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姫王伝  作者: 鈴神楽
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勝手に王様に成る姫

 マジックスの現国王、ヨークス=GS=マジックスの事は、国民も周囲の国の人々は、『道楽王』と呼んでいた。

 政治を全て部下に任せ、趣味と女と美食に溺れる愚王。

 しかし、一度、魔力を振るえば、侵略の八割を壊滅させる、絶対戦力を持つため、誰も何もいえないのであった。

 そんなヨークスが住まう、王宮で事件が起こった。



「だから、父ちゃん、あちきを王様にしてくれよ!」

 そういったのは、ヨークスの一人娘、ヤーリテ=DD=マジックス、十四歳。

 外見は、幼いが、長い髪で、誰もが認める美少女だが、言っていることは、とんでもなかった。

「ヤー、無茶言うな、お前には、優秀な兄、ユーシャが居るんだぞ?」

 呆れた顔をするヨークス。

 それでもヤーリテは、諦めない。

「絶対に王様になりたいんだよ!」

 駄々っ子である。

 周りの臣下も、困り果てている時、糸目で人が良さそうな二十二歳の第一王子、ユーシャ=SF=マジックスがやって来た。

「ヤー、皆を困らせたら、いけないよ」

 ヤーリテは、癇癪を起こす。

「もーいいもん! 勝手に国を作るから!」

 そういって、王の間を駆け出ていくヤーリテ。

 臣下達が深い溜息を吐く中、ヤーリテが顔をだして言う。

「という事で、ゴルゴック山を貰うからね!」

 それだけ告げると、改めて走り去っていくヤーリテを見て、笑みを浮かべるユーシャ。

「なんだかんだ言っても、国民が殆ど住んでなく、山賊が跋扈するだけのゴルゴック山を選ぶのは、国への影響を少なくしたいからですね。そのくらいの分別は、有るみたいですから安心してください」

 笑顔で言われても臣下の人達は、頬を引き攣らせるしかなく、ヨークスが呆れた顔のままで言う。

「本当に分別があったなら、優秀なお前に代わって王にしろなんて言って来るわけが無かろう」

 ユーシャは、笑顔を向けるだけで、答えない。



 その日の夕方、ヤーリテは、首都ジックのあまり治安が良くない所にある、酒場、『ズーレ』に居た。

「そんな訳で、国を作ることになったから、あちきの稼いだお宝を換金しておいて」

 ヤーリテが店の妖艶な魅力を持つ女主人、コーネ=C=リーユにそう告げた。

 するとコーネが顔を近づけて言う。

「あれだけの量だと、買い手を探すのも大変よね。単純な手数料だけじゃ割が合わないわね?」

 意味ありげな笑みを浮かべるとヤーリテは、眉を顰める。

 すると、ヤーリテの隣に居たメイド姿のポニーテールの少女、ユアが言う。

「お金で解決した方が絶対いいですよ。絶対に調子に乗ります」

 彼女は、一見するとヤーリテと同じ年なのだが、小さい頃からヤーリテの世話係をしている、年齢不詳のメイドである。

 そんなユアの意見に対してヤーリテが首を横に振る。

「国を作るとなるとお金は、いくらあっても足らない。倹約できる所は、倹約しないと」

 そういって、目を閉じて唇を差し出す。

 コーネは、頬に手をやり嬉しそうにキスをする。

 そんな風景を回りの客がまたかと言う顔で見ていた。

 満足した顔で顔を離すコーネ。

「換金の方は、任せといて」

「任せた。それと、ブレーダを知らない?」

 ヤーリテの言葉にコーネは、出口を指差す。

「あそこから逃げようとしているぞ」

 ヤーリテが出口を見るとそこには、逃げ出そうとした剣を持った野性味に溢れた男、ブレーダ=S=ドイツが舌打ちしていた。

「何で、ばらすんだよ!」

 ヤーリテが近づき軽く叩きながら言う。

「約束は、忘れていないよな?」

「あれは、反則だ! どう考えたって、剣の勝負で、幻使うのは、卑怯だろ!」

 反論するブレーダにヤーリテが肩を竦める。

「情けない。これが、魔法剣を使えば、最強とも噂される冒険者だなんて」

 怯むブレーダにヤーリテ背を向ける。

「別に良いぞ、約束一つ守れない奴では、意味が無いからな」

 流石にそれには、反論がある様で、ブレーダが言う。

「ちょっとまて、それじゃ俺が約束を破ったようじゃ無いか!」

 呆れた顔をするヤーリテ。

「それじゃ、お前は、一撃でも自分に剣を当てられたらなんでもいう事を聞くと言った約束を、自分が想定してない方法を使われたから無効だって言い張る人間が約束を守る人間だというのか?」

 奥歯をかみ締めるブレーダ。

 ヤーリテは、深く溜息を吐く。

「あちきも見る目が無かった。こんな負け犬根性丸出しの男に期待していたんだから」

「解った! 何でも言いやがれ、つきやってやるよ!」

 怒鳴るブレーダにヤーリテが笑顔で言う。

「あんがと、ブレーダだったらそう言ってくれると確信していたよ。それじゃ、独立を手伝ってもらうぞ」

 近場のテーブルの酒を飲み干してブレーダが叫ぶ。

「こうなったら自棄だ! なんだってやってやるよ!」

 こうして騒ぐ中、ユアが自分の連れて来た、小さな漆黒の狼、トーと小竜の姿をした、ヤーリテと契約する闇色の竜、BBBの所に行く。

「大変な事になりましたね」

 すると、トーと肉を取り合って居たBBBが答える。

『仕方ないだろ、あいつは、そういう星の元に生まれたんだからな』

 頷くユア。

「だから私がここに居るのですけど」

 BBBが鋭い目をして言う。

『前から疑問に思っていたんだが、貴様等何者だ?』

 その瞬間、トーが肉を奪い去って。

『待て!』

 慌てて追いかけるBBBを見ながらユアが答える。

「私の正体なんて永遠に解らないのが正解だよ」

 建国の前祝いと騒ぐヤーリテと自棄酒を飲み続けるブレーダを楽しそうに見るユアであった。

基本コンセプトは、国づくりです。

裏テーマでは、力だけじゃ人が動かないですね。


全十七話の話ですが、人気が無ければ転載しないと思います。


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