表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/75

第071話 心配なアイツ



第四章 身体と心の成長




 帰り道は思ったよりも遠く感じる。

行く時は何処まで行くのか予想も出来なかったし、見るモノは全て新鮮だった。

だけど、今は違う。

 強くなったからなのか、景色が少し変わって見える。


「それはね、自分に自信が付いたからなのよ。オークなんて片手で倒せるでしょ」

「そーねぇ……」

「なら家を封印して少し厳しk……」


「「それはダメっ!!」」


 全力で迫ってきました。

 すごい迫力ですね……。

 旅をして15日経ちますが、次の町が見えても寄らずに最初の目的地に向かっています。お城に帰る前に寄りたいのは3ヶ所。

 港町のボールドは必ず立ち寄るので数には入れていません。


「最初は魔族の街だよね」

「こっちの方に来るのは初めてだから、楽しみだな」

「へー、意外ね。もっと世界中を旅してるのかと思っていたわ」

「空を飛んで移動する手段が有ればそういうのも可能だけど、残念ながら飛べないからねぇ」

「設計図なら有るので空を飛ぶ乗り物を建造する事は可能ですが、直ぐに破壊されるんですよね」


 リッカーが苦笑いする。


「設計図なら禁書でも見た事が有るけど、造るだけの資材の入手だけでも古代金貨が何枚飛んで行くか分からないモノね。……その設計図の制作者って先生じゃないよね?」

「流石に私ではありませんよ。過去の転生者が作ったそうですけど、テスト飛行でドラゴンに破壊されて運命を共にしたそうです」


 先生以外でもトンデモない物を作ろうとする人はいるんだね。

 世界って広いなあ。


「なんで二人して私を見るのですか」

「移動の速くなる乗り物って他にも有るのかなー、って」

「ありますよ」

「あるの?!」

「あるんだ?!」

「この世界の文明レベルでも造れるモノはいくつかありますが……造ったところで維持する事が出来ませんね。魔物が多過ぎて安全性を確保できませんので」

「じゃあ、安全ならどんなものが出来るんです?」

「……蒸気機関なら造れますね」


 蒸気機関というモノについて説明してもらったが、私もリッカーもチンプンカンプン。蒸気の部分を魔導に換装した魔導船というモノが存在していたらしいけど、やっぱり魔物に壊されたんだって。


「運用にお金が掛かり過ぎるのも難点でして、私も造ろうとした事が有りますけど、当時の魔王様に怒られて中止になりました」


 何年前の話なのかは訊かないでおこう。


「先生は何を作りたかったの?」

「えーっと、木製の飛行機を作ろうとして城に激突させて怒られました」


 先生がてへぺろしてるけど、そもそもヒコーキってなんなん……。


「空を滑空する乗り物なんですけど、魔法と人力を工夫すればそれなりに飛行できる予定だったのです」

「なんでダメだったんです?」

「ドラゴンが攻めてくる原因になるって事でした。当時の私はドラゴンを脅威と思っていませんでした。正直、今もそれほど……」


 ドラゴンは街が一瞬で消滅する災害級の存在だが、人でも国を一人で滅ぼしている者が存在する。ドラゴンが先生にとってそれほどの脅威では無いというのは、なにかしらの対策法を知っているという事だろうか?


「対策は幾つかありますが、なんでも禁書にしてしまう暗黒の時代もありました。強過ぎる個人を神の敵として追放するとか、強力な魔法を知る者をこの世から無くそうとするとか、力を正しく恐れるのも国を守る方法の一つではありますので」


 先生が私を見る。

 言いたい事は理解してるけど、早くないかな?


「まだ、耳が痛くないからっ」


 まだ、ね。


「アイシャが魔王様に成ったら就職しに行こうかなー」


 お嬢様、好機到来です、Sランクですよ、勧誘してください。

 って、そんな目で私を見ている……。


「心配事は山のようにありますし」

「私が魔王に成ったらみんなが安心して暮らせるようにするからねっ!」

「それはそれで素晴らしい考えですよ」

「うんうん」


 二人して私を子供扱いしてくる。

 確かに子供だけどさー……。


「そ、ん、な、ことよりっ」


 僅かに歩調が速くなる。


「……オガサンに会っていく?」

「あー、ギデオンの仲間の」

「引退して安定した生活を求めている人ですから、特に勧誘する理由も無いですし」


 そういう理由なのかー。

 その、先生の目って私の心を見透かされてる気がする。


「ピタンの方が気に成りますか?」

「べっ、別に私より弱かったら困るじゃない」

「へー、ライバルがいるんだ?」

「ライバルじゃないから、心配なだけだからっ」


 そのニヨニヨした視線やめてっ。




 女だけの長旅なら、本来は魔物に対して厳重警戒するような危険な旅なのに、この3人の場合は違った。たまにすれ違う馬車や、冒険者グループが物珍しそうに私達を見てくるけど、リッカーの顔が多くの人に知られているおかげでちょっかいを出してくる奴はいない。

 夜になれば必要な野営も、先生が家を持っているから温かい食事が出来て、夜はベッドで寝れるし、お風呂も入れる。


「こんな快適な旅してたのね」

「ぜーんぶ、先生が用意してくれたのよ」

「どこでもマイハウスです」

「そんな名前あったんっだ?」

「そもそも、家を道具として持ち運びできる先生がおかしいと思う」

「やっぱり封印しますk……」


「「それはダメーー!!」」


 会話が最初に戻りましたね。

 要するに道中は暇を持て余すので、勉強にもなるので色々とお話をしています。

 最近は雑談の方が多い気がしますけど……。

 ピタンの事を思い出して少しヤル気が回復しましたし、リッカーだとお嬢様のライバルにするにはまだ強すぎますので、良い刺激になるのでしたら寄る価値もあります。

 お土産と言うのも変ですがグリフォンの肉でBBQするのも良いかもしれませんね。

 ……リッカーが付いてきた本当の理由も訊けるかもしれません。

 二人が私を見ました。

 やっぱり、今の私は心配をするのが趣味になってしまっています。

 苦労性ですかねー。

 フーヤレヤレ。







※おまけ



「なんだココ、廃墟か……

「せっかく町っぽいのを見付けたのにね

「まぁ、まだ人に会う時期じゃないんだろ

「もー、またそんなこと言ってー

「お、ギルドも有ったんだな……

「え、それってソコソコの大きな町って事よね?

「だろうな……魔物が居る

「戦う?

「そうだな、掃除くらいしておくか

「ふふっ

「な、なんだよ

「やっぱ、その目、好き

「……いくぞっ

「照れてるー(ツンツン

「う、うっさい


 この後、魔物は二人が全滅させました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ