まだまだまだ初冬
客観的な感想欲しいけど友達が……。
四
彼女は、起きた時に自分の異常に気付いた。
いや、彼女が起きたということが異常なのだ。
彼女は起きてすぐに机の上にある五枚の折りたたまれた紙のうちの一枚を開封した。
『彼の道をなるべく明るくしてあげてください。
私は彼と同じくらいの恥ずかしがり屋だから無理だったけど、あなたならやってくれると思う。お願いします。なるべくでいいから。
あともう一つ、今日は…遅刻してください。
彼は覚えてくれてるかな、私との初めての出会い。覚えてくれてたら……嬉しいなぁ…。』
「あなたは、よく頑張ったわ。お疲れ様。」
今日は遅刻をしよう。
時間はたっぷりと出来たので、少し化粧もして行こう。
彼女はいつもしていたようですが、面倒くさいです。目の周りを隠すには、アイラインを使うのが良いらしい。
目の泣き腫れだけでも隠せるだろうか。
彼女は机の脇の棚から一冊のノートを取り出し、新しいページを開く。
そこに一言
『四人になったわ。』
ノートを閉じ、通学用の鞄に入れた。
そうして彼女は洗面所へ向かう。
机の上に広げたまま残った紙の中には、一つの押し花が入っていた。綺麗なピンク色をしたカーネーション。
カーネーションの花言葉は「純粋な愛」
「私の愛は生きています」
そうして全てを済ませて、普段より四十分程遅れて家を出た。心許ない足取りで家を出た。
下ばかり見てしばらく歩いていると、近所の家の塀に身体をぶつけた。
その塀に少しもたれかかっていると、塀の隙間から少し遅咲きの菊がとても色鮮やかに咲いているのが見えた。
しかし、私には目の前で咲いている黄色の菊しか視界に写っていなかった。無意識に睨みつけていたかもしれない。
菊の花の花言葉は、紅色は「愛情」、ピンクは「甘い夢」、白は「真実」、紫は「恋の勝利」
黄色の菊の花言葉は「破れた恋」
また少し涙が溢れた。私は遅かったのだ、少し伝えるのが遅かっただけなのだ。
だけど大丈夫だ。
私達があなたを伝える。
だって、初めて彼と会った時は…あなたは私で、私もあなただったのだから。
気持ちも……一つだったのだから。
歯を食いしばりながら彼女は歩き始めた。
読んでくださりありがとうございます。