっとんでるな。
後、他に聞くことは………無さそうだな。最後に、
「……くどいようで悪いんだが本当に全滅したのか?」
「………はい」
「…そうか」
もう戻れない。全滅していることは実感できないが、もう元の世界に戻れないことは実感し始めてきた。
「もう他に聞きたいことはない。そろそろ俺を異世界に送ってくれ」
「はい!その世界で頑張ってください!」
「ありがとう」
その言葉を残し、彼、如月 祐司は旅立った。




