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姫王伝  作者: 鈴神楽
13/17

勝手に建国祭に出る姫

「レッケス帝国の建国祭ねー」

 ヤーリテは、帝国から送られてきた招待状をヒラヒラさせながら言う。

「出席をするべきでは、無いと思われます」

 リンの言葉に、ヤーリテが真剣な顔で言う。

「その発言の根拠は?」

 リンが想定外の質問に沈黙する中、ジェネが即答する。

「オバ王国は、マジックスと協定を結んでいて、そのマジックスと敵対関係にあります」

 ヤーリテが頷く。

「そうだね。問題は、それが、断る十分な理由になるか。マジックスからもお義理のお祝いの言葉が届けられるしね」

 ブレーダが肩をすくめて言う。

「よくある、政治的な対応だな。それでうちらは、どうするんだ?」

 リンが慌てて言う。

「それでしたら、私が、代わりに行かさせてもらいます」

 ヤーリテが首を横に振る。

「ここは、あちきが行くよ」

 こうしてヤーリテがマジックスと長年、敵対関係にあるレッケス帝国に向かう事になった。



 その夜、ジェネは、一人でヤーリテの寝室に来ていた。

「何を企んでいる?」

 ヤーリテが言う。

「皇帝ファイアーノ=F=レッケスと兄貴と熾烈な争いをする筈だったラオウ=P=レッケスを直接見てみたかったからだ」

 それを聞いてジェネが言う。

「あれは、生まれてきた時代が悪かった。ユーシャ殿下が居なければ、十分に覇王になれる器だった」

「兄貴の器は、それを越すって事?」

 ヤーリテの言葉にジェネが頷く。

「そうだ。そして、姫王の登場で、時代の流れが大幅に変更をよぎなくされた」

「結局あちきは、会わないと駄目だな」

 ヤーリテの言葉にジェネが言う。

「止まらなくなるぞ?」

 ヤーリテが頷く。

「だろうね。一気に時代が流れる可能性がある。それでも、会っておかなければいけない。そうしなければ兄貴との対決が出来ない」

 ジェネが悲しそうに言う。

「悲しい結末になる可能性が高いぞ」

 ヤーリテが遠くを見ながら言う。

「それでも、やらないと……」

 言葉にしないヤーリテの気持ちを察し、ジェネが言う。

「私は、姫王の盾としてこの命を懸けます」

 ヤーリテが辛そうな顔で言う。

「その言葉、確かに受け取りました」



「やっぱり兵士が多いな?」

 ヤーリテのお供として来たブレーダにヤーリテが頷く。

「レッケス帝国は、完璧な軍事国家。国を栄えさせるのは、領土の拡大だと疑って居ないからね」

 それを聞いてシースが言う。

「それが故に、マジックスやベニス連邦に何度と無く侵攻を行っています」

 ヤーリテは、シースを指差して言う。

「それを何度も打ち返しているのは、この元マジックスの騎士さん達なんだよ」

 それに苦笑するシース。

「それでもそれを支えていられるのは、王族の強力な魔法です」

 ヤーリテが王城を見上げ言う。

「だからこそ、レッケス帝国の連中は、マジックスの王族を毛嫌いしている。それなのにあちきに招待状を送ってきた。何かあると思って良いだろうね」

 レッケス王城に入城するヤーリテ達であった。



 式典の前に、ヤーリテは、用意された部屋に驚く。

「シース、どう見る?」

 ヤーリテの言葉にブレーダが言う。

「随分と豪華な部屋だが、問題があるのか?」

 それを聞いてシースが眉を顰めて言う。

「この豪華さは、まるで敵国の姫君を人質紛いの婚姻を結ぶ為のそれだ」

 ヤーリテが苦笑する。

「そっちで来たか」

 そして、騎士が伝令に来る。

「ヤーリテ殿下、皇帝陛下が御呼びです」

 シースが不機嫌そうにするが、ヤーリテが頷く。

「解った、案内して」

 こうして、ヤーリテは、レッケス皇帝との対面に向かう。



「よく来た。我が、レッケスの皇帝、ファイアーノ=F=レッケスだ」

 ヤーリテは、礼儀正しく会釈をして返礼する。

「ご招待に感謝します。あちきが、オバ王国国王、ヤーリテ=DM=マジックスです」

 それを聞いて玉座に座るファイアーノの傍に立っていた、強い意志を持つ目を持った男、ラオウ=P=レッケスが言う。

「マジックスの姫が新しい国の国王ですか?」

「はい。そして、オバ王国は、マジックスと軍事協定を結んでいます」

 ヤーリテの答えにファイアーノがつまらなそうに言う。

「解っている。お前の下に居る、ジェネ将軍には、何度も我が侵攻を邪魔されている」

 謁見の間に緊張が走る中、ラオウが言う。

「そんな状況で貴殿を招待した理由は、簡単だ。私の后になれ。そうすれば、更なる権力が手に入るぞ?」

 ブレーダが驚くが、ヤーリテもシースも驚いていない。

 ヤーリテは、笑顔で答える。

「残念ですが、あちきは、自分が王で居る事を選びます」

 それを聞いてラオウが言う。

「お前の企みぐらい解っている。お前の兄、ユーシャへの牽制、違うか?」

 ヤーリテが笑顔を崩さず言う。

「何を根拠にその様な事を?」

 ラオウが肩をすくめて言う。

「ユーシャの野望に気付いていないのは、呑気なマジックス国王だけだ。マジックス国内でも富国強兵の動きが激しく、周囲の国にもじっくりとその魔の手が伸びている。それに対抗できるのは、レッケス帝国のみ!」

 ラオウの強い視線を正面から受け止めてヤーリテが言う。

「あちきがオバ王国の国王であるうちには、兄貴は、暴走させません」

 睨み合う二人。

 そして、ファイアーノが言う。

「お前は、あくまでレッケスに下るつもりは、ないと言うのだな?」

 ヤーリテが頷くとファイアーノが告げる。

「ならば、覚悟するが良い。次の侵攻は、お前達、オバ王国なる」

 ラオウが笑みを浮かべて言う。

「最後のチャンスだ。私の后となり、共に世界を手にしないか?」

 ヤーリテが首を横に振る。

「あちきは、あちきの王道を進みます」

 そして、背を向けるヤーリテ。

 その行く手を阻もうとする兵士達。

 シースが決死の覚悟で剣を構えるが、ラオウが言う。

「行かせろ。招待状を送った相手を武力で、確保したなど、恥さらしな真似が出来ないからな」

 ヤーリテが振り返り頭を下げる。

「レッケスの皆様が誇り高きお方で良かった」

 ファイアーノが告げる。

「しかし、建国祭が終わった後、お前の国への侵攻を開始する」

 ヤーリテが頷く。

「その開戦通告確かに受け取りました」

 そして、ヤーリテは、建国祭が始まる前にレッケスを出て、オバ王国に戻る事になった。



「それでは、レッケス帝国と全面対決ですか?」

 国に戻ったヤーリテの報告にリンが驚く。

「とんでもない事態になったな」

 ポンも動揺する中、ジェネは、冷静に告げる。

「準備は、整っている。いつでも防戦は、可能だ」

 ヤーリテが頷く。

「最優先は、街道の安全。危険区域の農民には、一時避難通知して」

 そんな開戦への動きの中、途中、ヤーリテ達と別れマジックスに向かったシースが帰ってきた。

「大変です!」

 その言葉にヤーリテとジェネが苦々しい顔をする中、シースが続ける。

「マジックの兵は、自国領土の防衛を最優先し、オバ王国への出兵は、無いとの事です」

 リンが慌てる。

「馬鹿な、何の為の軍事協定だと思ってるのだ!」

 ヤーリテが首を横に振る。

「帝国は、直接、オバ王国を攻められない、その為にマジックスの領土を通る。そこの周囲の防衛を優先するって事になれば建前が立つんだよ」

 その言葉にブレーダが言う。

「まさか、マジックスは、オバ王国を見捨てるつもりか!」

 ジェネが苦笑する。

「マジックスにしてみれば、オバ王国も目の上のたんこぶだ。帝国とぶつかりあい、消耗するというなら十分に選択に適う手だろう」

 リンが唾を飲み込み言う。

「それでも、ジェネ将軍を失うのは、マジックスにとっても大きな痛手の筈です」

 ヤーリテが頷く。

「失えばね。でも、マジックスは、ジェネだったら、勝てないまでも負けないと思っている。マジックス、兄貴のシナリオでは、オバ王国を帝国に奪わせ、ベニス連邦の危機感を煽り、一気に帝国を滅ぼす展開に向かいたいはず。その為にも戦力は、出来るだけ失いたくないんだよ。当然、オバ王国失ったジェネ達も取り込むつもり」

 シースが言う。

「詰り、ユーシャ殿下は、オバ王国を犠牲にしてでも、一気に帝国との関係を解決させるつもりなのですか?」

 ヤーリテが首を横に振る。

 ブレーダがいらだちながら言う。

「じゃあ、どういう意味なんだよ!」

 ヤーリテが言う。

「大陸制覇。帝国を飲み込み、そのままベニス連邦を配下に治め、残った国々をマジックスの組み込む」

 あまりにも壮大な話に返す言葉が無い一堂の中、ジェネが言う。

「ユーシャ殿下は、その為に、ずっと力を蓄えていた。一度はじまれば、止まらないぞ」

 困惑したブレーダが言う。

「もしも、そんな事になったら、どうなるんだよ?」

 ポンが汗を拭いながら言う。

「間違いなく戦乱になる。そして、おびただしい量の血が流れるだろう」

 青褪める一同にヤーリテが宣言。

「それを防げるのは、あちき達だけ。ここで帝国を防ぎきれば、流れは、変えられる。オバ王国がある限り、マジックスの、兄貴の覇道への道は、始まらない。絶対に負けないよ!」

 強く頷く一同であった。

ここに来て、一気に動き出しました。

帝国の動き、そしてそれに合わせる様に動くユーシャ。

遂に公になるユーシャの覇道。

次から帝国からの激しい侵攻。

それに打ち勝つことができるのだろうか?

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