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第074話 占領された旧メイガスの街

 メイガスの街改め、ビレッドの街にやってきたアイシャ一行は、なんの制限も受けず、すんなりと街に入った。国境を越えてきた旅人の最初の街にしては警備が薄すぎる。

 周辺のが森と山に囲まれていて、旅人よりも魔物の来訪の方が多いとしても、それはそれで警備が必要だと思うのだが……。


「手を抜いているワケじゃないみたいですね」

「これ、ボアの足跡だから、群れでも現れたんじゃないかな」


 リッカーが地面の足跡を見てそう言った。


「元々は魔除けの鈴を使っていましたから、このような被害は少なかったのでしょう」


 周辺は魔物の血の匂いがするし、戦った跡もあって、とても新しいコトから、本当についさっきの可能性もある。


「お嬢様、何か感じますか?」


 リッカーとマリアがアイシャを見詰める。

 つまり、そういう事だ。


「近くに鳥がいないし、カラーもあっちに移住したもんね。って事はこの魔力は……」


 見上げて遠くを睨むと、ボアがこの街を目指した理由が分かりました。


「ロックバードね……多分、グリフォンの群れから逃げて食糧確保にボアを襲ってると思うんだけど」

「その認識でほぼ正解でしょう。ボアの天敵ですし」

「倒しちゃっていいの?」

「はい。突撃、今夜の晩御飯のおかずにしましょう」


 ロックバードの肉はグリフォンと比べると安価だが、それは狩猟数が多いからで、味と質で言うならグリフォンよりも良い場合もある。


「今回さ、任せてもらっていい?」


 迫ってくるロックバードがこちらに気が付いて狙ってきたタイミングで言ったので、返答が出来ず、リッカーはそのままロックバードに向かって跳び上がった。


「何あれ、カッコイイ!」


 お嬢様がそう言ったのは、リッカーの背中に大きな翼が現れ、ロックバードよりも速く空を移動し、回り込んでからのツインダガーでロックバードの首を次々と斬り落とすと、ついでに蹴りとばして落下地点もピンポイントで同じ場所に。


「良い技術です。動きも悪くないですね」


 飛べないと言っていましたが、しっかりと飛んでいます。

 まあ、移動手段として使えないという意味で飛べないと言ったのでしょう。

 私も飛翔魔法を移動手段にまでするつもりは有りません。

 何しろすごく疲れるんです。

 平気で移動している人を一人見ましたけど、あれは人であって人ではない存在なので、ノーカンです。

 はい。


「うわー、あっという間に全部倒しちゃった……」


 首を落としただけなので傷も少なく、品質としては最高です。

 嘴、羽根、爪、そして肉。内臓の一部は薬にも成りますね。


「まー、朝飯前だねっ」

「もう、お昼過ぎだけど?」


 そういう意味ではないですけど、それは置いときまして。

 リッカーはサクサクと解体し木に吊るして血抜きもしています。

 おっと、血も大事でしたね。


「あ、忘れてた」

「瓶なら有りますので」


 先生も加わって血が回収される。

 って、先生はその瓶を何本持ってるの……?


「おい、貴様ら何をしている?!」

「なんだ、ロックバードが解体されてるぞ」

「あ、あいつSランクのリッカーじゃないか?」


 続々と集まって来たので、ちょっと面倒な事に成りそうな気もしましたが、リッカーの機転で収まりそうです。


「あんた達この街の兵士なら退治してあげた私達を手伝うべきだと思わないの?」

「ん、あぁ、そうだな……」

「肉半分あげるから倉庫と加工所貸してよ」

「いいのか、その条件ならこちらからお願いしたいくらいだぞ」

「先生、いいわよね?」

「構いませんよ」


 リッカーが私を先生と呼んだ事で兵士達から注目を浴びました。

 ジロジロと見られていると、お嬢様が間に立ちました。


「ちょっと、いやらしい目で見てるでしょ?!」

「そそそ、そんな訳ないだろ」


 子供に指摘されて挙動不審になってます。

 情けない兵士です。


「そんな事より、倒してくれて助かった。ボアの襲撃にあって退治したんだが、数が多くてな、俺達が倒したのをロックバードがやってきて持って行っちまってさ」

「ボアを倒せるのでしたらそこまで弱くは無いのでしょうけど、10匹近いロックバードの群れを放置して逃げるのはどういう事でしょう」

「いや、あの、まあ、ほら、な!」


 なんで他の兵士まで挙動が……。


「教会は守らねばならんのでな、最重要事項だ」


 他の兵士達も同意していますが、私達には関係ありません。


「あんた達さ、とりあえず運んでくれない?」


 その言葉は一同の無駄なやり取りを減らす良い効果があって、兵士達がそそくさと未解体のロックバード運んで行った。そして、運び終えるまでに3体の解体と血抜きが終わり、そのまま夕食用の食材となった。


「じゃあ、倉庫と食堂に案内するよ」





 宿屋兼食堂では兵士達が集まっていて、その中にはあの姉妹も居る。兵士達は楽しそうに話をしていて、厨房にロックバードの肉が持ち込まれると歓声が上がる。


「久しぶりの良い肉だな、脂もコッテリだ」

「すごいねー」

「すごいわー」


 料理人達にも気合が入っているようで、他の食材も山のように集められている。

 とは言っても、数百人も居れば当たり前な量である。

 普段と比べられるべきは肉の量であった。


「凄い量だな、これなら両親も喜ぶかもな」

「良かったですね、隊長さん」


 その時のアイシャは何をしていたかと言うと、せっかくの解体作業なのでしっかりと勉強させられていて、倉庫にはロックバードの素材が綺麗に並べられている。

 作業場の窓から教会が見えるのですが、あの名称は何なんですかね。

 後で問い詰めましょう。


名前 ロックバードの羽根 種類 素材

説明 ロックバードの羽根には魔素が多く含まれ、軽くて魔法防御に優れる


「まあ、鑑定するまでも無いですけど、この羽根を糸にした服は、魔法防御に優れているだけでなく、少し敏捷が上がります」

「これを糸にするって、途方もない作業ね」

「手間が凄いから、それだけでも高級品になるわね」

「もちろんグリフォンの羽根で作った糸の方が高いですけど、ロックバードの糸で作られる服は価格的にも能力的にも聖職者が好みますので」


 この街で加工を担当する兵士は二人の手際の良さに目を丸くしつつ、手伝いに専念していた。何しろ早いし正確だし、無駄が殆ど無い。


「嘴も爪も綺麗に取り除きますね……」

「このくらいは出来て当然と言いたいんだが……」

「先生すごーい」


 アイシャがマリアの手捌きを見て感動している。

 リッカーは解体に自信が有ったのに、敗北した気分である。


「リッカーは、なかなか良い手際ですね」


 と言われて恥ずかしくなってしまうのだった。


「あんた達が何者か知らんが、ここで働いて欲しいぐらいだ」

「有り難いですがお断りしますね」


 マリアが笑顔で断ると、何故か兵士はその後の言葉を続けられなくなって、作業が終わるのを、お嬢様と呼ばれる子供と一緒に、ただ見続けていた。







※追加情報



名前 ティル・フィルド 性別 女 年齢 18 種族 猫獣人

職業 聖職者 Lv 19 筋力 11 魔力 53 敏捷 5 魅力 85

HP 56 MP 398

所持 木の杖

特殊技能 回復魔法Lv2



名前 ミィ・フィルド 性別 女 年齢 9 種族 猫獣人

職業 聖職者 Lv 33 筋力 5 魔力 88 敏捷 2 魅力 166

HP 38 MP 654

所持 木の杖

特殊技能 治癒魔法Lv2



名前 テオトル・デ・ザジャー 性別 男 年齢 29 種族 狐獣人

職業 貴族 Lv 31 筋力 183 魔力 37 敏捷 88 魅力 248

HP 1895 MP 203

所持 恩賜の剣

特殊技能 話術 ド根性


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