第028話 成長は誰の為に
せっかくの連休なので今夜(2026/01/12/0時)も2話更新予定…
二人を連れて歩く旅はとても順調だった。
先生が選んだルートは人通りが殆ど無く、森の中だから、代わりにモンスターが良く現れる。先生曰く、丁度良い相手らしい。
「スライムがいっぱい居るので火の魔法の練習に良いですね」
「MPがいつまで持つかなー……ふれいむぅっ!」
木にぶら下がるスライムを木ごと焼いてしまいました。
二人が怯えています。
「あんまり近寄らないでね、服が焦げちゃうから」
「は。はいっ」
二人にはちゃんと私達の服を渡して着替えさせてある。
尻尾が有るので穴を開ける事になってしまわないようにスカートだけど、パンちらすると困るので長めのスカートだ。
武器はそこら辺で拾った木の棒を先生が加工して武器っぽくしている。
もちろん二人とも非力なので戦闘能力は皆無だ。
ただ、小さい方の子は回復魔法が使える。
と、先生の鑑定で解った事だった。
「んーっ、んーっ……」
魔法を使おうとしているようだけど、全くなっていません。
これは教育のしがいがありますね!!
「せ、先生……?」
「スライムくらいなら倒せますよね、ちょっと教育してきます」
「え、えぇ……」
ぴょんぴょんと跳ねてくるスライムを焼き尽くすと、私の身体を緑色の光が覆った。
「なんか、疲れが取れていくわ……」
「この子の回復能力高いですね、MPが回復するなんてレアですよ」
「じゃー、アレやってみるわ」
「アレですね、遠慮しないで思いっきりやっちゃってください」
お嬢様の身体から魔力が溢れてきます。
アレが魔王の特技……。
「エムブレムフレアー!!」
爆発に近い炎が複数の魔物を包み込む……。
森も焼けました。
「すっごーい……」
「まだ魔力が足りてませんが、凄い威力ですね」
「ひぃぃぃ……疲れたよぉ……」
「おj……アイシャ、コントロールをしっかりしましょうね爆発範囲がちゃんと絞れていませんよ」
「うー……」
焼け落ちた森の所為で魔物の気配が消えていきます……。
もう少し戦いたかったんですけど、流石の威力ですね。
えーっと、アレです、野球場くらいの広さが燃え尽きました。
「先生?」
「あ、いえいえ。何でもありません」
良い感じに広場も出来ました。
広すぎますが……。
ここをキャンプ地としましょう。
あの魔法の残滓の所為で結界代わりになっています。
人も来なければ魔物も寄ってこないでしょう。
「じゃあ、休みますか」
先生の袋から家が出てくるのは何回見ても気持ち悪い。
ほら、二人も……感動してる。
なんでー?!
「ベッドが足りないけど、どうするの?」
「アイシャは私と、二人は良いですよね?」
「ベッドで寝れるのが久しぶりなので……」
二人でも少し狭く感じる家なので、四人だととても狭い。
でも……。
なんか楽しい。
お風呂はないけど、今日はぐっすり寝れそう……。
「おやすみー」
ふぇー……。
私、寝る必要がないんですけどね。
んー……。
抱き付かれたので動けませn……。
ちょっと、筋力上がってませんか……。
うぐぅ。
それからの旅は順調そのもので、道中の小さな村にも立ち寄らず、一直線に目的地を目指した。
たまにすれ違う旅人や冒険者、商隊などを見ると二人が怯えるけど、何処をどう見ても奴隷には見えない。
先生の指導のおかげもあって、回復魔法が自由に使えるようになった。
「ミィの才能は凄いですね。逸材ってどこに落ちているのか分からないモノです」
ティルの方は奴隷のままで、才能は見当たらない。
まあ、無理矢理変える必要がありそうですね。
「さてと……」
先生の話ではなく、ティルの説明では入国に問題は無いが、出国には税金を納める必要がある。入国が自由なのは、来るもの拒まずという教えによるものらしいが、それなら去る者は追い詰める事になる。
「お二人とは楽しい旅をさせていただきましたが、ここからは別行動。そして、秘密を共有していただきますね……」
先生の目が怪しく光る。
人差し指をティルのおでこに押し当てる。
「大丈夫、受け入れて」
「んっ……」
「貴女もです」
今度はミィのおでこに。
「にゃっ……」
これで二人の職業が <聖職者> になった。
「成長と能力に年齢は関係ありません。短くは有りましたが貴女達には魔法の使い方の最低限は教えたつもりです。この先生きて行くには十分な能力ですが、それだけに奴隷になる前よりも危険な事が有るかもしれません」
二人は怯えたが、生きて行くに必要な能力を教えてくれた先生の言葉は重い。
それが永遠の別れでは無いのに、二度と会えない気がしてしまう。
「どこの教会へ行っても受け入れてもらえるでしょう。頑張りなさい」
「……はい!」
いい返事ね。
先生の教えは理解するまで根気よく待ってくれるのが本当にいい。
出来なくても怒りはしない。
でも、出来るまでずーーーっと待っている。
先生は餞別と言って古代金貨を……渡そうとして止めた。
流石に危険すぎる。
改めて服装を見ても問題はないし、木剣は先生がそれらしく杖に変えた。
旅で訪れた姉妹に見える。
私達も見えるよね?
ね?
二人が並んでこちら……というより、先生を見詰めている。
丁寧にお辞儀をした。
「本当にありがとうございました。このご恩は一生忘れません」
「ふふっ……すぐに忘れる事をおススメします」
先生の危険度を知っている二人は満面の笑みで応じた。
それが優しさからくる言葉だと理解したからだ。
※あとがき
ティル 「本当に回復魔法が……
ミィ 「私は治癒魔法を……
マリア 「攻撃魔法ではないので魔力制御次第でMPを抑えられます
アイシャ「いいなー、私も覚えたーい
マリア 「アイシャだと覚えるのに半年ぐらいかかりますけどやりますか?
アイシャ「……やめとくわ




