ゴテゴテ準備!?なんだよこれ…
旅行課に務める、スターマとアミサ。記念すべきフライトデビューの日だというのに、ふたりとも浮かない表情だ。
「え…思ってたのと違う…」
「だよね…」
ふたりともため息交じりに言った。スターマが言った。
「なんでぼくたち空港の中にいるわけ????メンテとかして離陸準備するもんかと…」
アミサが答えた。
「ほんっっとそれ」
アミサがあきれて続けた。
「人手不足だから、チェックインから離陸着陸まで自分たちでしろと?」
「鬼畜でしかない」
そう話し込んでいると、金属探知機が鳴り響いた。スターマもアミサもすぐに反応した。
「お客様、何か金属類のものをお持ちでしょうか?」
アミサが優しく問いかける。すると、男性が答えた。
「そんなもの入れてないよ。全部トレイに出したんだ」
彼はきょとんとした表情だ。
スターマは男性に歩み寄ると、
「では、ボディチェックをさせていただきます」
男性の身体全体を慎重に確かめる。だが、思わしいものは見つからなかった。
「う~ん…おかしいな」
ふたりとも、頭を抱えてしまった。
「すみません。こんなことにお時間を割いていただいて」
ふたりは深々と謝罪した。
「まだ時間には余裕あるよね」
離陸まではまだ1時間ほどある。
「お客様、残りある1時間は何をされる予定だったんですか?」
スターマは尋ねた。
落ち着いた表情で男性は答えた。
「友人に、時間に余裕をもってくれと」
「友人?」
アミサは首をかしげた。
「はい。だから1時間前には…」
スターマは、はっとして言った。
「もしかして、友人にあなたの荷物を預けたりしましたか?」
「はい、そうなんです」
「今、その友人は?」
スターマは焦っていた。
男性が答えた。
「わたしを送ったあと、急いで出口に向かったみたいなんです」
スターマはさらに尋ねた。
「友人の特徴を教えてください」
男性はあたふたしながら答えてた。
「緑チェック模様です!」
アミサはスターマの考えていることを察し、ホッパースに連絡した。
「監視カメラに緑チェック模様の奴いなかった!?いたらその人尾行して!」
早口なアミサに、ホッパースは困惑しながらも、
「え、あっ、ちょ、わ、わかった!!」
すぐに小型ドローンを飛行させた。
「あ、いたわwwwwわかりやすっ」
ホッパースは、あまりにも難易度が低かったのでツボってしまった。ふーっ、ふーっと息を落ち着かせると、
「お客様、少し待っていてもらえないでしょうか?」
男は答えた。
「あー、なんでだよ?」
「今、持ち物検査のため係員が参ります。あなたが細工したんですよね?」
ホッパースは極端に問い詰めた。
男は不機嫌そうに返した。
「あぁ…?緑チェックのあいつになんて…」
「『誰』なんて聞いていませんよ?あなたなんですよね?」
ドローンの中から、冷たい声が響く。
「…!」
そのうち、あのふたりが駆け込んできた。
「話はあいつから聞いています。入場は認められません」
しぶしぶ男は連行された。
そしてふたりは男性に謝罪し、フライトしようと思った矢先──。
アミサはつぶやいた。
「…たしか、人手不足だっけ…?」
スターマは叫んだ。
AAAAAAA!