第006話 呪詛
お墓の前に佇む少女とスケルトン。
「お父様を殺した連中が苦しんで死にますように……」
物騒な言葉を呟く少女の後ろで、スケルトンは片付けをしながら待っている。
「あーして、こーして、泣いても許さない……」
恨み節はいつまでも続く。
「お父様ともっと遊びたかったな……」
涙を流しても、呪詛は終わらない。
目の前で父親が殺されるという衝撃の光景を、忘れるなんて出来ないし、許すなんて感情が入り込む隙間なんて全く無い。
地面に座り込んで嗚咽を漏らす。
スケルトン達はどうする事も出来ず、ただ見守るだけだ。
「もう、一緒に行けないもんね。お母様とお父様と三人で……」
母親が死んだときは、その意味を理解した日に、泣き叫んだ。
父親をずっと困らせていて、仕事に影響が出た事も今は知っている。
それから父親は凄く優しくなった気がするが、もともと優しかった以上に母親の方に甘えていたから、気が付かなかったのだ。
だから、それだから、父親を殺したあの男を許せない。
陽が落ちているのにも気が付かず、そっと肩を叩かれた。
「食事の用意が出来ていますよ」
「……そう。じゃあ、しっかり食べて強くならなきゃ」
食事は全てスケルトンが作っている。
どうやって作っているのか見に行った事は有るが、ちゃんと料理をしている。
どうやってあの重いフライパンを持っているのかは良くわからなかったけど、出来上がった料理はちゃんと美味しいので気にしないことにした。
だけど、食べるのは私だけ。
以前は他の魔族や魔物も居たのだが、お父様である魔王が不在になった翌日には私とスケルトン以外いなくなっている。
「ああ、あいつらが全て斃していきましたよ」
「まぢで?」
「四天王が負けるんですから、城内で勝てる者はいないでしょうし、魔物は素材にされてしまうでしょうし」
城内の魔物に負けるようでは魔王に挑む前に逃げるだろう。
四天王と戦うまではほぼ無傷。
四天王を倒して魔王に挑んだ時、やっと少し疲れたくらいだったような。
「勇者の能力は尋常じゃないので、死んでも無限復活するという噂もあります」
「ナニソレ、ズルくない?」
「狡いと言えばそうなんですけど、死を克服するのも凄いと思いますよ」
「マリア先生も死んでいるのよね?」
「正確には死んでいますね」
「今はどんな感じなの?」
「感覚が無いので分かりません」
「感情は残っているのでしょう?」
なかなか難しい質問をしてくる。
お嬢様が9歳なのが不思議なくらいだ。
そう言えば……
「感情は有ります。それほど強いモノではないですけど、新しい事を知ると喜びを感じますね」
「ふ~ん…」
「喜びというと、数日後にはお嬢様の誕生日ですよ」
「そう言われれば……」
お父様が誕生日プレゼントを用意していると言っていたのを思い出した。
もしかして、まだあるのかしら?
「一個だけ開かない宝箱があるって、言ってたわね?」
「そんな報告は受けてませんけど」
スケルトン達も知らないらしい。
じゃあ私の記憶じゃなくてお父様の記憶かな?
「宝物庫は確認したの?」
「私達に入る権限が無いので入ってません」
「そっか、そうよね。宝物庫だもんね。食事が終わったら一緒に見に行きましょ」
※あとがき
スケルトン達にも特技があって、料理が得意な者もいる




