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第066話 マリア先生のステータス講座

※まえがき


読むと少しだけこの世界が理解してもらえる。

ただし読まなくても問題ない。

でも読んで欲しい……。


せんせーい、あつまってきたよーっ

はいはい。

……なんじゃこりゃあ。





 ラッセル王国に向かったギデオン達の事は忘れ、帰る前に必要な事をお勉強する日。

なのですが……。


「それが、どうして、こうなるんですか!」


 マリア先生は私の先生。

 先生は11歳の子供をギデオンと戦えるほどに育てた優秀な人物。

 そうなれば、噂に尾ひれと背びれがくっついてマーボゥ状態である。

 お嬢様の為に準備をしていた筈なのですが、気が付いたら100人くらい人がいました。

 ギルバードはなんで居るんですか、仕事は?

 リッカーはSランクですよね?

 必要ありませんよね?

 Bランクはまだ分かります。

 それ以下の人達も知らない人が多いですよね。

 そこのAランクは依頼をしてきてください。

 なんで商業ギルドからも人が来てるんですかね……。


「せんせーい、まだですかーい」


 お嬢様が私の目の前の席に座っています。

 声は遠くから。


「はい、始めますよー……はぁ……」



名前 ケビン・ブロード 性別 男 年齢 21 種族 狼獣人

職業 剣士 Lv 31 筋力 89 魔力 14 敏捷 33 魅力 59

HP 598 MP 81

所持 なし

特殊技能 野生の勘



 近くに居た人の鑑定した結果を書き込む。

 もちろん本人に了承は得ています。

 先ずは職業について。


「一般的な安定した職業です。特に解説する理由は有りませんね。一つ付け加えるのなら職業が影響して出来ない事が有るという考えは捨てて良いです。魔法も使えます」


 理由を訊きたそうな人がいますが、質問は受け付けません。

 Lvについて。


「これは就いた職業に反映された数値です。でも、実はこのレベルがいくら高くなっても特に影響は有りません。熟練度の目安程度で、ほぼ意味は無いと思って構いません。鍛えてさえいれば無職でもこのレベルは高くなります」


 無職だとほぼLvが999になるのは多分、神の手抜きです。

 ドラゴンに多いですね。

 ここからが今回の本題です。

 誰です、要チェックだーって叫んだ人……ギルバードは黙ってください。

 筋力について。


「とても重要な数値で、高いほど打たれ強くなりますし、攻撃力も高くなります。ただの人間の場合の限界値は100とされていますが、もちろんいくらでも上がります。事実上限界値は無いと思っても良いのですが、ここで一つの謎が発生します」


 男を二人並べます。

 良い筋肉していますね。

 筋肉を撫でただけで頬を染めないでください。

 こほん……。


「この筋肉が有るのに、彼はケビンより弱いのです。数値では半分。ただしHPは倍以上。不思議ですよね?」

「見た目では判らないという事に成ると、鑑定の重要性が増しますね」

「その通りです。この場合に限った話ですが、彼は打たれ強さが高いという事に成ります。力比べをすれば負けますが、タンクとしては優秀です。防御力にも影響する可能性もありますが、ほぼHPと思って今のところは問題ないです」


 メモをしているのはDランクの人のようです。

 生存に関わりますから、ステータスは理解した方が良いのです。

 続いて魔力について。


「魔力にはそのままMPに影響しやすいのですが、成長させるだけでしたらMPの枯渇を繰り返せば増えます。魔力も少しだけ増えます。とにかく使っただけ増えていきます。魔法に関しては得意不得意は有りません。好きな魔法を好きなだけ使う人に結果が現れます。エリートな魔導師なども存在しますが、使えば使うほど増えるのに職業は無関係です。子供の時から魔法が好きで扱っていた人ほど高くなりやすいのが魔力です」


 一人が挙手したので指してしまいました。


「俺は魔法を使った事が無いのに魔力が30くらい有るんだ。でも魔法を使おうとしても特に使える気がしねぇ、理由は分かるんですかい?」

「んー、特に気にすることも無いですが、全ての魔法を試してみましたか?」

「四大元素は試した」

「では、手を出してください」


 言われるがままに手を出した男は、近寄ってきた先生に手を握られる。

 そして、おでこに指を挿した。


「おおっ、おう……」


 先生の授業だから我慢するけど、変な声出さないでよ。

 きも―。


「これは珍しい。魔属性です」

「なんだそりゃ……」

「あくまで予想ですが、先祖に魔族か悪魔が関係しているかもしれません」

「戦争孤児だったから、何にも知らねぇ……」

「良いですか、特別ですよ……」


 先生の手が……腕が、男の胸の中に入っていく。


「これが魔属性です。覚えましたか?」

「すげぇ、使える。なんだこの魔法は……」

「純粋な魔素を制御できる魔法です。極めると他人の魔力を吸い取って自分のモノのように扱える吸収系魔法が使えます。凄いですよ、これ」

「吸収系って……」

「相手の生命力を自分の生命力に変換できます。全ての生命に有効ですので、そこら辺に生えている草からも回復できるという事です。魔力制御を極めたら、どんな魔法も使える事に成ります。普通に魔力弾を飛ばすだけでも高威力になりますので覚えて損はありません。ですが残念な事に、この魔法の一番難しいところは、使用者が少ないので独学になるという事です」

「せんせー、禁書になら載ってたよー」

「禁書の情報を軽々しく言ってはいけませんが、魔属性を禁書にするのは悪意を感じますね。貴方がこの魔法を扱い、書物にして広めると良いでしょう。宮廷魔導師から声がかかるかもしれませんね」


 男は孤児から育った事もあって、同じ孤児を助ける為に孤児院を開きたい夢も叶えられそうだと凄く喜んでいて、これから頑張る事を先生に誓っていた。

 また先生に知り合いが増えるんだろうな。


「俺も見て欲しいんだが……」

「駄目です、ここはお嬢様に覚えて貰う為の場所なので魔力が有っても使えない理由を教える為に実践したに過ぎません」


 しょんぼりして座ると、周りから慰められている。

 確かに先生は説明する時ずっと私を見ている。

 うん、覚えます。

 怖いから睨まないでっ……。


「では敏捷についてですが、これは面白い事が分かっています。自分の数値をよーく見てください。お嬢様が見るんですよっ」


 あ、はい。


「実は100以上の人は存在しません。と言うかこの法則について、二足歩行の限界値が100でした。四足歩行や、そもそも飛行が可能な種族はもっと上がります。そして条件を満たすと速くなる生物も存在します。水棲系魔物がその系統です」

「私が物凄いスピードで移動したのは補助魔法よね?」

「そうです。ですので、基本的に普通の人族はあんなスピードで移動できません。それを可能にする為に道具などもあります。そして500を超えると普通の目では見えなくなります」

「実感はなかったけど凄かったのね、私」

「能力値を上げられる補助魔法が使える人がいないと不可能なので、自分で覚えるのが手っ取り早いですね」


 ちなみに簡単に言っている先生だけど、補助魔法系はすごく難しい。

 治癒魔法に並んで希少価値の高い魔法なんだけどなあ。


「では、最後に魅力です。これは意味が解りません」

「えっ?」

「本当に良く分からないのです。容姿だけを示しているワケではないのは確かなのですが、自分の好みとかけ離れていても魅力が高い人が居たりします。可能性としては、魔法の成功率、話術や交渉が巧い、運の良さ、仲間達の能力値の底上げ、特に損は無いのですが、実感は判り難いです」


 そー言えば先生の魅力が凄い数値だったなあ……。

 なんか、不思議な魅力が有るのは認める。


「……低いから悪いという事もないのです」


 しょんぼりした。

 そこからは質問攻めになりそうなところをすべて無視していたが、あまりにも高過ぎる熱意に負けて、一人一回という制限を付けた。

 100人いるんだけど、先生頑張ってね。






※おまけ



「せんせー魔法の効率良い使い方をー

「せんせー良い武具の見極め方をー

「せんせー魔物の倒しかたをー

「せんせー手っ取り早くランクを上げる方法をー


 先生が頭抱えてる……。



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