悪魔襲来!?(違う)
ここは3話です。2話の方から読んで頂けると幸いです。
翌日。
俺は街で依頼を受けようと思っていた。だが、
「・・・遅いな。シアさん」
受付係のシアさんが全く来ないのだ。
いつもなら時間通りに来るのにだ。もしかすると・・・
「何かあったのか・・・!?」
と、その時。
突如として地面が揺れた。
「なんだなんだぁ!?」
「何で揺れてるの!?」
その揺れの大きさに冒険者全員が立つのも困難な状態だった。(震度6強~7辺り)
そんな中俺は、
「・・・! シアさんが危ない!」
夢中で外へと駆け出した。だが、
「地面が揺れて、走りづらい!」
そう、走れないのだ。正確には走ろうと思っても足がうまく動けない、だが。
「こんなとき、空を飛べれば・・・!」
『スキル『神装召喚』を使用しますか?』
「え?」
そんな中、突如として頭のなかに声が響いた。だが、可能性はこれしかない。そう思いながら俺はそれを心の中で唱えた。
(スキル『神装召喚』)
すると俺の身体が光ったかと思えば、真っ白なローブに身を包み、髪色が白く金の鱗粉が舞い、黒だった目の色が金色になっていた。そして・・・
「力が、溢れてくる・・・!」
なんと、通常状態より能力が向上していた。だが、
「何かが、吸われている?『ステータス』」
ステータスを開き魔力値(MPのこと)を確認すると、
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MP 25000/30000(1秒おきに500減少)
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「やべっ」
そう思い、急いで捜索を開始した。
◇◇◇side.シア◇◇◇
どうして?
私は恋をしてはいけないの?
王女だから? それとも嘘つきだから?
そんな考えが何度も心の中を右往左往する。
(もう、終わりね・・・)
セレスティア連合王国で行われる私の結婚式で、心の中で呟いた。
(・・・最悪。あのヌロガが伴侶だなんて。・・・まぁこれも、お父様を怒らせた罰ね)
私は追い出された身なのに何故怒られたのかは分からない。でも、こんな結果は嫌だった。
「それでは、誓いの口づけを」
クソ神父が。そう、式の途中で思った。途中といっても殆ど最後だが。
━━━許されるなら、彼に会いたい。彼に、助けてもらいたい。
そんな都合の良い事なんてあるはず、ないんだから。
さようなら、アリス。私を守ってくれた唯一のメイドさん。
さようならリュートくん。私に優しくしてくれて、秘密があるのに、いつもありがとう。
じゃあね。また、いつか。
そう覚悟を決めたとき、
「『神剣召喚・地』ッ!!」
聞き慣れた。でも少し怒っている彼の声が、耳に響いた。
「リュート、くん・・・?」
回りの悲鳴を無視して、私は聞いた。
「シアさんを、シアを返せ!!」
私だけの王子様の声を。