宇宙暦435年9月1日 1017時
宇宙暦435年9月1日 1017時
「んー、やっぱ特級軍事機密になるわけだ・・・」
「そうですね艦長」
出航作業を開始して1時間47分、全員配置に付くのとほぼ同時にストレから艦の概要と各自に合わせたマニュアルを各コンソールに配信され熟読していた。
因みに、これまでの作業は完全にストレにおんぶに抱っこ状態。
出航作業をマニュアルとストレに教えてもらいながら何とかこなして、ようやく今出航となった。
「これ、上手く使えば一個艦隊ぐらい叩けるんじゃ・・・」
「あたしゃイケると思いますね」
「あぁーつまらんな、宇宙海賊でも出てこないか・・・」
「って少佐、今出てこられたところでストレにおんぶに抱っこ状態じゃ逃げるのが精一杯でしょう?」
「あー!もう大体文字を読むのは性に合わん、俺ちょっとMF-01のシュミレータやってくる」
ミランダ中尉とケリストラン少佐もこの艦を気に入ったようで、なんかウズウズしてるのが丸分かり・・・。
「さてと・・・」
出航とワープイン関係は教わったから他のマニュアル読むか・・・いつ読み終わるか分からないほど分厚いけどな・・・
だがこれ大事、何か一秒を争う事があった時に自分で対処できるかAIに聞いてタイムロスするかはその結果に多大な影響を及ぼす。
「お茶お持ちしましたよ皆さん、どうぞミルト様・・・あら?ケリストラン少佐はどちらへ?」
「あぁ少佐ならMF-01のシミュレータをしに行ったよ」
「はいどうぞ、はいお茶です、そうですか」
今時の軍隊に当直という役割は存在するが勤務時間というものは無い、艦にAIが搭載された事で例え奇襲を食らっても人員が配置に付くまでAIが代行可能だからだ。
だから皆何かあるまでは思い思いに過ごすし、何かあれば可及的速やかに配置に付かなければならない。
「ストレ、今大丈夫か?」
「はいミルト様、御用でしょうか?」
「・・・それ、何で俺だけ様付けなのかな?」
そう、初めて会った時からこのAIストレは俺を名前に様付けするのだ。
気になってしょうがないし、何か理由があるのかと思う。
一応、ちょっと気になったから聞いてみました的な雰囲気で次に必要なワープアウト関係のマニュアルを目で追いながら聞いてみた。
「あら、いけませんかミルト様?」
「いやいけないとは・・・うーん、出来れば艦長とか、皆と同じ様にして欲しいんだけど?」
「ソレは命令ですか?」
「いや・・・命令って大袈裟な「ではミルト様とお呼びします」・・・そうですか」
なんなの?何なのこの人間臭いAIはっ!
ふと気付くと俺の左に座っているエリシア少佐が後ろのドアに向いて肩を震わせている。
あぁーあ!そりゃ面白いだろうよこのエリシア!!
「副長・・・、司令部に着くまでに可能な訓練時間と訓練種目を今日中に提出、これ命令」
「・・・ッ、・・・りょ・了解・・・ック」
一度も目を合わせずにまだ笑いを堪えながら返事しやがった・・・ムカツク!!