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第051話 町の建設

 陽も落ちて夕方。

 山のように積まれた魚。

 そして今、みんなでその魚を焼いて食べている。

 子供も大人も大喜びで、さっきの戦いを見た後なのに子供達とも仲良くしている。

 あんた、共食いじゃないの?

 それに、そんなに魚を獲ったら絶滅するんじゃないの。


「湖底が別の湖と繋がってるし、普段から食べてるんだけど」

「焼き魚が好きでしたね」

「うん!」

「……」


 コイツはいつの間にか私の先生とべたべた仲良くしている。

 昔の生徒らしいけど、満足して勝手にどこかに行ったらしい。

 正確に言うと、訓練がきつくて逃げたんだってさ。

 ふーん。


「まあ、子供に見えますけど500歳は越えてましたよね」

「えっ…それであの程度なの?」


 睨み合わないでください。


「お嬢様はまだ10歳ですし、流石に勝てる相手ではないですけど……」

「俺も一人なら逃げる相手だぞ……」

「へへーん」


 ドヤ顔すんなし。

 私の先生だし。


「あの、二人して私の腕を掴むの止めて貰えませんか」


「「ヤダ」」


 オガサンに笑われてます。

 暗くなって少し寒くなってきたというのに、野営の準備が。


「そのくらいは我々がやりますんで、休んでていいですよ」

「屋根と寝るところが有ればしばらくは何とかなるし、その子が魚を毎日くれるって約束してくれたから」

「先生も住むんだよね?」

「住みませんよ。暫くは滞在しますけど」

「えー……」


 お嬢様の睨みが凄いですけど、全く効果がありません。

 あら…。


「ピタンは水精霊の加護を持ってるんですね」

「強くなったらくれるって約束してたから」

「あー、それで……確かにあの時よりも強くはなってますね」

「でしょー」

「それならこの人達を守って貰えませんか」

「それ、いーじゃない」


 お嬢様は少し黙っててほしいです。


「……近くに兎獣人が棲んでますよね?」

「え、何で知ってるの?」

「この町の人達と取引してたみたいなんです」

「あー、それで変わった物を持ってたのね。排他的なくせ、意外なモノを持ってたから不思議だったのよ」

「意外なモノ?」

「結構な効力のある魔除けの鈴だったわね」


 魔除けの鈴を作るのはかなりの手間で、先生でも材料を集められないらしい。

 その上、効力が高いとなれば、何かしら純度の高い物質を使っているとの事だったが、その物質の事を先生は知らないという。


「魔除けの鈴の簡易版なら作れますけど、それよりも今はピタンにこの村の事を任せられるのは安心材料の一つです」


 先生ってコイツの事そんなに信用してるの……。


「水が有るところなら低級ドラゴンに勝てるくらいの技術は持っているはずですし」


 ドヤ顔すんな。

 ぺっぺっ。


「私にかかるんですけど……」

「しゅーん」


 今、口で言いましたよね。

 しゅーんって、言いましたよね。

 誰に似たんですかね……。


「お嬢様はまだ成長過程ですから」

「おじょーさまって、先生にそんな風に言わせるあんたは何者なのよ?」

「魔王様の一人娘ですよ」


 元々から肌が少し青いから分かり難いけど、ピタンの顔色が真っ青になった。

 涙と鼻水が溢れるように出る。


「こ゛め゛ん゛な゛さ゛い゛゛い゛い゛い゛!!」


 土下座してる。

 なんだかなあ……。

 先生が説明してくれて助かる。

 ちなみに、この子が知っている魔王は私のお父様じゃない。

 だって、私のお父様ならそんなに怯える筈ないもん。

 それからピタンと私は心の友になった。

 ってか、された……。

 



 その日の夜、先生は家を袋から出さず、みんなと一緒に寝る事にした。

 私達だけ安心して寝るのを見せるのは信用を失うからって言われたけど、ピタンは湖に潜って行ったから、夜の先生は独り占めしておく。

 ぐっすり眠った私が目を覚ました時、何故か見覚えのある屋根のベッドで寝ていた。これは先生の袋の中に入っている家だ。取り出したのかな?

 眠い目をこすってベッドから降りると、光が射しこむ窓の外を見るて……。


「なんで町が出来てるの……」


 目をこすってもう一度見る。

 良く見ると、ちゃんとした家が並んでいるのは手前の数軒だけ。

 いや、それでもおかしい……。


「やっぱ疲れてたのかな、凄く良く寝た気がするわ」


 何故か大量の木材がずらーっと並べられていて、その横でオガサンとピタンが魔法で木を削っている。まるで競争しているかのように綺麗な板材が量産されていて、大人達が完成した板材を積み上げ、子供達が応援している。

 何やってんの、あいつら。

 で、先生はココからじゃ見えない。

 先生を捜そうと、家を出ようとしたら目の前に居た。


「おはようございます」

「おはよー」


 とんかん、とんかん。

 凄い音が鼓膜を叩いた。

 その方向を見ると、全く同じ形をした家が何軒も建築されようとしている。

 早すぎない?

 先生の説明だと、ペンションの設計図が有るので、その通りにやれば誰でも建築できるとの事。

 なにこれ、設計図の文字読めないんだけど……。

 古代文字かなあ……?


「木材になる木は昨日手に入れてますので、加工するだけなんですよ。組み立ては問題ありませんので」


 それであの二人が次々と作っているワケで、特に正確性を要する細かい作業なのだが、水魔法を上手に操って綺麗に切り刻んでいる。

 魔力操作の練習に最適らしいけど……。


「二人とも基礎は完璧ですからね」


 私を見てにっこり微笑んでいる時は、黙って微笑み返す。

 じゃないと、私もやらされそう。

 と、思ったけど。


「お嬢様にも手伝って貰いたいのでこちらに」


 かまどが幾つも有って、女性が集まって料理を作っている。

 その中で火魔法が使える人が少ないらしく、私がやる事に。

 めんどくさいって言えない。

 だって、私も食べるんだもん……。




 この日に行った作業と生活は10日間続き、最後に周辺の木に持ってきた魔除け鈴をぶら下げて終わった。長いようで、とっても長い10日間だったと思う。

 疲れたし。

 その間に宿屋を増築した集会場や、入浴施設まで作っている。

 畑と牧場は少し広すぎると思うの。

 植えるモノが殆ど無いので、それを解決する為にオガサンは一人で自分の家に帰って行った。私達はもう少し居残り。


「ピタンに水神としてこの町を守ってもらいたかったのですけど、そこまでの成長はまだ無理ですので、職業を変えて様子を見ておきたいのです」


 と言うワケでもう3日間、ココで生活する事になったけど、子供達と無邪気に遊ぶのに慣れてしまった所為で、別れるのが辛くなってきた。


「トレントみたいに植物を成長させる魔法がマトモに使えれば、もう少し楽にしてあげられたのですけど……」


 植物の生長を促す魔法ってのが有るらしいけど、先生でもかなり難しくて、発芽させるのが精一杯だって。

 その事を知った時のオガサンとピタンが、口を揃えて言っていた。


「いや、普通はそんな魔法使えないから」


 精霊に関する系統の魔法で、普通の人間には使えない。

 魔族にはもっと無理で、スケルトンでは不可能な魔法だ。

 魔女だった事が有ると言っていたけど、先生なら精霊に変身しそう。


「そこまで非常識ではないのですが……」


 自分が非常識な存在である事を自覚している発言である。

 なんで先生は勇者に勝てないんだろう?


「あんな理不尽な人に真正面から戦って勝てる方が非常識なんですよ」


 その日の夜は、非常識について深く考えて寝れなくなってしまうアイシャだった。






※おまけ



アイシャ「子供達と水掛して遊んで水魔法もついでに練習なの?

マリア 「遊びながら修行して強くなっちゃうキャンペーンです

ピタン 「あの子、水レーザー放ったんだけど……

マリア 「未来の候補ゲットしました

アイシャ「なんの候補よ……

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