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第024話 初仕事



名前 アイシャ・ブイルダン 性別 女 年齢10 種族 魔族

職業 魔操師 Lv 17 ギルドランク F 登録地 ボールド

記録 なし



 これが私のギルドカードに登録された情報で、ステータスの細かい部分はない。

 特に特殊技能はギルドカードに記録が出来ないらしく、有っても無くても困らない。

 記録というのが、ギルドカードに登録されて以降にギルドが記録するモノだ。

 例えば、勇者ならココに認定した国王の名前が記録される。

 先生が仲間のカードも確認しておくべき。と言って見せてくれた。

 


名前 マリア・薄田 性別 女 年齢 不明 種族 普人

職業 教育係 Lv 128 ギルドランク +SS 登録地 ヒーデルハス

記録 サンタヘルの英雄 宮廷魔術指導員 -以下省略-



 先生のギルドカードの、サンタヘルの英雄って何かしら……。

 宮廷魔術指導員って、昔から先生やってたのね。


「まぁ、このギルドカードを提出するのはギルドの有る街くらいですけど」

「門番に提出すれば入国費が軽減されますので、ある方が便利です。ギルド系列の店では割引も出来ますよ」

「魔族なのは問題にならないの?」

「種族は特に気にする人は居ませんね。何しろ天使の子孫ですと、天使って表記されます。見た目は全然天使じゃない人でも」

「どっちの方か忘れましたけど、獣人族の血も流れてる筈ですよ」

「えっ、そうなの?!」

「はい、確か猫獣人だったような……」

「へーっ……」

「そうでした、この英雄って消せませんか?」

「すみませんが記録が古過ぎて、以下省略の中身も分からない状態なのです」

「サンタヘルって?」


 天使と悪魔が協力して造った町で、原因不明の病魔が襲ったのを特効薬を作って町を救った。二つの種族の中継地点としてかなり長い期間使われていたのだが、人によって滅ぼされた。

 って、いつの話よっ?!


「さぁ、まだ普人と呼ばれていた頃でしたし」

「魔王に勝ってたらどうなってたのかしら……」

「多分ですけど、これから味わう予定となる人がいるので、それで分かるかと」

「ギデオンですか……彼はまだ国には帰っていないようです。どこかで寄り道でもしてるんですかね」

「そんな事が分かるの?」

「各ギルドでギデオンの所在地を通告するようになっていますので。今は二人で行動しているようですけど」

「四人でしたよね?」

「そのうちの一人、ハニエルでしたら聖地アルファディルで聖女に成る準備をしています。数ヶ月後には大聖堂で降臨祭を行うと、教会関係者が聞きたくもないのにペラペラしゃべっていますよ」


 お嬢様が無言になった。

 そうですか。


「準備ね……。なら今から行けば間に合うんじゃない?」

「馬車で行けば2ヶ月ぐらいで済みますね」

「あいつの仲間なら一発ぐらい殴らないと」


 気持ち良い怒りに満ちていますね。


「勇者の行動も予想以上に鈍いですし、寄り道しても良いでしょう」

「路銀は有るんですか?」


 お嬢様が恥ずかしそうに笑ってくれました。

 てへぺろってしておきます。


「殆ど先生の所為なんですけど」


 こ、怖いっ。


「あ、アイシャ……ね?」

「ぐぬぬ・・・。」


 この顔は便利ですね。

 勝ちました。

 ぶい。


「路銀にするには良い仕事が有りますよ。面倒な内容ですけど、Fランクでも受けられて、成功報酬は多いほど高くなります」

「なにそれ?」

「これです」


 依頼書をぺらっと見せてくれたので確認する。

 

 「ボスクラムの真珠を有るだけ

     査定次第で高額も可能」


「あー、あのでっかい二枚貝ね」

「これ、お嬢様向きじゃないですか」

「お父様に叩き込まれたから、よゆーよゆー」

「でも、なんでこれがFランクなんです?」

「たまに丘に打ち上げられてて、子供でも出来る事が有るからです」

「確かに……」

「キノコ採取の依頼も有りますが、コチラは森に入るので危険度が高いのです」

「歩く毒キノコは厄介ですもんね」


 先生の言っている意味が良く分からないけど、キノコって移動するのかな?

 うーん。

 ともかく、ボスクラムの依頼を受けで翌日は海へ。

 船なんていらない、引き潮の時の海岸に行けば……ほら、居た。


「コイツ逃げ遅れて引っかかってるわ」

「ラッキーでしたね」

「口を開けるのが面倒なんだけど」

「はい、あーん」


 先生がそう言うと、パカッと開いた。

 何で…?


「この貝は独自の言語が有るので、お願いすれば貰えますよ」


 貰えるって?

 アーンって言ったらこっちからあげるもんじゃないかな……。

 先生が貝の中に手を入れて真珠を取り出した。

 白くて綺麗な親指の先っぽぐらいのテカテカした玉が出てきた。

 集めてお母様にプレゼントしようと思った事が有るけど、ネックレスになるほど集められなかったんだよなあ……。


「この依頼、先生の方が適任じゃない?」

「いえぃぇ、これでは数が足りませんので釣り上げないと……」


「じゃー、これの出番ね」


 お嬢様の持っているのはミスリル製のロッド。

 釣竿です。


「先生」

「はい?」

「一応確認するけど、知り合いじゃないよね?」


 二枚貝を両手で持ち上げてこちらに見せてくるのですが……。

 流石にそんな知り合いはいません……。

 でも魔物なら知り合いが……。


「じゃあ、逃がすね」


 海に帰してあげている姿はなんか良いですね。

 母親の気分です。

 では糸を作りますか。


「それ、何やってるの?」

「髪の毛を伸ばして糸を作ってます。針も魔力で硬くしておけば十分な強度ですし」


 くるくると丸めて・・・こんなもんですかね。

 餌は、どうしましょうか。

 釣りの知識はお嬢様に勝てませんのでお任せです。


「これを、こーして、こーやって、はい!」


 この虫、どこで捕まえたんですか?

 あぁ、その石の下にうじゃうじゃと……ちょっと見たくないですね。


「あとはココに重りを付けてー、てぇぇぇぇっ!」


 おー、餌が飛んで行きました。

 浮きは無くても良いんですかね?

 ……杞憂でした。

 投げると直ぐにボスクラムが吊り上がります。

 そんなに簡単に釣れるんですか?

 周囲を見渡すと、他にも釣りをしている人は居るようですが、釣れているのはお嬢様だけ。

 これが才能の差ですか。

 暇ですが、楽しそうにしているお嬢様を眺めるのは心が安らぎます。


「あれ、チョウチンアンコウダイが釣れたわ」

「凄い不細工な顔してますね」

「港町じゃ当たり前かもしれないけど、この魚は煮るだけで味も出て、凄く美味しくなるのよ。確か、お父様は高級魚って言ってたわ」


 へーっ……。

 ボスクラムは釣れなくなりましたが今度は魚が釣れています。

 見ても何の魚なのかは分かりませんが、楽しそうに説明してくれます。

 情報量が凄い。


「でねー、これがー、ヒレに栄養が詰まってて―」

「あの、おj・・・アイシャ」

「ん?」


 周りに子供だけじゃなく大人も集まってきました。

 一人だけ凄く釣り過ぎて、他の釣り人も暇で見に来たようです。


「お嬢ちゃん凄いなー」

「すごーい」


 親子っぽい男女の二人組が近寄ってきて、お嬢様と何か話をしています。

 釣り上げた魚が無造作に樽の中に入っていて、その樽を覗き込んでいます。

 おや、握手をしました。

 何か取引でもしたんですかね?


「じゃあ、後で頼むよ」

「はーい」


 私はボスクラムから真珠を取り出す作業をしていました。

 30個ほどあるので、十分ですね。

 これで路銀は困りません。


「先生さ、この魚を全部袋に入れといてくれないかな」


 どうやら先ほどの親子は魚屋で、加工してくれるそうです。

 鑑定したところ悪い感じはありませんので大丈夫ですね。

 ……魚は鑑定してませんよ。


「晩御飯も期待して良いわよ」








@あとがき


アイシャ「この真珠って魔力も有るし、綺麗だし、宝石みたいよね

マリア 「まぁ、ただのウンチの固まったモノですけど

アイシャ「……何でも知ってるのって良くないよね

マリア 「お嬢様、知ってますね?

アイシャ「そりゃ……ね……

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