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第065話 高ランクがいる訳

 目を覚ますと、リンゴジュースが有ったので飲む。

 先生はいない。

 人の声もあんまり聞こえない。

 宿屋……にしては静か過ぎるのよねぇ。

 窓が有るので外を眺めると、少し遠くにあの闘技場が見える。

 街外れっぽい。

 扉が開いて誰かが入って来たのでそっちを見る。


「おはようございます、お嬢様」


 先生を見たら……涙が止まらない。

 もう、終わったんだよね。


「ですが十分な結果は得られました」

「ぐすん、そうなの?」

「鑑定しましたので完璧です。帰れば魔王に成れるかと」


 泣き止むまで待ちますか。

 うふふ。



名前 アイシャ・ブイルダン 性別 女 年齢 11 種族 魔族

職業 魔操師 Lv 38 筋力 22 魔力 97 敏捷 23 魅力 115

HP 201 MP 934

所持 ミスリル製の釣竿

特殊技能 進化の女神と契約 魔力の紋章 鑑定Lv2 父親の記憶 魔王の覚醒




 今の魔王に成りたがる人はいない。

 何しろ苦労する事は目に見えているし、財政も底をついている。

 あのギデオンに……。


「あーっ!!損害請求するの忘れてた……」

「でも、その代わりに良い人達とも出会えましたので」

「そーねぇ……」


 お嬢様は帰宅する事は考えているのでしょうかね?


「じゃあ、お金稼ぎながら帰って……一年くらい掛かるかな?」

「今なら無理をすれば半年くらいですけど」

「そう言えば今のお城ってどうなってるかな」

「手紙を送っておきましたのでシェリィが管理していると思います」

「急いだ方が良い?」

「遅くなるより早い方が良いですが……基礎能力の低さが目立つのでもう少し鍛えたい感じはあります」


 お嬢様の目が遠くなりました。

 あのギデオンと渡り合っただけでも凄い事なんですが、何かに覚醒したような不思議な力の理由は解析できていません。

 もう少し観察しないと。


「じゃあもう少しここに滞在する?」


 この街の環境はとても良く、Sランクが3人も常駐しているし、Aランクなんて20人以上もいる。Bランクなんて100人越えだ。

 そもそもなんでこの街にこんなに冒険者が溜まっているのか。

 考えても分かりません。


「なんかお腹空いたからご飯にしましょ」


 ギルドまで遠かったのが良かったのか、お散歩をする気持ちのようにお嬢様はニコニコしている。

 のんびりと歩いて到着したギルドの食堂では、賑やかな会話の声が聞こえる。


「あんた、向こうの国から来たんだって?」

「ああ、丁度勇者と入れ違いになっちまったよ。なんか凄い決闘が有ったんだろ?」

「凄かったぞ。最後はギデオンが勝ったが、普通に見られる試合ではなかったのは確かだな」


 ふふん。

 お嬢様の鼻が高いです。

 専用のテープに座るとギルドでは無料のご飯が食べれます。

 そして、誰にも邪魔されません。

 何も言わなくてもお嬢様の食べたいものが出てくるのは少し問題ですね。

 まぁ、その分鍛えますけど。

 そんな特別な席ですので、座れば注目されます。


「おい、あの子だよ」

「へーっ……可愛いな」

「あんな子供がギデオンを拳で吹き飛ばせるんだぜ」

「それでCランクなのか」

「特別にAランクの依頼も受けられる許可が付けられたってよ」


 可愛いに反応しています。


「やっと起きたみたいで、安心したよ」


 勝手に同じテーブルに座っても平気なのはSランクぐらいです。

 英雄でもないのに英雄に近い扱いを受けているのも、Sランクと普通に会話出来るのも、周りからすれば羨望の的のようです。

 ……そう言えば。


「来たついでに訊きたい事が有ります」

「先生が、私に?」

「長い間城勤務だったので情勢に詳しくないのは話したと思いますが、今のこの街に高ランクの冒険者が多いのは何でです?」

「あー、それね。半分くらいはギデオンの所為かな」


 何も言わなくても詳しく説明してくれた。

 ラッセル王国の冒険者ギルドは以前からもギデオンが魔王討伐の旅に出てから稼ぎ場になっていた。周辺諸国はギデオンを怒らせて滅亡しているし、残った国もラッセルと休戦状態で、いつ再開されるか不明な時だった。それだけに冒険者ギルドと商業ギルドには毎日依頼に溢れていて、退治、討伐、護衛、輸送、探索。小さな村などは魔物や盗賊の襲撃に怯える日々で、人手不足が目立っていた。


「ところがね、ギデオンが大物の魔物の殆どを退治した後だったから、Bランク以下の仕事ばかりになったのよ。それじゃあ冒険者として上を目指せないでしょ」

「それでランクが上がると一番近くて安定しているこの街に集まったと」

「そうそう」

「じゃあ、あっちの国はCランクが殆どって事ですか」

「野盗とゲリラ部隊の間を抜けてさらに向こうに行けば他の国や町が有るけど、今度は魔獣が多くなって辛いし、こっちの方が安定しているのよね。前みたいなグリフォンの群れが現れるような事も有るみたいだけど、私を含めてSランクが滞在しているのも多く集まる理由だと自負しているわ」


 マリア先生は何かを思案しながら食べている。


「いくら食べても太らないって良いですね……」

「魔力変換できてるの?」

「えぇ、身体も馴染んてきましたし、味も懐かしいです」

「私の話聞いてましたかっ」

「ラッセル王国は間も無く崩壊するでしょうね」モグモグ

「やっぱり、そう思うよね」モグモグ

「じゃあ、もしもの時はこの手紙をギデオンに渡してください」

「なにこ……れっ?!」


 開けようとしたら痺れたんだけど。


「リッカーでは開けないようにしてあります」

「ううっ、ごめんなさい」

「駄目ですよ、Sランクと言えども、守るべきルールは守りましょう」

「はーい」

「でも、ギデオンしか開けられないようにしたのは本当です。魔力構成は確認したので多分、大丈夫でしょう」


 そんな難しい技術をサラッと披露されてしまう。

 やっぱりマリア先生は凄いし、私なんかよりもずっと強い。

 ステータスの数値は何だったのかと思うくらいに。


「ステータスに囚われて死んだのは何人も見てきましたね。特に転移者や転生者に多いのが悲しいです。聖女くらいぶっ壊れな能力値なら話は別だとは思いますが、生存能力を上げるにはお嬢様にも勉強は必要ですね」

「えーっ……」

「先生が講義してくれるんなら行きます!」


 そんなに曇りの無い瞳で私を見詰めないでください。


「明日の午後にここの地下でやりますので聞きたい人は来ると良いですよ」


 そう言ってしまった事をマリアは翌日に後悔する事となった。







※追加情報



■:ラッセル王国


ギデオンを召喚した国王の治める国

戦争で負けそうになった時に勇者召喚を頼って現れたのが山本修一(ギデオン)

周辺諸国は崩壊しているが、残党のゲリラ戦に苦渋をぺろぺろしている

4人の娘のうち二人はギデオンと結婚を予定している


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