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どうしたらいいのか

「疲れたわね・・・・・・お昼寝でもしたい気分だわ。ああ、だけどここではおやつの時間ね、そろそろメイドがおやつを運んでくるでしょう。仕方ないわね、しばらく座って飾り人形になりましょうか。」

予想どおりメイドが2時55分におやつを運んできて3時ぴったりにはお茶もつがれ、運ばれてきたミルフィーユを食べはじめた。

「いかがでしょうか、王女様。」

大臣達がご機嫌をとるために用意し、ご機嫌をとるためにあたしの部屋へ来る。

「少し甘すぎるのではないかしら?あたしに糖分はそんなにいらないから、平民達にでも与えておやり。」

上に立つものゆえの上目からの目線。

大臣達はイライラするだろうけど、あたしがただのバカではないところを見せるチャンスだ。

それになめられないためにはどうしてもきっぱりものをいわなければならない。

「は・・・・・・え・・・・・・今、平民と?」

「それが何か?この国を収める者がこの国を心配してはおかしいと言う気?それに大臣殿、あなた、ずいぶんと最近着飾るようになって、そんなお金、どこから入るのかしら?そんなに大量のお金が入っているなど聞いてないわよ?あなたの収める税もそんなに高くはないでしょう?これからはもっとたっぷりと税を収めていただこうかしら?」

「はは・・・・・・ご冗談を、王女様。」

「冗談?冗談はあなたの顔だけにしてほしいわね。この王女様あたしを差し置いて自分ばかりいいかっこうすることが、何の冗談なのかしら?」

フォークを持った手で頬杖をつきながら大臣を見下ろすとさっきまで愛想笑いしていた大臣が小さく舌打ちをした。

それからすぐに顔を上げて微笑んだ。

「いやあ、実はこれ、掛け金でして、博打で大勝利を収めたものでして。さすが王女様、目ざといですなぁ。」

何を見え透いた大嘘・・・・・・。

「博打?博打は法律で禁止されていなかったかしら?この国の法律は前々国王であったお爺さまが作ったものよね?それとも国の法律を現国王であり王女であるあたしの断りを得ずに変えたのかしら?そしたら国王の世話がかりを任されてきた国王専属大臣?あなたは国から追放しなくてはならなくなるわね。現大臣が交替となればみな飛び付くでしょうね、あなたなんてあっという間にポイよ?」

そう、王族専属大臣は一番うまい汁を吸う事ができる。

今一番争いが激しいのは王座ではなく、王座の近くに君臨する、あたしのそばの大臣。つまり、あたしの目の前にいる彼の座。

さあ、彼はなんて返してくるかしら?あたしが法律に関する本を読みあさっていたとも知らずに。

ここにはたくさんの本がある。

その中でも厳重に金庫に入れてある本が法律の本。

それをベースにちょくちょくいじられた法律が現在の法律となり、平民は払い切れぬ程の税金を収めなくてはならなくなった。

税金でだんだん兵もお酒をのみだし、ドンチャン騒ぎ。

おかげで全兵が横暴になり、今やまともに働こうとする兵などいない。

そしてついさっき見てきた未来の世界でも大臣は法律の本を持ち出そうとし、持ち出すためにあたしの姉を見張りに付けた。

何も知らない君は大臣の言うとおりに動かされ、何も知らないあたしものらりくらり生きて、そして死ぬ。

革命のために壊され行く世界の第一歩として。

でも今のあたしはそうはいかない。いや、行かせない。

すでに初代の法律の本はあまり持ち出されなくなり、大臣達はあまり気付いていないようだけど、初代の法律の本は今、あたしの手元にある。

「お言葉を返すようですみませんが王女様、博打がダメだというのなら賭け事はすべてダメということになってしまいます。そうなれば王族や貴族方の遊びであり楽しみとなる騎馬戦はどうなるのです?あれも博打の一貫では?」

「あれは一定の金額が決まっているから規定以上のお金が流れる心配などないわ、だいたい博打は危険極まりない。大量のお金が左右に行ったり来たりするなど。まあ良いでしょう。その時困るのはあなたであってあたしは貴方にクビを言い渡さなければならなくなるし、これ以上博打を続けるようであれば他の人を新たに任命しなくてはならなくなるのだから。わかったわね?」

「グッ・・・・・・了解いたしました。王女様。」

部屋を出て行く前に小さく大臣が「何故法律について知っている!」とかすかにもらしたのを聞いた。

本当に人間って追い詰められるとグッて言うものなのね。

普段書斎に近づきたがらないあたしに油断をしていたみたいだけれど、これからちょくちょく書斎に顔を出してみようかとも思う。

でも気を付けなければ。

あたしの代わりならいるんだ。

全く同じ容姿の君が。

下手すればあたしは大臣達に暗殺されてしまう。

そして君は二度と逆らえなくなる人形として王座ここに君臨しつづけなければならなくなる。

それはダメだ。

避けたい。

だけどどうすればいい?あたしがミルフィーユを食べているこの間にも平民は兵達にいいようにされているかもしれない。

国がかわらなければあたし達二人をめぐる終焉が変わるはずない。

どちらも生きるためには何をすればいい?

どうすればいい?

無駄な争いはしてはならない。

大臣達にばれないように行動をしたいところだけど、あたしがこの部屋を離れたら大騒ぎになるだろうし、それにすぐに大臣も気付くだろう。

今、この部屋にある法律の本。あれを持ち出したと知られればあたしの暗殺行きは決定だ。

つまり決定行きはかなり近い。

少しだけ過去に飛んでメイド達から話を聞くのもいいだろうけど、メイドがうっかり大臣にあたしのことを話しちゃわないといいんだけど・・・・・・もしそれが知れればあたしは一生監視されつづけ、過去に飛ぶチャンスさえ失うだろうし・・・・・・。

ああ、本当に、どうしたらいいんだろう?

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