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第007話 宝物

 宝物庫は扉が壊れていて、部屋の中の宝箱もボロボロだ。

 ココにあった貴重なアイテムは全て奪われたらしい。

 勇者達に入室許可とか関係ないですからね。

 良くある勇者行動ってやつです。

 ヤレヤレ……。


「目録みたいのってどこかに無いかしら?」

「探させます」


 スケルトン達がわらわらと入って来て部屋の隅々を探すと、棚の上のツボの中から一冊の本が出てきた。

 そこには、各アイテムの名称と個数が書いてあるが、その一つも残っていないのは明らかだった。


「ホントに他人のモノを何だと思っているのかしら」

「他人の家に勝手に入る連中ですから」

「マリア先生もそうだったの?」

「私は勇者ではなかったので、そんな事は出来ませんでしたね。まあ、あまりにも目に余るほどの非道な事をすれば勇者権を剥奪されるでしょうし、犯罪が認められている訳ではないです。ただ、必要な行動であるのなら……」

「その結果がコレ?」

「残念ですが敵対勢力については放置されます」

「じゃあ、私が相手に同じ事をしても問題ないわよね?」

「もちろん問題ありませんが、そんなお嬢様になって欲しくないです」

「それは同意するわ」


 せっかくなのでスケルトン達に掃除をさせていると、一つだけ開かない宝箱があった。その宝箱も傷だらけだが、床に張り付いたかのように動かない。


「結界魔法がかけられていますね」

「記憶が正しければ……」


 私だけが開けられるはず。

 箱の大きさはお嬢様が入れるほどで、蓋に手を触れると、魔力の紋章が浮き出て、魔素が失われた。


「凄い仕掛けですね」

「お父様だもん」


 お嬢様のドヤ顔なんて久しぶりに見ました。

 可愛いです。

 ニコニコしながら蓋を開くと、中に入っていたのは……


「釣り竿ですか?」

「お父様と釣りに行く約束してたのよ……。仕事が忙しくなった所為でいつになるか分からないと言っていたけど……」


 実は、忙しくなった原因が勇者一行なのだが、そこまで理解が及ばない。


「釣り竿とは思えない素材ですね。ミスリル銀ですか……」

「護身用にもなるってコトだけど……伸縮もするのね?」

「いや、これ凄い武器なんですけど……」

「水属性が付与されてて、自動で魔法防御が発動するみたいね」

「ああ、魔界で釣れる魚って根性ありますもんね」

「小さくても水圧レーザーみたいの撃ってくるから」


 それ、どんな釣りなんですか?

 確かに魔界周辺の海は怪魚の所為で船が出せなかったですが。


「ウミウシの切り身を餌にするとよく釣れたのを覚えてるわ」

「ウミウシって体長3メートルくらいになる生物ですよね?」

「お父様がデコピンして捕まえてたわ。殺すのは可哀想だからって身体の一部を切断するの」


 流石は魔王様ですね。


「それにしても持ちやすいし振りやすいし、伸縮可能だから邪魔にならないし、凄い道具ね」


 使用感を確かめるように小さく振っている。


「道具というより武器として使っても問題ないですね」

「これから使うなら武器かしら……」


 ちょっと振り回しただけで後ろのスケルトンの身体が崩れました。

 え、範囲攻撃?


「ちょっと触れたかしら?」

「威力が高すぎるんです、その武器が」

「釣り竿よ、釣り竿」

「ア、ハイ」





※あとがき


ミスリル製の釣り竿で特注品

強度で言うと300㌔ぐらいでも上げられる

糸も高強度だが、糸は持っていない

普段は短くなって警棒のように腰に挿している

柄の中に全て収納される


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