表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/31

第011話 生存者

 掃除をして綺麗になった部屋で、壊れていない唯一のかまどに火を入れる。それだけで生活の温もりが感じられた。

 スープを作り、熱すぎず冷めすぎず、炭火を上手に調整して子供の目覚めを待った。

 そして、名も知らぬ家主に借りる事を告げ、ベッドで寝ようとした時に声が漏れた。


「起きた?」

「そのようです」


 目を擦りながら、辺りを見回す子供。

 部屋はかまどの火しかなく、とても暗い。


「おねぇちゃん?」


 返事を待たず、立ち上がって、よろよろと歩く。少なくとも半年ほどは寝ていたので、アイシャを自分の姉と勘違いしているのだろう。

 涙を流すと、抱き付いた。


「ママが、ママが、あっちで、痛そうにしてて……」

「もう安心して良いわよ」

「うん、おねえちゃん、お姉ちゃん……?」

「どうしたの?」


 感覚の違いに気が付くと、顔を上げて、目を大きく開く。


「……お姉ちゃん、誰?」


 身体が震えるのを強く抱きしめて止める。


「やーだ、はなして!」


 暴れる子供に負けずに抑え込む。

 ここで離してしまったら何処へ行くか分からないからだ。


「はなして!」


 暴れる子供の力とは何故ここまで強いのか。

 顎に3回ほどパンチを喰らって、手を離してしまった。


「あぅっ……」


 ペタンと座り込んで悲しい顔をするので私も少しお手伝い。

 まあ、出入り口の扉を塞ぐだけですけど。


「怖くないから、ね?」


 あの優しい笑顔は、まるで母親のようです。

 なんというか……魔王様の趣味なんですかね?

 ワカリマセン。


「ママー!おねーちゃーーん!うゎーーーーん!!」


 もう一度抱きしめると、今度は大人しくなった。 

 諦めたのか、受け入れたのか、泣き止むまでわからない。

 泣いて、泣いて、鼓膜が破れるんじゃないかと思ったが、耐え抜くと、今度は抱き付いてきた。

 男の子とはいえ、まだ甘えたい年頃だろう。


「よしよし、いい子ねー」


 頭を撫でると更に強く抱き付く。

 何かに怯えるように、身体を震わせている。


「お話しできる?」


 鼻水がたっぷりお嬢様の服に付いているが怒らない。

 ハンカチを取り出して、丁寧に拭きとってから椅子に座らせる。

 自分の方もささッと綺麗にした。

 清浄魔法が上手くなりましたね。


「……」

「どうしたの?」

「……」


 ふわっと良い匂いがする。

 それは先生が火の番をしているスープの入った鍋から漂ってくる。

 お腹のすっごい大きな音が部屋に響いた。


「いいよ、お腹が空いてるなら遠慮しなくても」

「……」


 具の少ないスープを渡すと、頬を赤くしながらもガブガブと食べるのは、身体が生きる事を求めているからだ。心だって温めてくれる。

 男の子は泣いたまま食べ、元気が出ると涙を零す。

 お代わりもきっちり要求してきたので、もう大丈夫だろう。

 空腹が満たされると、涙を拭いて頷いたが、涙は止まらない。

 

「あ、ありがとう……」

「どういたしまして」


 辛い思い出が有るのは分かる。

 こんな所で一人にされているのだから。

 男の子はしばらく無言で、ほとんど動いていない先生を見詰めている。

 鼻水を盛大にすすって、ごっくん。

 うえぇぇ……。

 ともかく落ち着いたようです。


「骨ばーちゃんじゃないよね?」

「骨ばーちゃん?」

「この町でスケルトンをたくさん操ってるばーちゃんなんだけど、ばーちゃん生きてるのか死んでるのか分からないくらいガリガリでね、みんなから骨ばーちゃんって呼ばれてるんだ」

「では、この町にはスケルトンが沢山いるのですね?」


 骨が喋っても驚かないところを見ると、慣れているのだろう。


「うん。僕とおねーちゃんもスケルトン達に守ってもらって家に逃げたんだけど、そのあとにママがやって来て、ここにずっと居なさいって。だからおねーちゃんと待ってたんだけど、今度はパパが来て僕とおねーちゃんに良く眠れる魔法をかけてくれたんだ」

「じゃあ、外の事は知らないのね?」

「町中で勇者が来たって叫んでて、人間の勇者が家を壊しながら進んでくるのは見てたよ……」


 魔族は人間から恐れられているのはお父様の知識だが、魔族も人間を恐れている。

 例えそれが子供でも。


「僕、おねーちゃん探してくる!」

「ダメです」


 そう言って扉から出ようとする子供を先生が止めた。

 もちろん止まらなかったが、壊れた扉が固定されているかのように動かない。


「理由は知りませんが人間が沢山やってきます……」





※あとがき


具が少ないスープなのは嫌がらせじゃなくて

胃に流しやすくするための先生の気遣い


男の子


名前はホゥディ(マリア先生は鑑定しているので名前が分かる

魔族の子供

この町で唯一の生存者で6歳

特殊技能 攻撃するとダメージが3倍になる

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ