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不思議な少年

何故あたしは運命を知ったかって?

何故あたしは時を旅するようになったかって?

それは時のいたずら。

見知らぬ者があたしが開けた窓からはいる風と共に入ってきてあたしにこういった。

「つまらない?本当に?あなたは何も不思議に思わないのか?なぜ両親がいない?なぜ姉とこんなに近くにいながら話をすることさえ許されない?あなたに力を授けよう。時間を越える力を。ほしかったらもう一度窓を開いて呼ぶといい。風よふけと。僕は喜んでかけつけるだろう。」

めちゃくちゃだった。

へんな左右不対象な衣装でおしゃべりで、左右の目の色も濃い紫と薄い緑で・・・・・・まつ毛が虹色に光っていて・・・・・・きれいだった気がしなくもないけど・・・・・・あまりに唐突すぎて・・・・・・そう、まるでピエロ。

歳は少年で10才も言ってない感じだった。

はちゃめちゃで不思議で。

でも、ピエロじゃない・・・・・・うまく伝えられない左右不対象の者。

あたしは思わず「この無礼者!」と言おうとしたけどその時にはもういなかった。

しばらくはもちろん信じなかった。

でも、あんな変なこと言われて試せるなら試したくなるでしょ?

あたしは両親にあったこともなかったし、双子は普通なら一緒にいるものだって事も知らなかった。

ただ与えられた日常すべてが常識なんだと思っていた。

それに窓を開けて「風よふけ」と言うだけならばあの者が言ったことが嘘で、実行したあたしが恥をかいても周りにはわからないだろうと思ったし、もしそれで少年がこないならこれはきっぱり忘れようと思った。

その時にはまだあたしは“普段誰にも手に入らないようなオモチャが手に入るのだ”程度にしか思わなかった。

それが・・・・・・すべての生死をかけている重大な運命を見ることになるとは思いもしなかった。

だからあたしは試した。

もちろん少年はすぐに来た。

それからあたしに笑いかけてからこういった。

「やっぱり興味があるんだね。当然か。」

「一つ、聞くわよ。あなたのその力が本物だとして、あたしは本当に両親に会えるの?」

「もちろん。両親の死の理由を知ることもできるし、君自身の最後も見れるだろう。その時に君が何を思うか自由だけどね、まあ1人でどこまでなにができるか試してみるといいよ。」

今思うと少年のこの言葉はあたしに向けられた“無力さを知れ”って事だったのかもしれない。

あの頃のあたしは不自由なことなんて何一つなくてすべてすべてが暇だった。

不自由なしに毎日毎日部屋に閉じこもる日々。

生きているのかさえわからなくなった。

でも、“無力さを知れ”ってことならもう十分知ったのに何故まだあたしに旅を続けさせるの!?

ええ、あんたの言うとおりでした!あたしは無力でした!痛いほど解ったわよ!

あたし一人じゃどうにもならないことも!

だからお願いよ・・・・・・あたしに仲間をちょうだい。

たった一人でいいのよ。

それだけですべてが変わるわ。

きっと永遠に進まなそうな時間だって進むのよ。

きっと・・・・・・。

それとも何、それでもなお“甘ったれるな”と言いたいの?あの少年はあたしに何を言いたいの?

あの少年は誰だったの?

何故あたしのところに来たの?

あたしを苦しめたかったの?そんなにあたしが憎いの?

どうしてっ!

大臣に注がれていた憎しみが徐々に少年への憎しみに変わるのを感じた。

あたしはやっぱり歯を食い縛りその場でジャンプすると未来の青年と出会った一日後に来て、城を出ると町に向かった。

そこには青年・・・・・・ではなくラドーマが来ていて、うろうろしていた。

「ラドーマ!」

軽く手をあげひらひらとふる。

「本当に来ちゃったんですか!?」

「ええ、でもラドーマもずいぶん早めに来てるじゃない?」

そう、まだ話していない。昨日なら。

たまたま早く来たのは元南の国の住人達の生活を見てみようと思ったから。

南の国の住人達は荒れた元々いる北の国の兵にさらに乱暴に扱われ、北の国の平民よりもっとひどい生活を送っているという。

すると・・・・・・やはりあの野菜は一生分くらいあるご馳走なのかもしれない。

“彼らにとっては”。

まず野菜やまともな食物が手に入らないという。

今までの時間をこえる旅では北の国しか見れなかった。

自分たちのシナリオを変えることにいっぱいいっぱいで他に目を向ける余裕がなかった。

だから平民生活を知ったのは最近・・・・・・と言っても過言ではない。

「うっ・・・・・・それは・・・・・・ただ、本当に来てたらかなり危ないな・・・・・・と思ったので。」

「敬語じゃなくていいわ。あたしも敬語は使っていないしね、元南の国の住人達の生活を案内してもらえるかしら?」

「・・・・・・?構いませんが、なぜそんなことを?」

不思議そうな顔してるわね。

まあ当然か。

極貧生活の平民暮らしを見たがる王族なんてなかなかいないだろうし。

「知っておくべきだと思ったのよ。それより敬語。」

敬語を使われることに慣れていたあたしは敬語ではなく対等に話し合える話相手がほしかった。

ああ、でもそれはもういつのことだった?

大人は権力に怯え、命令しか聞かなくて、シャレの一つや二つも言えやしない。

正直大人と話すのはあきたのよ。

「でも。」

やはり、この青年も権力か。

なら・・・・・・しかたないわね。

「じゃあ命令よ。」

「はい・・・・・・あ、うん。」

その後あたしたちは仲良くなり、すっかり馴れ親しんだ感じになった。

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