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宇宙暦435年9月20日 2028時

                    宇宙暦435年9月20日 2028時


 「それで、アレは今どの辺りに?」


「そろそろ国境でしょうな」


「・・・上手くやってくれると良いのだがな」


皇都である惑星ヒイズルのとある一角。


「・・・・・・」


4人の男がこじんまりとした、されど高い調度品で整えられた部屋で角を突き合わせていた。


「で、これからどうするのだ?」


「はい、国境を越えたたりで宇宙海賊に襲わせその報告を聞いたこちらは帰還を命令し、息のかかったドックに入れて中身をいただきます」


「襲わせる宇宙海賊は大丈夫なんだろうな?」


「えぇ、間に何人か挟んで誰の依頼かは分からない様にしています」


「それもだが実力は?」


顔は痩せた印象なのに恰幅かっぷくは良いというアンバランスな顎鬚あごひげを長く伸ばし軍服を着た老人と、中年のいかにも小役人風の軍服を着た男。


「問題ない、あいつらはあのアナハル事件の主犯格と言われている奴等やつらだ」


「なんと!あやつ等ですか・・・」


カイゼルひげを生やしたいかにも軍人然とし寡黙そうな初老の男の説明に、己の力だけで這い上がってきたとでも言いたげに冷たい視線を持つ濃灰色のうかいしょくのスーツを着た政界に居そうな男がわざとらしそうに驚く。


「アナハル下爵、今は下伯か・・・が司令官を務めていた訓練艦隊が一宇宙海賊に奇襲を受けてボロ負けした事件のあの海賊だ」


顎鬚あごひげ軍人の説明に小役人風軍人がフムフムとうなずき、カイゼル鬚軍人が顔をしか濃灰色のうかいしょく男が知っているとでも言いたげに一つうなずく。


「確か訓練中であるにもかかわらず無理矢理連れ込んだ女性下士官との情事にふけり、しかも子息名義で禁止薬物の売買など違法取引をしていたとか、そんな状態だったのなら・・・」


「訓練艦隊+司令不在だったというのもあるが、それを差し引いても戦力差は1対5ぐらいあったのだ」


濃灰色のうかいしょく男の否定的な意見に顎鬚あごひげ軍人が反論する。


左様さようで・・・」


「たとえ宇宙海賊が負けたとしても、多少治安が良くなるだけだ」


「・・・勝ってしまったらどうするのだ?」


それまで黙っていたカイゼル鬚軍人がふと気付いた、とでも言いたげに質問する。


「ギリギリ帰還出来る程度に痛めつけろ、と言い含めてあります閣下」


顎鬚あごひげ軍人の返事にフム、と一つうなずいて口を閉じる。


物言いから察するに顎鬚あごひげ軍人よりカイゼル鬚軍人の方が地位は高いようだ。


「そういえば、艦長の抽選結果に問題があったとお聞きしましたが?」


濃灰色のうかいしょく男がその場に居る人間に訪ねるように聞く。

すると小役人風軍人が挙動不審になり、それを見た顎鬚あごひげ軍人が視線と特徴的な顎で先を促す。


「そ・それは・・・、こちらの息のかかった軍人に当選させるはずが、ずぶの素人になっただけだ・・・あの艦の事を考えたらこっちの方が良いだろう・・・そ・そうじゃないか!?えぇ?」


チラチラと鬚持ち軍人達の方を伺いながら、がなるように弁解する小役人風軍人。


「ま、そうですな・・・で、どの様に対処なさったので?」


「ふ・ふん、広報課の連中に命令してそのずぶの素人を連れてこさせたわっ」


その答えを聞いて、顎鬚あごひげの軍人が深いタメ息を吐く。

隣を見るとカイゼル鬚の軍人も苦々しく顔を背けていた。

その話を振った濃灰色のうかいしょく男も頭を振りながら「あぁ~あ」のジェスチャー。


「貴様は自分が何をしでかしたか分かっていないようだ」


挙動不審に陥った小役人風軍人に顎鬚あごひげ軍人がついを下す。


「・・・と、言いますと?」


「貴様が考え無しにそんな命令を広報部に出すから、あの連中に今回の件を嗅ぎ付けられたのだ」


「だから今日、我々が危険をおかして集まったのだ」


「は・はぁ・・・?」

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