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呪われた双子

君と共存できる世界を探しに来た。

暖かい手さえ届かずに結末を紡ぎ続ける定めなどあたしにはいらない。

地位も権力もどうでもいい。

あたしは知った。

あたしが死ねば君が悲しむ、君が死ねばあたしが悲しむ。

両方死ぬのは・・・・・・論外だ。

だからつらくても、あきらめないと決めた。

だからいくら変えられなくても探し続けると・・・・・・生き続けると決めた。

“呪われた双子”・・・・・・。

本来王族が王位をつぐのは一人でよかった。

その中で何故かあたしが王位継承者に選ばれて、君は異国に流されるところだった。

過去に飛び、過去を変えたとき、君は異国に飛ばされた。

何故かあたしが王位継承者を次ぐ運命さだめは変わらずに。

そして王女あたしと変わらぬその容姿で亡国と成り果てたこの国の革命への生け贄にされていた。

あたしも君もお互いを知らずにそれこそ、見ることも許されずに、“姉妹”など何も知らずに君は平民として平民の中で育ち、あたしは相変わらず温室野菜のようにぬくぬくと育っていた。

周りにまかれた猛毒の殺虫剤が体を徐々に蝕んでいる事に気付きもしないで。

そして君は革命へのシナリオのために生き続けた。

そのシナリオの全ては王女あたしに殺されるためにある終焉シナリオで、大臣達が動きを少しずつ見せる双子あたしたちにいつ片割れ(きみ)を殺そうかと野望渦巻いていた。

いずれか・・・・・・君がいる隣の東の国は戦争へと巻き込んで我国きたのくにの物にする・・・・・・それが大臣達の考えで、すでに大きく広い南の国は北の国の支配下にあった。

豊かで平和だった南の国、北の国の大臣達の止まらぬ野望のせいで今は乏しい焼け野原の国。

兵達も皆横暴だった事を知る。

そして革命の生け贄これが両方死ぬもう一つの未来。

一度は生まれる前を変えようとして自分や君の生までもあやしくした運命。

めちゃくちゃだ・・・・・・双子としてじゃないとどちらかが死産やどちらも消えるという死の一途を辿っていくのに、双子じゃなければ生まれることのできない哀れな結末を背負い、生きる運命をもつ、大臣いわば“呪われた双子”。

本当に呪いのようだ。

どちらかが生存を危険にさらす。

なのにどちらかが生まれてこないなんて事ができない。

・・・・・・どうして・・・・・・人間は欲深くなるのだろう・・・・・・。

ドンッと誰かがあたしにぶつかった。

「あ、ごめんなさい・・・・・・大丈夫ですか?」

と同時に食物とは思えない食物が弧を描いて床に散らばる。

あたしは人物を見上げた。

それは恐らく栄養をたっぷりもらって背丈ののびた南の国の青年。

だけど北の国の支配下になってからのせいか皮と骨のような体で目はうつろで、何も見ていない。

青年は黙って食物を拾いだした。

「こちらこそごめんなさいね、考え事をしていたものだからつい。」

あたしも野菜を拾い上げ、彼に渡した。


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