第020話 旅立ちと出発
2026/1/1 あけましておめでとうございます
本年も、なにとぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m
「で、なんで先生が?」
「マリア先生は、長い年月の所為で正しい姿を忘れてしまったから、術者による影響が大きく出るのです」
「姿は似てるけど、声が先生のままなのも?」
「そうなります」
「それじゃあ、あなたに受肉させたらちゃんと若い時の姿になるの?」
「はい。でも生き返った訳ではないので術者次第で直ぐ身体が崩れます」
「今回はコアも有りますし、維持する為の魔力も問題ないので、お嬢様が直接呪いを解くか、死亡しない限りこの姿です」
お母様と同じ姿なのは少しやり難い気がするけど、仕方が無いと諦める事にする。
自分の所為でもあるのなら尚更だ。
ただ、お母様と旅を出来るのはちょっと嬉しいかも。
スッと骨ばーちゃんが寄ってきて耳打ちをする。
「先生はたまーにですけど、ホントにたまにですけど、凄く恐ろしいほど、弩スケベになるのでご注意ください」
「………分かったわ。」
お父様の記憶にも有るけど、骨なので気にはならなかったが、この姿なら……。
「お母様の姿で変なコトしたら怒るからね」
「えー……」
骨ばーちゃんが笑っているので害はなさそうだ。
でも注意はしておこう。
「それにしても、なんであなたが知っているんですか?」
「過去の魔王に叩き込まれた事をお話になったじゃないですか」
「与太話だったのですけど」
ヨタ……さんって誰?
「先生、人の姿になられたのでしたら墓地を造って頂けませんか?」
「ふむ……この姿なら余裕ですね、魔力もモリモリ戻ってきますし」
先生の身体から魔力が漏れるように強く昇ってくる。
トレイン達と何もない広場に向かうと、先生が呪文を唱えた。
「大地静穏硬化」
一瞬で整地された綺麗な土地が出来た。
墓標もサービスで作ったしたらしい。
先生、凄すぎ。
「ありがとうございます、これでみんなもゆっくり休めるでしょう」
「そういえば、あなた達種族も墓を建てる習慣がありましたね」
「土に還る事で、精霊様に魂を届けて貰うという言い伝えですけどね」
この墓地には、魔族だけではない。
巻き込まれて死んだ人族や獣人族の死体も埋められる。
よく考えればとんでもない話だ。
「あの化け物は無差別に殺し過ぎたわ」
「同じ種族なのに敵とみなしていましたからね」
骨ばーちゃんはそれを目撃している唯一の証人である。
「次の町へ行く前に墓参りしていきましょう」
「そうですね、やっぱりそこはお嬢様です」
お嬢様が不思議な表情をしています。
どうしたのでしょう?
「お母様の姿でそう言われるの違和感あるし、次の町からは名前で呼んで欲しいわ」
なるほど?
「親子に見られるのも身分を隠すにはアリと思いますけど」
「お母様の姿だけど、ちょっと若過ぎて姉妹にみられるんじゃないかしら」
なるほど?
あぁ、そう言われれば人の寿命は短いんでしたね。
人だった事なんて既に忘れていました……。
ウッカリ、ウッカリ。
「先生は驚くほどの知識を持ってはいるが、常識は意外と忘れているからなあ」
「トレインに心配されるとはね」
「でも、先生、たまーに、やらかすから……」
なにそれ、知りたい!!
「アイシャ、その期待の眼差しは止めなさい」
「は、はいっ!!」
勝ちました。
「アッ、先生ずるーい!」
「えへっ」
先生は人の姿になってからぶりっ子をする。
骨ばーちゃんの心配が当たりそう。
「埋葬が終わりました」
そう伝えてきたのは骨ばーちゃんの操る骨だった。
骨が骨を埋めている光景も見慣れたものだ。
一つ一つお祈りをしたいところだけど、よくよく考えてみたら何に対して祈るのだろう?
死者の魂が何処へ行くのか、お父様とお母様と同じところへ……。
死者と生者の明確な違いが分からなくなるような魔法を目の前で何度も見ているから、天国とか地獄とか、本当に存在していてソコへ行く手段もありそうな気がする。
神様を3回殴ったという人が傍にいるから、何の不思議も感じない。
「どうしました?」
「人には人の弔い方が有るって気が付いたの」
「魔族ですけどね」
「そうよ、私は魔族。ここに埋まっている遺体の3割は人。私達の所為で死んでしまったのよ……」
先生が静かに俯く。
目を閉じて。
私は先生に倣った。
隣の骨ばーちゃんが恍惚とした表情でキラキラしているのは何故だろう?
骨なんだけどなぁ……。
「このくらいにして、そろそろ出発しますか?」
先生に頷いて見せると、トレイン、レノア、シェリィ、ホゥディの四人が私達を見送ってくれた。まだここは魔王国領。魔獣が襲ってくるなんてことは滅多に無い。
父親の記憶によると、負けてしまった事で一部反感を持つ者がどうするか分からない所もある。
しかし、そんな事を気にしている時じゃないし、だからと言って魔王に成りたがる者もいない。
考えながら歩いていると、後ろから声が聞こえる。
「また遊びに来てねー!」
ホゥディが一所懸命に背伸びをして手を振っているので、応じて、再び背を向ける。
距離が広がり、姿が見えなくなれば、先生との二人旅が始まった……。
※あとがき
ホゥディ「おねーちゃん達が帰ってくるまでに街を直さなきゃ」
シェリィ「頑張らないとねぇ」
ホゥディ「うん、ぼく頑張る!!」
レノア 「あの子供、強いわね」
トレイン「ああ、あの墓が出来た後から凄い変わった気がする……」
以下次章(ネタバレ
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